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基礎知識

更新日:2021/01/14

テーマ: 02.M&A

5-3. M&A取引に係る情報開示制度(2)~適時開示、インサイダー取引規制~

5. 中小企業のM&Aにおける法律手続きの注意点・留意点

M&Aにおいては、売手と買手で締結される契約(基本合意、最終契約)だけでなく、情報開示(法定開示、適時開示)、労働契約、独占禁止法など、各種の法規制を押さえる必要があります。これがM&Aは「法律のるつぼ」ともいわれる所以です。 売手企業と買手企業との契約にあたっては、多くの場合、秘密保持契約書、基本合意書、最終契約書の3つが作成されます。 秘密保持契約はM&Aの当事者が、相互に情報開示を行う前提として最初に締結する契約です。基本合意書の作成は必須のものではなく、M&Aの基本的な条件が法的拘束力を有しない形で規定されるものです。最終契約書の内容は、M&Aの手法によって異なりますが、株式譲渡および事業譲渡の場合は、どのような事項を取り決めるかについて会社法上の定めはないため、契約の内容は当事者間の交渉に委ねられます。

5-2. M&A取引に係る情報開示制度(1)~法定開示~

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5-4. M&A取引に係る労働契約の取扱い

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5-3. M&A取引に係る情報開示制度(2)~適時開示、インサイダー取引規制~

適時開示

金融商品取引法上の開示規則に加えて、上場会社については金融商品取引所の規則にもとづく情報開示制度として、適時開示がある。
適時開示とは、上場会社に対して、①重要な事項を決定した場合・重要な事実が発生した場合、②決算に対する情報、③株式・(支配)株主に関する情報の開示を求め、投資家が適切な投資情報を入手し、投資判断を可能とさせる情報開示制度である。投資家は、この情報開示を踏まえて投資の意思決定を行う。

M&A取引に関する適時開示事項>
M&A取引に関する適時開示事項としては、株式の発行等、株式交換株式移転合併会社分割事業の全部・一部の譲渡・譲受け、業務上の提携等、公開買付け等、全部取得条項付種類株式の全部の取得、株式等売渡請求に係る承認または不承認などがある。
また、スクイーズ・アウトの場合など、上場会社が支配株主などと組織再編行為等をする場合には、少数株主が害されるおそれがあることから、合併比率等の公正性の担保や利益相反回避のための措置として、通常の開示事項の適時開示に加えて、利害関係を有しない第三者機関からその取引が少数株主にとって不利益なものでない旨の意見を入手すべきことが定められている。
適時開示の時期としては、取締役会決議などの形式的な側面にとらわれることなく、実質的に判断することが求められている。
東証においては、最終契約書を締結する前段階であっても、基本合意書の締結等の際に、適時開示に該当する事項を会社が実質的に決議・決定すれば、直ちに情報開示が必要であるとされる。
なお、不適正な情報開示に対しては口頭注意処分、改善報告書の提出、開示注意銘柄指定、上場契約違約金または上場廃止の制裁が課されることがある。

インサイダー取引規制

M&Aを実施していくに際して、そのM&A取引がインサイダー取引規制における未公表の「重要事実」に該当することがある。
買手企業が上場会社の場合は、特に情報管理を心掛け、関係者に対してインサイダー取引に該当しないよう注意を促さなければならない。
インサイダー取引規制とは、証券取引の公正性および透明性を保持するため、会社の関係者等が一定の重要事実を知ったときに、その事実が公表(情報開示)される前に有価証券等の売買をすることを禁止する規制である。
会社関係者が上場会社等の業務等に関する重要事実を知りながら、当該事実が情報開示される前に当該上場会社等の特定有価証券等の売買等を行うことは原則として禁止される。
また、他人に利益を得させ、または損失を回避させる目的をもって当該事実を伝達し、売買等を勧めることも原則として禁止される。
重要事実を知った状態で株式等の売買等を行うこと自体が禁止されており、重要事実を売買等に利用したかどうか、取引によって利益が生じたかどうかは関係ない。

M&A取引時におけるインサイダー取引規制の注意点
M&A取引においては、①M&A取引に関わる会社関係者等がインサイダー情報を利用して不正な取引を行うこと、②M&A取引の当事者がインサイダー取引規制に抵触することについて注意が必要となる。②に関しては、会社の役員、代理人、使用人などに加えて、その上場会社等と契約を締結している者または締結の交渉をしている者なども含まれる。
重要事実とは、決定事実、発生事実、決算情報、バケット条項、子会社に関する決定事実、発生事実等、上場投資法人等に関する事項に大別される。
この内の、決定事実は、「当該上場会社等の業務執行を決定する機関」が、一定の事項を「行うことについての決定をしたこと」、または当該機関が当該決定(情報開示されたものに限る)に係る事項を行わないことを決定したことをいう。
M&A取引に関する決定事実としては、株式の発行等、株式交換、株式移転、合併、会社分割、事業の全部・一部の譲渡・譲受け、業務上の提携等などが挙げられる。

インサイダー取引に関する罰則
インサイダー取引の規制は年々厳しくなる傾向にあり、インサイダー取引を行った者に対しては、罰則等が科せられることになる。
具体的には、刑事罰が5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、またはこれらの併科になる(金融商品取引法197 条2項(13))。
また、いわゆる両罰規定(違反者だけではなく、その違反者が代表者・代理人・使用人などとなっている法人等に対しても罰金刑を科すという規定)も設けられおり、法人の計算でインサイダー取引規制に違反した場合、その法人に対して5億円以下の罰金刑が科される(金融商品取引法207 条1項(2))。

ちなみに、インサイダー取引規制違反によって得た財産は原則として没収または追徴される。
例えば、「重要事実」の公表前に、300 万円で株式を取得し、「公表」後の株価高騰を受けて、500 万円で売り抜けたという場合、没収・追徴の対象となるのは、利益である200 万円(=500 万円-300 万円)ではなく、売り抜けた売却代金の全額である500 万円と解されている。

5-2. M&A取引に係る情報開示制度(1)~法定開示~

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5-4. M&A取引に係る労働契約の取扱い

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