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基礎知識

更新日:2020/08/27

テーマ: 02.M&A

5-1. M&Aにおける契約(秘密保持、基本合意、最終契約)

5. 中小企業のM&Aにおける法律手続きの注意点・留意点

M&Aにおいては、売手と買手で締結される契約(基本合意、最終契約)だけでなく、情報開示(法定開示、適時開示)、労働契約、独占禁止法など、各種の法規制を押さえる必要があります。これがM&Aは「法律のるつぼ」ともいわれる所以です。 売手企業と買手企業との契約にあたっては、多くの場合、秘密保持契約書、基本合意書、最終契約書の3つが作成されます。 秘密保持契約はM&Aの当事者が、相互に情報開示を行う前提として最初に締結する契約です。基本合意書の作成は必須のものではなく、M&Aの基本的な条件が法的拘束力を有しない形で規定されるものです。最終契約書の内容は、M&Aの手法によって異なりますが、株式譲渡および事業譲渡の場合は、どのような事項を取り決めるかについて会社法上の定めはないため、契約の内容は当事者間の交渉に委ねられます。

5-2. M&A取引に係る情報開示制度(1)~法定開示~

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5-1. M&Aにおける契約(秘密保持、基本合意、最終契約)

M&Aにおける契約①M&A専門会社・仲介会社との契約(アドバイザリー契約)

M&Aを具体的に進めていく上では、まず先にサポートを依頼する専門会社と仲介またはアドバイザリー契約を交わす。
その契約形態には「専任」と「一般」の2つがある。
「専任」の場合は契約した会社のみに依頼でき、1社とじっくりM&Aについて相談しながら進めることができる。
「一般」の場合は複数のM&A専門会社が関わってくるので、各社とのやり取りや情報管理の面で多少煩雑な部分が出てくる。
その反面、複数の会社であたっているので情報量が多く、買手が早く見つかる可能性が高い。専任と一般では支払う報酬にも違いがあるので、契約形態による報酬の違いも確認しなければならない。

M&Aにおける契約②アドバイザリー契約の留意点

M&Aに関わる契約解除の方法や、買手企業と破談した後の契約上の取扱いについても注意が必要である。
例えば、紹介を受けた買手企業と破談し、その後しばらくして再度、両社で直接話をしたらM&A契約がうまくいった場合などの取り扱いについてである。
いったん破談した後でも、もともとの紹介が仲介・アドバイザリー契約におけるものだと、報酬が発生する可能性がある。
また、企業情報についての秘密保持契約は重要事項である。
特に、売手企業は主に情報を開示する立場になるため、開示情報がきちんと守られているかの確認を要する。

M&Aにおける契約③売手企業と買手企業との契約(秘密保持契約・基本合意書・最終契約書)

売手企業と買手企業との契約にあたっては、多くの場合、秘密保持契約書基本合意書最終契約書の3つが作成される。

秘密保持契約書
秘密保持契約はM&Aを行おうとする当事者が、相互に情報開示を行う前提として最初に締結する契約である。
ある会社の株式譲受を検討する場合、買手は対象会社の業務内容や財務内容を知るため、非公開の情報も含め、対象会社の価値を判断するために必要な情報の開示を受ける必要がある。
多くの場合、売手が対象会社の株式の売却を検討しているという事実自体が秘密情報であり、買手が情報の開示を受けるにあたり、売手と買手の間で、秘密保持契約が締結される。

その内容は、買手が開示を受けた対象会社に関する情報および売手と買手の間で買収交渉が行われている事実を第三者に開示または漏洩しないこと、また開示された情報を買収の検討以外の目的に使用しないことなどが規定されるのが一般的である。
秘密保持となる(もしくは除外される)開示情報の範囲や内容、取扱い、損害賠償、対象期間などは、その後の契約書にも関わる。
秘密保持契約が締結され、対象会社の業務内容や財務内容に関する基本的な情報が買手に開示されると、買手による調査・検討が行われる。
その結果、さらに交渉を進める場合、意向表明を経て、売手と買手との間で基本的な条件に関する合意が行われる。

基本合意書
基本合意書の作成は必須のものではなく、M&Aの基本的な条件が法的拘束力を有しない形で規定されることが多い。
基本合意契約には、売主手と買手の共通認識を明確にしておき、認識の相違を防止するとともに、今後交渉が必要となるポイントを明確にする機能がある。
一般的には、買収の基本的な条件、誠実交渉義務、独占交渉権、守秘義務、スケジュールの概略などが規定される。
基本合意後、デューデリジェンスなどを経て、法的拘束力を有する最終契約を締結する。

最終契約書
最終契約書の内容は、M&Aの手法によって異なるが、株式譲渡および事業譲渡の場合は、買収当事者間においていかなる事項を取り決めるかについて会社法上の定めはないため、契約の内容は当事者間の交渉に委ねられる。
合併会社分割株式移転株式交換などの会社法上の組織再編行為が用いられる場合、会社法に定められた事項を規定する契約(法定契約)を締結するとともに、法定契約とは別に最終契約が締結されるケースもある。

M&Aにおける契約④最終契約書の留意点

M&Aの最終契約段階で、売買条件と対価の支払い日などは、再度の確認が必要であり、留意点として必ず確認しておきたいのは、「前提条件」、「売主の義務」、「表明保証」、「補償条項」の4点である。

「前提条件」

「前提条件」は、契約書に定められた条件をクリアしていないと、M&Aのクロージングが行われないという内容である。
契約しても、肝心の約束事を守ってくれなければ意味がないため、契約内容を確実に実施するためにこうした「前提条件」がつけられる。どのような前提条件が付帯されているかを確認しなければならない。

「売主の義務」

「売主の義務」は、M&Aの最終的な売買契約において、売主が果たさなければならない義務である。
時系列では、クロージングの前、当日、後それぞれに関わる義務があり、契約上必要な義務であるため、違反があると買主側から契約について問題を指摘される。
逆にあまり過剰なもので遵守することが難しいなら、その内容を外すことができないか、という交渉も必要である。
売手企業にとって前提条件や義務は少ない方が好ましい。

「表明保証」

「表明保証」は、M&Aの相手方に対して、ある事項が真実であり正確であることを表明し、それを保証するものである。

「補償条項」

「補償条項」は、「売主の義務」や「表明保証」などに違反があった場合の補償についての取り決めであり、それにより発生する損害賠償についての定めである。
あまりにも詳細な取り決めが多いのであれば、損害賠償の上限や下限および対象期間を決める部分で、交渉してみるのも方法である。
これにより取り決めた上限以上には損害賠償を請求されない、またはあまり小さなことで損害賠償請求されることを防ぐことができる。

M&A取引における売買契約書は、専門的な内容も多いため、売手企業のオーナーが売買契約の細部に至るまで、すべて理解することは難しい。
そのため、アドバイザーや弁護士などの助言を受けて、重要なポイントをチェックしたうえで、売買契約を締結しなければならない。

5-2. M&A取引に係る情報開示制度(1)~法定開示~

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