基礎知識
更新日:2020/09/04
テーマ: 02.M&A
6. V字回復の切り札・事業再生M&Aの基礎知識
中小企業金融円滑化法が終了し、暫定リスケ中の企業はその出口を模索しています。スポンサーからの出資や、会社分割、事業譲渡によって債務の弁済を確実にする「事業再生M&A」を利用することによって、信用力を毀損することなく、迅速にV字回復を遂げる道が見えてくるはずです。暫定リスケ中の企業の出口は、①自力再生、②金融支援による再生、③スポンサーからの支援(M&A)による再生、④廃業の4つがあります。これらの選択にあたっては、債権者の経済合理性に配慮しなければなりません。原則としては、事業を継続させることで再生を目指すのであれば、清算して資産を個別に売却するよりも事業を継続させた場合の弁済額の方が大きい必要があります。また、選択した再生手続きによる回収見込額が他の再生手続によった場合に期待できる回収見込額を上回らなければなりません。この経済合理性の有無を判断するため、再生企業が債権放棄等を受けるための手続きには透明性が要求されます。具体的な手法は、私的整理と法的整理に大別され、 債権放棄等の対象となる債権者の範囲、手続の成立要件、商取引への悪影響の度合いなどの点で違いがあります。 会社が債務を弁済できる見込みがなくなった場合、債務整理にあたって、その会社の事業を継続させ、それによって得られる将来の利益を原資として、債権者への弁済金の確保を目指すことがあります。このような企業が事業再生を果たすには、債権者による債権カットや、その後の長期弁済契約といった対応だけでなく、スポンサーからの出資や、会社分割、事業譲渡によって圧縮後の債務の弁済を確実にする「事業再生M&A」が有効です。ただし、過大な負債を抱えた譲渡企業をそのまま譲受企業が買収することは相当の困難を伴います。債権者の協力を得ながら、会社分割や事業譲渡による「第二会社方式」やDES(デット・エクイティ・スワップ)などを利用したスキームの検討が重要です。
6-1. 再生企業の出口におけるM&Aという選択肢
6-2. 私的整理の特徴と主な支援機関
6-3. 事業再生M&Aにおけるスキーム(第二会社方式)の概要
6-4. 法的整理のメリット・問題点とプレパッケージ型手続
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