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更新日:2025/05/27

テーマ: 01.事業承継

中小企業における事業承継とは?事業承継の種類や事例を解説

中小企業における事業承継とは?事業承継の種類や事例を解説| | 山田コンサルティンググループ

現在、多くの中小企業は後継者問題に直面しています。
「誰に」「いつ」事業承継するかは経営者にとって大きな悩みの種となっているでしょう。
また、「誰に」承継するかによって事前の準備やプロセスが異なりますので、
早くから後継者候補について検討し、場合によっては外部の専門家に頼ることも視野に入れましょう。

本記事では事業承継の概要、中小企業における事業承継の課題や、スムーズに承継するポイントを図を用いつつご紹介します。

目次

事業承継とは?

事業承継とは、経営者が自身の会社や事業を親族、従業員または第三者へ引き継ぐことを指しますが、
事業承継の形態には、主に以下の3つがあります。
-親族内承継:経営者の親族(子ども、孫、兄弟など)に会社・事業を引き継ぐ方法
-従業員承継:従業員や役員に会社・事業を引き継ぐ方法
-第三者承継:外部の企業や個人に会社・事業を引き継ぐ方法

事業承継を円滑に進めるためには、税務対策や法的手続きの準備をはじめ事業の中長期に渡るビジョンの明確化、後継者の育成等、求められる対応は多岐に渡ります。専門家の支援を活用しつつ、左記の準備を早期に行うことで次世代に安定して事業を引き継ぐことが可能となります。

中小企業における事業承継の現状と課題とは?

現在、多くの中小企業にとって事業承継が課題となっています。
中小企業庁が策定した「中小M&Aガイドライン~」には、
”日本全体において、令和7年(2025年)までに、平均引退年齢である70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人、うち約半数の約127万人が後継者未定と見込まれている。”
引用:中小企業庁(2020年3月31日)「中小M&Aガイドライン~第三者への円滑な事業引継ぎに向けて~
と、約半数の中小企業で後継者未定のまま、経営者が高齢となっている現状が記載されています。

事業承継のためには、後継者の選定・育成不足や、社内外の関係者間でのコミュニケーションの欠如が主な障壁となります。また、財務・法務問題を適切に処理しないと、円滑な承継が難しくなります。事業承継の遅延や不透明な計画は、持続可能な成長を脅かすため、適時に取り組むことが必要です。

後継者問題の解決と新規領域への進出を同時に解決した事例

事業承継で引き継がれるもの

事業承継では、経営ノウハウや顧客関係、人材、有形固定資産、無形固定資産など多岐にわたる資産が引き継がれます。これらは企業の価値を支える重要な要素です。それぞれの資産を最適に引き継ぐことで、伝統を守りながら新たな成長を目指すことができるでしょう。的確な計画と準備が成功の鍵です。

人の承継

人の承継は、事業承継において最も重要な要素の一つです。経営者のビジョンやリーダーシップ、経験値を次世代に継承することで、企業のブランドや従業員からの信頼などが得られます。
また、顧客や取引先との繋がりも重要な資産です。これらを適切に引き継ぐためには、計画的な後継者育成と十分なコミュニケーションが必要です。

有形固定資産の承継

有形固定資産の承継は、企業の生産活動を支える物理的な資産をスムーズに移行することを指します。土地、建物、機械設備、車両などの資産は、経営の基盤であり、経営者が交代した後も、継続して利用できる状況であるか手続面の不備がないかも論点となることがあります。具体的には自社で利用している不動産が経営者個人の所有物である場合には、第三者への事業承継のみならず、親族内承継時においても論点となることがあります。

無形固定資産の承継

無形固定資産とは、ブランド価値、特許、ノウハウ、顧客データなどの非物理的な資産です。これらの資産は企業の競争優位性を構築し、市場での地位を強固にする要素です。適切な管理と法的手続きを通じて無形資産を承継し、新経営者がこれらを効果的に活用するための準備が必要です

中小企業における事業承継の種類とは?

事業承継にはいくつかの形態があり、それぞれに特有の利点と課題があります。一般的には「親族内承継」「企業内承継」「M&A」の3つが代表的です。どの形態を選ぶかは、企業の状況や経営者の意向、後継者の有無などによります。それぞれの方法について理解し、最適な選択を行うことが重要です。

1.親族内承継

親族内承継は、経営権を親族内で引き継ぐ方法です。この方法は日本国内では一般的な事業承継の考え方であり、社内外ともに受け入れやすく、経営理念や文化を継承しやすいという利点があります。しかし、適切な後継者がいない場合や、他の親族間での意見の相違が障害となることもあります。事前の後継者候補の意向や、他の親族の意見調整を行う必要があります。

親族内承継
筆者作成

2.企業内承継

企業内承継は、役員や従業員が後継者として指名される形態です。この方法では、現場の実務をよく理解している人材が経営を引き継ぐため、事業面でスムーズな移行が期待できます。一方で、後継者の経営能力やリーダーシップを養成するための時間とリソースが要ります。また、社内で摩擦が生じないよう、承継前に十分な時間をもって後継者を指名・育成しておく必要があります。

