Manual 事業承継計画書の作り方

事業承継計画書の作り方

事業承継をトラブルなく完了させるためには、「事業承継計画書」を作成し、それに従って具体的に事業承継を進めていくことが大切です。
そこで、事業承継計画書を作る前にしておきたい準備や、事業承継計画書の作り方についてご説明します。
 

◆事業承継には計画書が必須

事業承継をスムーズに進めていくためには、事業承継計画書は必須です。事業承継計画書を作ることには、以下の4つのメリットがあります。
 

□メリット1 現状把握と後継者のリストアップ

事業承継計画書には、事業承継をどのようなスケジュールで進めていくのかを明記することになります。
「○年後に××をして、その次の年には…」など、頭の中でいくら計画を立てていても、きちんと文書として残していかなければ、通常業務を行う中でうやむやになってしまいかねません。
ただ闇雲に実行していくのではなく、まず、ヒト・モノ・カネなど会社の現状を把握することで、どういう対策をとらなければならないかが理解できます。
その過程で、承継方法についても検討できるようになり、何をいつまでにやればいいのかがはっきりします。
 

いつ、何をどれだけ承継していくのか、どのようなプランで進めるのかをはっきり最初に計画書として定めておくためには、それ以前の段階で親族や後継者と話し合うことにもなります。
そのため、のちのトラブル防止にも役立ちます。周囲への理解を深めながら事業承継計画書を作り、それに基づいて承継を進めていけば、「事業承継に関するさまざまな行動」についての根拠ができます。
そのため、周囲から横やりを入れられることもなくなり、後継者の育成も可能になるのです。
 

そして、実際の事業承継の進み具合を、事業承継計画書の予定と照らし合わせることで、計画どおりに事業承継が進められているかどうかをチェックすることもできます。
計画が遅れているのであれば、遅れの原因を見つけて対策を練る必要があります。
反対に、予定よりスムーズに進んでいる場合は、急ぎすぎていないか、いったん立ち止まって再考するきっかけが得られます。
 

□メリット2 事業承継について経営者と後継者の認識を擦り合わせられる

事業承継計画書には、後継者をリストアップする必要があり、譲渡する側(創業オーナー)と譲受する側(後継者)の心構えが整うことで、具体的な目標に向けて的確な行動ができるようになります。
 

事業承継は、経営者だけの考えで進めることはできません。後継者が事業承継を望んでいないのに無理矢理後を継がせたり、納得していない経営方針を押し付けたりすることはできないのです。
一方、後継者が「もっと経営を刷新しよう」とすると、それまでに築き上げてきた企業の実績をまったく無視するような改革を行うことにもなり、現経営者や従業員の反感を買う可能性もある、危険な状況となります。
 

事業承継計画書は、株式譲渡などの資産に関する事柄はもちろん、企業の経営そのものに関する展望なども盛り込んで作るものです。
そのため、経営者と後継者の意思を改めて確認し合うツールとしても利用できます。
経営者は「5年後に事業を譲りたい」と考えていても、後継者は「5年間は別の企業で修業をして、その後あちこちの部署を回って、10年後に万全の体制で後を継ぎたい」と考えているかもしれません。
このような意見の食い違いについて、感情的に話し合うのではなく、経営者と後継者として議論を重ね、ひとつの文書にまとめるというのは大きな意味があります。
 

□メリット3 事業の状態を客観的に見直せる

事業承継は、単に事業を継がせて終わりというものではありません。該当の事業に将来性はあるのか、企業が抱える負債はどのくらいになるのかといったことまで認識した上で、次世代にバトンを渡す必要があります。
ですから、事業承継というのは、企業の経営状況を客観的に見直す絶好のタイミングでもあるのです。
今後の社会情勢の中で、企業が生き残り、発展していくためにはどうすればいいのか、現経営者と後継者、そして、時には外部のコンサルタントや従業員なども交えて検討し、将来について考えましょう。
 

□メリット4 外部の理解を得やすくなる

事業承継計画書を作成し、事業承継へのロードマップを明らかにするとともに、現在の企業の経営状況を分析することで、外部の協力が得やすくなります。
ここでいう外部とは、当事者である経営者や後継者とは別の「家族」「従業員」「取引先」「金融機関」などのことです。
こうした人々の協力がなければ、事業承継はうまくいきません。しっかり計画を立てていることを示せば、企業の今後や後継者への信頼感にもつながり、これまでと変わらぬ支援を得られるでしょう。
 

