Interview コンサルタント
インタビュー

事業承継プランはオーダーメイドで。
あらゆる選択肢に柔軟に対応

資本戦略事業本部 部長

税理士 前田 祐

前田 祐(まえだ ゆう)

前田 祐(まえだ ゆう)

資本戦略事業本部 部長 / 税理士 (東京税理士会所属)

税理士事務所勤務を経て、2007年山田ビジネスコンサルティング(現・山田コンサルティンググループ)株式会社入社。全国各地の中堅・中小企業オーナーに対する事業承継のサポートを行う。また、企業の事業計画・戦略策定支援、グループ会社の組織再編支援、企業内の各種改革プロジェクト運営支援を手掛けるほか、企業オーナー・金融機関向けセミナー講師及び中堅・中小企業の経営・財務等に関する書籍の執筆等、多方面で活躍中。

山田コンサルティンググループ(以下YCG)で、主に中堅中小の非上場会社における事業承継を多数手掛ける前田祐。柔らかな物腰と穏やかな口調で、「その会社が最も輝く道に進めるよう、様々な角度から選択肢を提案し、実行するのが我々の仕事」と語る前田に、事業承継コンサルタントとして心掛けていることを聞いた。

経営者の悩みに寄り添いたい

私は、大学を卒業して約3年間、会計事務所の職員として、中小企業の税務申告にかかわる書類作成のサポートや税務相談を担当していました。大変勉強になる仕事でしたが、オーナー社長たちとの付き合いが深くなるにつれ、毎年の税務申告以外、つまり会計事務所としての業務領域を超えるような悩みにはご対応できない、という現実を意識しました。経営者が抱える悩みに幅広く応えたいという思いから、YCGの前身である山田ビジネスコンサルティング株式会社(YBC)に転職することを決断します。
 
入社当時のYBCは事業再生の案件が多く、私はお客様となる会社の財務分析や事業分析を行い、課題を絞り込む仕事に携わりました。事業再生案件ですから、クライアントは非常に厳しい状況にあり、困っていらっしゃいます。しかし、その原因がどこにあるのかを理解していない、あるいはわかっていても何らかの事情で手を打てない、というケースが大半でした。
 
この時期に私は、課題を解決するには、何よりも経営者の悩みに寄り添うコミュニケーション力が重要なことを学びました。課題を抽出して解決策を見出すことは当社側でできますが、実行策はクライアントとコンサルタントとの話し合いの中で探っていきます。我々がいくら「課題はこうで、こうした方が良い」と理論上のベストソリューションを提示しても、お客様が納得して実行に移さなければ意味をなしません。事業再生では、経営者のみならず現場の方々とのコミュニケーションも重要です。提案を実行していただくには、それが最善策であると当事者が納得できるまで丁寧に対話を積み上げること。コミュニケーションの重要性を肌で理解できたこの時代の経験は、その後、事業承継の仕事でも大いに役立っています。

変化する事業承継のスタイルにオーダーメイドで対応

A-013事業承継は、先代(現)社長が後継者となる新社長に事業を譲っていくプロセスです。私は主に中堅中小企業の事業承継を担当していますが、以前は親族内での引き継ぎを前提に、特に自社株の承継をどうするかという具体的なご相談がほとんどでした。しかし最近は傾向が変わってきました。そもそも親族を後継者に据えてよいのか、社内承継あるいはM&Aも選択肢として検討すべきかなど、もっと前の段階から悩まれる経営者が増えている印象です。
 
YCGは経営コンサルティング会社です。ご相談いただく会社が、いかに良い状態で経営を続けられるかにフォーカスして、あらゆる事業承継の可能性を考えます。親族内承継ならこのパターン、M&Aならこのパターン、といった王道の「型」には当てはめません。幸せな事業承継の実現のために、私たちはそれぞれの会社の理念や、従業員により育まれている社内文化、歩まれてきた歴史などから見えてくる「原点」を大切にしています。その上で、業界を取り巻く環境から事業の将来を見据え、「こうした方がより良い道につながります」という選択肢を示し、経営者自らが納得できる道を考えていただくきっかけを提供します。
 
選択肢を提示する際には、株の価値や税金を含めたコストなど、数字による裏付けも重要です。手法と数字の両方から見て、コンサルタントとして根拠ある見解を提示し、一番納得していただける方法を探ります。コストがかからない方法=良い方法ではなく、納得できる方法=良い方法です。オーダーメイドの提案ですから、どのような選択肢においても柔軟に対応できます。選ぶ道を迷われるお客様とは、コミュニケーションを重ねて意識のズレを埋めながら、行動に落とし込みます。ディスカッションを通じ、クライアント自らが納得して意思決定されることを大切にしています。

経営課題に終わりはない

万が一、選んだ道が納得のいかない展開になったら、別の方法を試せばよいのです。実際に、事業承継をされた後継社長から、「やってみたけれどなかなかうまく進まない、第三者に会社を譲る道を検討したい」と、相談を受けたこともあります。逆に、「事業拡大したいのでM&Aを検討したいが、進め方や具体的な手続きを相談したい」とか、「新体制の中で部門を成長させるために、会社を分割したい」といった相談を、後継社長から受ける場合もあります。このように、事業承継後の流れの中で、次の意思決定の局面を迎えて再度ご相談いただくことは多々あります。
 
一度担当したクライアントから別の相談事でお声がかかると、お手伝いした内容が評価されたのだなと嬉しく思います。この仕事は、一つの課題を解決したら終わりではありません。経営課題には終わりがないからです。お客様がどんなステージにあっても、時の経営者に寄り添いお手伝いできるのは、経営コンサルティング会社である当社の強みだと思います。「自分はこの分野が強い」という専門性を持つコンサルタントが多く所属しているからこそ、シーンが変わってもあらゆる課題に対応できるのです。
 
また、オーナー社長は経営者としてだけではなく、ファミリーの一員としての悩みもお持ちです。課題は変わっても、いずれの代の社長からも相談していただける自分でありたい。それは、YCGに転職する動機となった「テーマを問わず経営者の課題解決のお手伝いをしたい」という思いともつながっています。自分の仕事をきっかけに、世代を超えてお客様と長く信頼関係を築けることは、何よりの喜びです。

敬意を払い真摯に向かい合う

A-011

事業承継は、時間をかけて考える性質のものですから、緊急性に乏しく先送りしがち。中には、生涯現役で社長を全うするから、事業承継など考えたことがないという方もいらっしゃいます。また、地方ほど情報量が少なく専門家がいないなど、相談しづらい環境にあります。課題感を持ちながら取り組めずにいるオーナー社長は、全国にたくさんいらっしゃると感じており、こうした方々のお力になるべく、我々から出向いてお話を伺う機会を設けるようにしています。
 
心掛けているのは、敬意を持ってお話を伺うこと。どんな規模、業績の会社の社長も、ここまでの歴史があり、雇用を生み出し、地域経済に貢献されてきた方々です。並大抵な苦労ではなかったと思います。会社を経営したことのない自分だからこそ、経営者をリスペクトし、決断の重みをしっかり理解して寄り添うことを、肝に銘じています。その上で、今なぜこのような悩みに直面しているのか、大きな課題を抱えることになってしまったのかを、第三者の目で客観的に見るのがコンサルタントの役割です。お客様にとっては一生に一度の場面。決して仕事に慣れてはいけません。経営の大切な節目に自分が立ち会っていることを自覚しながら、一つひとつの案件に真剣かつ新鮮な気持で前向きに取り組むことを、常に心掛けています。

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