企業内承継
筆者作成

3.M&A

M&Aは、外部の企業や個人に事業を売却する形での承継です。即時的に資金が得られるため、経営者のリタイア後の資金確保が容易です。一方で、買手を見つけるマッチングフェーズで難航することが多いです。加えて、買収先とのミスマッチや従業員への影響を最小限に抑えるための調整が必要です。
M&Aを選択する場合にはM&Aアドバイザーなどの専門家のサポートを受けることで、専門家のネットワークから買手とのマッチング可能性を上げることができ、また、リスクを管理しつつ最適な相手を見つけることができるでしょう。

M&A
筆者作成

中小企業の事業承継を成功に導くポイント

事業承継の成功は、企業の持続的な発展と成長を支えるために極めて重要です。計画的な準備や財務・法務の整備、専門家の活用など、いくつかのキー要素があります。これらのポイントを押さえることで、スムーズな承継の実現に近づくことができます。以下に、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

早期の計画と準備

早期の計画と準備は、事業承継の成功の礎です。事業承継を無事に進めるためには、経営者がまだ健康であるうちに後継者の選定と育成を始めることが重要です。特に会社内部の後継者を指名する場合には、時間をかけて後継者に必要なスキルや知識を身につけさせ、段階的に業務を引き継がせることで、混乱を最小限にし、スムーズな移行を可能にします。
M&Aで事業承継を実施する場合でも、買手のマッチングやその後のプロセスに時間がかかる可能性は十分にありますので、早い段階でM&Aアドバイザーに相談を始めることをおすすめします。

財務・法務の整備

財務・法務の整備は、事業承継の成功を保証するために不可欠です。適切な株式の譲渡や移転、法的契約書の作成・確認などを通じて、法的トラブルを未然に防ぐことができます。専門家の助言を活用し、各項目を詳細にチェックすることで、移行後の経営が順調に進むよう準備を整えます。

外部専門家の活用

外部専門家の活用は、複雑な事業承継を円滑に進めるための重要な要素です。税理士、弁護士、コンサルタントなどの専門家による助言は、財務・法務問題の解決や最適な承継戦略の策定に不可欠です。M&Aによる事業承継を検討するにはアドバイザーや仲介会社のネットワークやノウハウを活用しましょう。専門的な知識と経験を駆使し、最適なプランを立てることで、リスクを最低限に抑えた事業承継を実現の実現が可能になります。

中小企業における事業継承事例3選

弊社が支援して事業承継に至った中小企業の事例を3件紹介します。
どの事例も社長の高齢化に伴って承継を決断し、M&Aに至りました。

中小企業が大手企業に株式譲渡した事例

建設設計事業を営む、売上10億円の中小企業が全国展開する大手企業に株式譲渡することで後継者問題を解決した事例を紹介します。
本事例の売手オーナーは引退する時期を決めていたものの、管理業務面の全てを自身が担っていること、社内に株式を承継する場合、後継者が金融機関から借り入れる必要があることから、M&Aにより解決することを目指し、実現しました。

詳しくは、こちら

事業存続のため中小企業の取引先が承継した事例

自動車部品メーカーを営む売上高1億円の中小企業が、取引先である売上高10億円の企業に事業承継した事例です。
売手のオーナーが高齢でありながら次期後継者が定まっておらず、早期に引き継ぎが必要な中、取引先である買手に打診し、買い手にとっても売り手は商流上不可欠であったため、承継に至りました。
売り手は承継に伴って、本業以外の不動産賃貸事業を整理し、引き継ぐ事業のスリム化を行いました。

詳しくは、こちら

本業を承継し、その他事業は売手の今後の生きがいとして残して承継した事例

ニッチな業界で原料メーカーを営む売手は老舗優良企業であったものの、社長が高齢な中、次期後継者がおらず、社長が元気なうちにM&Aによって事業承継を希望した事例です。
また、引継ぎ先としては大企業ではなく、独立性のある中堅企業を希望し、類似業種の買手へ承継することとなりました。
本事例では承継した本業のほか、別事業を営んでおりましたが、別事業は本業承継後の社長の生きがいとして引継ぎの対象外としました。

詳しくは、こちら

まとめ

中小企業の事業承継は「誰に」「いつ」承継するかを早めに計画しておくことが肝要です。
特に「誰に」承継するかによって必要な準備や手続きなどが大きくことなるため、親族内や社内の後継者候補と十分にコミュニケーションを行い、意向を確認しておくといいでしょう。

また、必要に応じて外部専門家を頼ることも想定しましょう。
ほとんどの中小企業で社内に事業承継のノウハウが少ないと想定されるので、財務・法務・税務それぞれの側面から専門家のノウハウを活用することで、リスクを排除することができます。
特にM&Aによる事業承継を選択する場合にはマッチングネットワークと買手との交渉の観点から、M&AアドバイザーやM&A仲介会社の支援を受けることをおすすめします。

繰り返しましたように、事業承継では早めの準備が重要ですので、
「誰に」「いつ」事業承継をするか決まっていなくても、経営者が引退を考え始めたらコンサルタントなどのアドバイザーに相談することをおすすめ致します。

監修者情報

山田コンサルティンググループ株式会社
コーポレートアドバイザリー事業本部
企画室