◆事業承継計画書の作成準備とタイミング

事業承継では計画書が大切であるとはいえ、事業承継を決めていきなり計画書を作り出してしまうと、正しいロードマップを定めることができません。事業承継計画書を作るには、しっかりとした準備が必要です。
 

事業承継計画書には、事業承継のスケジュールや、企業の今後の見通し、相続の進め方などを記載します。
そのため、「企業が今どのような状況下にあるのか」「経営者の資産と相続人への配分はどのくらいなのか」ということがわからなければ、計画書を作ることはできません。
企業の現状というのは、現在の売上や仕入れなどのキャッシュフローだけでなく、雇用して抱えている人材についてや事業の将来性、業界内での立ち位置、現在メインとなっている業務内容といったことも含みます。
 

一方、経営者の資産には、個人的な預貯金や所有不動産、所有株式などが該当します。最終的にこれらのうち、何を後継者が引き継ぐのかを考えなければいけません。
このとき、必ず合わせて検討すべきなのが、後継者以外の法定相続人に対して何を残すのかということです。
特に、親族内承継の場合、相続人のあいだで不公平感が生まれてしまうと、のちのトラブルにつながってしまいます。遺恨が生まれない事業承継を目指しましょう。
 

◆事業承継計画書の作成ポイント

それでは、事業承継計画書にしるすべき具体的な内容について見ていきましょう。
おもに、以下の4点が重要となります。
 

【事業承継計画 テンプレート】引用:中小企業庁「事業承継ガイドライン」
【事業承継計画 テンプレート】
 

◆事業承継の大枠

まず、現在の経営者と後継者の氏名、年齢、続柄のほか、承継時期とその方法についてしるします。
どれも、経営者本人と後継者にとっては当たり前のことかもしれませんが、最初に明記することで状況を再確認することになりますし、外部に対する表明にもなるでしょう。
 

◆事業の経営理念と中長期的見通し

経営理念は、新しく考えるのではなく、これまでの理念を再確認する意味でしるします。
後継者に対しては、会社の経営権だけでなく、形のない経営理念などについても受け継いでもらう必要があるからです。
それに併せて、企業の中長期的な見通しについてもしるしておきます。
これは、事業内容をどのように発展させていくかということです。
売上目標などを数年ごとに書いていくのもいいでしょう。
ただし、根拠のない数字を書くのではなく、業界全体の動向などを見ながら、現実的な目標数値を書き入れてください。
 

◆事業承継の進め方と対策

事業承継を行うにあたっては、「関係者への周知を行い、理解を促す」「後継者の教育を行う」「株式や財産を後継者に譲る」という3点が必要になります。
そこで、それぞれについて、いつ、どのように進めていくのかを検討し、事業承継計画書にしるしましょう。
事業承継計画書を作成する時点で、すでに完了していることについても忘れずに書いておきます。
例えば、後継者が親族の場合、親族間での話し合いは後継者が決定した時点で済んでいると考えられますが、こうした事柄についても明記しておきましょう。
そうすることで、全体の流れがつかみやすくなります。
 

【事業承継計画(記入例)】引用:中小企業庁「事業承継ガイドライン」
【事業承継計画(記入例)】

◆年数ごとの計画一覧表

横軸に時間、縦軸に「会社、経営者、後継者」の各項目を設定し、年次ごとにクリアするべき予定について書いていきます。
「会社」欄には、会社の売上目標や利益目標、人事の予定、事業拡大の計画などについてしるし、「経営者」欄には、経営者の退陣までの役職や持株割合、関係各所への通知の進め方などを記載します。
「後継者」の欄には、教育の進め方や持株割合、役職などをしるしましょう。
現在から始め、10年後頃まで書いておくのが一般的です。
 

このように、事業承継計画書には数多くの項目があり、作成するのには非常に手間がかかります。また、自社で作成した場合、必要な項目を網羅しきれていないおそれも出てくるでしょう。
そこで、チェックリストや事業承継計画書のテンプレートなどを利用するのがおすすめです。
中小企業庁のウェブサイトからダウンロードできる「事業承継ガイドライン」には、事業承継の進め方とともに、チェックシートや事業承継計画書のテンプレートも掲載されています。
それらを参考に、事業承継計画書の作成に取り組むといいでしょう。
 
【事業承継自己診断チェックシート】引用:中小企業庁「事業承継ガイドライン」
【事業承継自己診断チェックシート】

 
⇒事業承継の悩みと解決法
 
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⇒平成30年度税制改正で納税猶予はどう変わる?
 
⇛事業承継とは | 事業承継税制から後継者教育まで
 
⇒M&Aとは?企業買収の方法と必須となる基礎知識
 
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