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更新日:2020/02/18

テーマ: 03.海外ビジネス

タイの不動産建設および不動産開発の市場概要と傾向/後編

本編は前編の続きです。

タイの不動産建設および不動産開発の市場概要と傾向/前編

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不動産市場:現状と傾向 – 住宅用不動産

住宅用不動産

2019年4月に新たなLTV条件(ローン金額に対する最低頭金払込率を設定)が施行されて以降、住宅用不動産市場全体が減速している。

コンドミニアム市場、特にバンコクの住宅市場は、住宅ローンの厳格化と世界的な景気減速の影響を強く受けた結果、国内外の需要が低迷した。

一方、低層住宅市場、特に地方では、高い家計債務と銀行が適用する住宅ローン厳格化基準により、2017年以降需要が鈍化している。

住宅ローン融資条件改正前の駆け込み需要を取り込もうと、2018年下期には複数の新規住宅プロジェクトが前倒しして開始された。

タイの住宅用不動産市場は、住宅在庫の増加や多くのマイナス要因の圧力を受け、2020年も低迷が続くことが予想される。

従って不動産開発会社は、市場の状況に合わせ、新規プロジェクトの開始延期、プロジェクトの小型化、既存在庫を減らすための強力なプロモーションの採用など、投資やマーケティングの戦略を調整している。一部の企業は、リスクを分散するために賃貸不動産への投資を増やしている。

不動産市場:現状と傾向 – オフィスビル

オフィスビル

オフィスビルは、バンコクとその周辺に、全国の建設許可の80%以上が集中している。CB Richard Ellis社によると、2019年第2四半期末時点のタイ全国の総オフィススペースは約900万㎡だった。

希望賃料の上昇と90%を超える高い稼働率が、依然としてオフィススペース需要が増加していることを示しており、中でもグレードAオフィスの賃貸料の伸びが最も高い。

近年、バンコクのオフィスビル需要を押し上げている主な要因は、大量公共輸送機関の開発と外国投資の増加である。

新規オフィススペースのほとんどは、バンコク都心部にあるグレードAの物件である。ナイトフランク・タイランドによると、バンコク都心部のオフィススペースは、2019年から2023年にかけて新たに供給されるオフィススペース全体の60%を占める。

利用可能な土地が限られているため、今後バンコク都心部のオフィススペースの大部分は、借地権のある土地区画の複合用途施設内に配されることになるだろう。一方、バンコク都心部外の新規オフィスの供給は、大量公共輸送ルートの延長に伴って増加することが予想される。

不動産市場:現状と傾向 – ホテル

ホテル

外国人観光客が著しく増加していることに加えて、政府が国内観光に対する刺激策を講じていることが、タイのホテル需要を押し上げている。

全国のホテルの建築許可の60%以上は、4つの主要な観光地域であるバンコク、プーケット、チョンブリ、チェンマイに集中している。

過去2年間のホテル建設の成長により、一部の地域では供給が過剰になり、稼働率が低下した。

しかし、外国人観光客は着実に増えており、そのことが引き続きホテル事業への投資の呼び水となっている。日本のホテルは、高級宿泊施設に対する需要の高まりに応えるため、タイへの投資を増やしている。一方で、主に住宅を扱う地元の不動産開発会社は、リスクを分散させる目的でホテルへの投資も行っている。

主要企業 - 建設

タイ主要建設会社*

主要企業 – 不動産開発

タイ主要不動産開発会社

建設事業に関わる主な規制・法令

タイの建築規制法 (1)

「建築管理法B.E. 2522(1979)」は、タイの建築工事を規制する主な法律である。同法および付随する省令には主に、建設許可の取得要件とその承認プロセス、建物の建築基準、特定の種類の建物に対する特別要件、その他関連する項目が含まれている。

建設開始前:建設許可
建設を開始する前に、地方自治体からの許可が必要である。建設許可を取得するために、開発・請負を行う企業は、建築設計および仕様に関する様々な基準を満たす必要がある。基準は建物の種類によって異なる。

 

 建設許可を必要とする活動:

新しい建物の建設
建物の改装
建物の解体または移動
建物用途の変更

 許可の有効期間:

総床面積が10,000㎡未満の建物         ⇐【1年間】
総床面積が10,000㎡以上100,000㎡未満の建物  ⇐【2年間】
総床面積が100,000㎡以上の建物         ⇐【3年間】

許可は最大3回まで更新できる。

 建設許可の主な基準項目*:

建物の特徴
建設資材
建物床面積
建物外部オープンスペース面積
廊下の幅
天井高
隣接する土地区画からの距離
屋根付き・屋根なし通路
換気システム、電気システム、防火システム
水処理システム、排水・給水システム
廃棄物処理システム
エレベーターシステム
駐車場
環境影響評価(EIA)レポート

 

出所: 建築管理法 B.E. 2522(1979)および付随する省令、公共事業及び都市計画省
注:*上記の基準のリストは、ほんの一例である。さらに、特定の種類の建物にはいくつかの基準が適用される。開発業者/請負業者は、建設許可の基準の詳細について、関連する省令を注意深く確認する必要がある。

