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基礎知識

更新日:2020/08/27

テーマ: 02.M&A

9-5. M&Aにおける役員退職金と税金

9. M&A実行後にかかる税金

株式譲渡(会社の売却)と事業譲渡(事業の売却)とでは課税関係、対価を受取る主体などが異なるため、どちらを選択するかによってM&A後のオーナー手残り額は変わってきます。また、法人の課税関係については、適格組織再編に該当するかどうかの確認は必須です。 通常は、 中堅中小企業のM&Aにおいては利用されることが多い「株式譲渡」と「事業譲渡」、そして「組織再編」で比較検討することになります。 「株式譲渡」では、M&Aの売手企業の株主が、買手に株式を売却し、売却代金を手にします。つまり、課税される対象は売却代金を受け取った売手企業の株主です。この株主が個人であれば、株式を売却したことで受け取った利益(譲渡所得)に対し所得税が課され、売却した翌年の確定申告で申告・納税しなければなりません。一方、「事業譲渡」では、M&Aの売手企業が買手企業に事業に係る資産を売却し、売却代金は、売手企業が受け取ります。そのため、これによる利益は法人税の課税対象となり、株主に税負担はありません。 「組織再編」は、手法にもよりますが、多くの場合、売手が受け取る対価は現金ではなく、買手企業の株式になります。また、その組織再編行為が「税制適格要件」に該当するかどうかによって課税関係が変わり、税制適格要件を満たさず「非適格組織再編」となる場合、株主、譲渡対象会社は、それぞれに課税が生じることもありますM&Aによる対価は、株式の譲渡に対する代金としてではなく、役員退職金として受け取ることで課税上有利になることもありますが、課税上の取扱いには十分に注意する必要があります。また、M&Aの実行後、手元資金をどのように運用すれば相続対策として合理的なのか、というところまで考慮することも重要です。

9-4. 事業譲渡によるM&Aと税金(一部譲渡)

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9-5. M&Aにおける役員退職金と税金

株式譲渡でM&Aを実行する場合、役員退職金を組み合わせることで税負担を軽くできる可能性がある。
もともと一時金で受け取る退職金は給与や賞与よりも税金が優遇されており、税額を計算する際に、退職金の額から退職所得控除を差し引き、さらに2分の1を乗じた金額が課税対象になる。
役員退職金は、株式譲渡とそれほど変わらない税率で、かつ会社にとっては損金算入できるというメリットがある。

①損金とできる役員退職金の計算

役員退職金は無制限に増やすことはできず、税務当局に過大とみなされると、損金と認められない場合がある。
税務上、損金と認められる役員退職金の額は、一般的には次の計算式で算出されるケースが多い。

退職時の月額報酬×役員勤続年数×功績倍率=退職金

仮に月額報酬が200万円で役員勤続年数が35年であれば2億1,000万円となる。
この額を超えても、本人への税率は変わらないが、支払った会社は、超えた分を損金に算入できないケースも生じる。
損金として否認される要因として、役員退職金を受け取る役員同士のバランスが不自然であることもあげられる。
同時に複数の役員が退職する場合で、同族役員だけが多額の役員退職金を受け取り、その他の役員の受け取る金額が少ない場合には、否認される可能性が高くなる。

②役員退職金を受け取るには

株式譲渡をしても、役員がしばらくは会社に残るケースもある。
その場合、株式譲渡の時点で役員退職金を受け取ることはできないため、将来役員を辞める際に受け取ることになる。
役員退職金を支払うには、株主総会での決議が必要である。決議がなければ受け取る権利が保障されない。
例えば、会社を売却し、その数年後に役員が退職し、役員退職金を受け取ることを予定していても、退職時点で会社業績が悪くなっている場合などは、予定していた役員退職金を受け取れない可能性もある。
逆に退職時点で「役員退職金を支払わない」という決議が株主総会で行われてしまえば、受け取れないことが確定してしまう。
このようなことがないように、株式譲渡の際に役員退職金の支払いについて株主総会で決議をしておくことが重要となる。

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