タイの建築規制法 (2)

建設完了後:占有許可・証明書
占有証明書を発行してもらうためには、建設または改装が完了したら、地方当局に完成した旨を通知し、建物の検査を受けなければならない。

 占有証明書が必要な建物:

倉庫、ホテル、コンドミニアム、医療施設
面積300㎡以上の商業施設
面積300㎡以上の商業施設(小売・卸売)
面積300㎡以上のホール・劇場など
面積300㎡以上のオフィスビル
産業用建物
教育施設

コンドミニアム
危険物の保管に使用される建物

 

入居後:建物検査証明書
特定の種類の建物については入居後、エンジニアおよび建築士の検査・監査を受けることが義務付けられている。この検査には、年次検査と5年ごとの包括的な検査の2種類がある。

重要な検査項目には、建物の構造、電気システム、換気システム、昇降機システム、衛生システム、防火システムがある。

 建物検査証明書が必要な建物:

高層ビル:人が居住または使用可能で、高さが23 m以上の建物
巨大建築物:総床面積が10,000㎡以上の建物
劇場:映画、演劇、コンサートなどが上演され、通常一般公開されている建物またはその一部
公共の建物:人が集まる場所で総面積が1,000㎡以上または500人以上収容できる施設
ホテル:総部屋数が80室以上
コンドミニアム:総面積が2,000㎡以上のコンドミニアムまたは住宅用建物
工場:工場法に基づき、2階以上、5,000㎡以上の使用面積を持つ工場
エンターテインメント施設:エンターテイメントプレイス法に基づく面積2,000㎡以上の施設
広告塔:50㎡以上、ただし建物に取り付けられている場合は25㎡以上

外国建設会社の活動に対する制限

外国企業(外国人持ち株比率が過半の会社)がタイで建設事業に従事することに対しては規制がある。ただし、大規模な設備投資を行っている会社にはそうした規制の適用が除外される。

外国人は、タイでエンジニアまたは建築士として働くことも禁止されている。従って、エンジニアリングや建築に関わる事業を行うことを希望する外国企業は、タイでエンジニアや建築士を雇う必要がある。

 

タイでの建設事業に対する規制
タイで建築、エンジニアリング、建設サービス事業に従事することを希望する外国企業は、商務省から外国人事業許可(FBL)を取得する必要がある。
例外: 資本金が5億バーツ以上の外国企業は、FBLを取得することなしに、ツールや技術または特別な専門知識を必要とする公益事業や通信事業のためのインフラ建設に従事できる。

 

外国人事業法 B.E. 2542(1999)

外国人労働者に対する規制
外国人は、以下の建設関連の業務に従事することは許可されていない

土木工事に関わる設計、調整、整理、研究、プロジェクト計画、テスト、建設現場での監督・助言などの業務。ただし、特別な専門知識を必要とする工事を除く

建築に関わる設計、設計図の作成、費用の見積もり、建設の指示または助言などの業務

 

外国人労働者に対して業務禁止されている職業と職業を規定する王政令B.E.2522(1979)r5

外国人の不動産所有権に対する規制

タイの不動産に対する外国人の所有権は制限されている。

居住目的の場合、外国人は条件付きで最大1ライ(1,600㎡)まで土地を所有することができる。また、外国人はコンドミニアムの総面積の最大49%まで所有できる。

事業目的の場合は、1ライから10ライまたは事業活動に適切とされる面積まで許可される。

一方、不動産を所有していない外国人も、一定の条件の下で長期リースを通じて不動産を利用できる。

まとめ

近年、不動産需要の低迷に対するマイナス要因が多いものの、不動産開発会社の業界に対する見方は未だ楽観的である。依然として長期的には成長力が高いとみているためである。今後の不動産市場の主な成長要因としては、インフラ開発計画、新たなバンコク都市計画、EEC開発、FDIの流入額と外国人観光客数がともに増加傾向にあることなどがあげられる。

一方、外国の建設会社および不動産開発会社、特に日本企業と中国企業は、大きな潜在成長力があるとみて、タイの不動産市場にこぞって参入している。また外国企業は、高い技術力、イノベーション力、強固な資本基盤という強みによってこれまで過去数年にわたってビジネスを成功させ、大きく拡大してきた。

法律で所有権に規制が課されているため、外国人投資家がタイで建設事業を行うためには、現地パートナーと合弁会社を設立した上で、不動産プロジェクトを開発する必要がある。従って、適切な現地パートナーを見つけることも、長期的な事業発展を成功させる要因の1つである。

法律に従って事業を行い、最適な投資戦略を策定するためには上記以外の要因、例えば建設業界に関わる多くの規制や法令、さらには様々な市場や消費者の実情などについても慎重に検討する必要がある。

 

執筆:YAMADA Consulting & Spire (Thailand) Co., Ltd.
YC Capital Co., Ltd.
(山田コンサルティンググループ株式会社 タイ現地法人)

 
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