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2023/05/23

テーマ: 02.M&A 03.海外ビジネス

インド3大財閥のひとつ、タタ・グループとは?歴史から最新動向まで

インド経済で大きな役割を果たす3大財閥

インドの3大財閥とは?

現在の日本を支える大企業グループ、三井・三菱・住友はかつて日本の3大財閥と呼ばれていました。第二次世界大戦後に財閥解体が行われ、現在の日本には創業者一族を中核にした「財閥」という企業グループは存在しません。
しかし世界を見渡すと、今日もなお各国の経済を動かしている財閥があります。とりわけインドには、タタ(Tata Group)・ビルラ(Birla Group)・リライアンス(Reliance Group)という、インド経済で大きな役割を果たしている3大財閥があり、それぞれ各分野の企業を傘下に持っています。
インドには相続税が存在しないため、財閥を相続しやすい環境にあります。ある意味、国から保護されている財閥を、政府は経済発展のパートナーとして育成しているともいえます。

インド最大級の財閥、タタ・グループとは?

タタ・グループの概要

タタ・グループは3大財閥の中で唯一、分裂することなく単一の財閥として存在しているインド最大級のコングロマリットです。インド西部、マハーラーシュトラ州の州都ムンバイを拠点とし、世界100カ国以上で幅広い事業を展開しています。グループは主要企業 30 社で構成され、総従業員数は70万人以上。消費財から電力発電、サービスや小売業まで、タタ・グループが関わっていない分野はないと言っても過言ではありません。

タタ・グループの始まりと成長

タタ・グループの始まりは1868年、インドがイギリスの植民地となった直後、創業者ジャムシェトジー・タタ氏(Jamsetji Nusserwanji Tata)が29歳の時にボンベイ(ムンバイ)に設立した綿貿易会社から始まります。1870年代には綿紡績工場を建て、インド有数の民族資本家となりました。
綿事業で大きな成功を収めたジャムシェトジー・タタ氏は「インド産業の父」とも呼ばれ、企業にとっての存在目的は社会貢献であると唱えました。現在はCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)の考えが世界に広まり、当たり前になっていますが、タタ・グループはこの考えをいち早く取り入れたのです。
彼の後継者らもその信念のもと、植民地下において、また独立後のインドにおいて次々と業容を拡大し発展していきました。1904年にジャムシェトジー・タタ氏が亡くなった後は、彼の長男であり後継者のドラブ・タタ氏(Dorabji Tata)がグループを率い、鉄鋼、電気、教育、消費財、航空など、膨大な新産業に参入しました。1991年にはラタン・タタ氏(Ratan Naval Tata)の指揮の下、グローバル展開が推し進められ、買収活動も実施していきます。

タタ・グループの積極的なM&A(合併・買収)

タタ・グループは積極的なM&Aでビジネスの規模拡大とグローバル展開を進めています。2000年にロンドンを拠点とする紅茶メーカーのテトリー、2004年に韓国の大宇自動車のトラック製造事業、2007年に鉄鋼メーカーのコーラス・グループ、2008年には米フォード・モーター傘下の英高級車ブランドであるジャガーとランドローバーの買収で自動車業界を騒がせました。

現在のタタ・グループで中核となる4つの事業

現在のおもなグループの事業は10業種、その中核となる事業は、情報技術サービス会社のタタ・コンサルタンシー・サービシズ (TCS)、自動車メーカーのタタ・モーターズ、製鉄会社のタタ・スチール、電力会社のタタ・パワー、などがあります。

タタ・コンサルタンシー・サービシズ(Tata Consultancy Servises(TCS))

TCSはタタ・グループを代表する、インド最大手のITサービス企業で、最も利益を上げている企業です。1968年に設立され、50 年以上の歴史を持ちます 。インド国内だけでなく海外にも積極展開しており、2014年に三菱商事グループとの提携により、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社を設立しています。

タタ・モーターズ(Tata Motors)

インドの自動車メーカーでシェアNO.1はスズキですが、それ以上の売上高を誇る自動車メーカーです。「世界一安い車」として売り出した小型大衆車「ナノ」が話題となり、グループの中で最も知名度がある企業と言っても過言ではありません。先述の通りイギリスの高級ブランド、ジャガーもタタの傘下です。

タタ・スチール(Tata Steel)

インド最大級の製鉄会社で、大規模なプラント建設や自動車部品の供給に貢献するだけでなく、人々の生活に身近な、家具やハードウェア製品に向けた商品も開発しています。新日本製鉄(現・新日鉄住金)と提携する一方で、2007年に粗鋼生産量世界第8位の鉄鋼メーカーであったコーラス・グループ(本社イギリス、オランダ)を買収し、世界有数の製鉄会社となりました。鉄鋼レールを納めるなどの国家的事業にイギリス植民地時代から関わってきた歴史もあり、直接的にインド経済を支えてきた企業です。

タタ・パワー(Tata Power)

100年以上の長い歴史を持つ統合電力会社で、発電、送配電、電子製品、サービス事業など、電力業界のバリューチェーン全体にわたって事業を展開しています。エネルギー分野のパイオニアとして強いリーダーシップを発揮し、インドの国づくりに貢献しています。

知っておきたい、タタ・グループのこれまでの動向と最新動向

スターバックスとの提携

2012年タタ・グループはスターバックス・インドと提携し、タタ・スターバックスをインド国内に展開しました。西部ムンバイの繁華街に第1号店をオープンし、17か月で40店舗をオープン、従業員は1000人と、スターバックス史上最速といえるほどの急成長を見せ、紅茶が主流のインドにコーヒーの需要を増大させました。
この提携の両社の狙いとして、スターバックス側はインド市場に詳しいタタ・グループの知識を借りて店舗展開ができること、自社のブランド茶をインド市場で売りだすことを目的に、一方タタ・グループ側は、自社のインド産コーヒーなどをスターバックスの販売網を通じて世界に売り出せること、スターバックスがインド産ブランド茶の開発に協力してくれることを目的としました。

エア・インディアの買収

2022年1月、タタ・グループは経営難に陥っていたエア・インディアの買収手続きを完了しました。エア・インディアはもともと、タタのグループ会社として設立されました。独立後に国有化されましたが、その後赤字が拡大し、この民営化によって約70年ぶりにタタ傘下に戻ったことになります。
また2022年11月の発表では、エア・インディアがインドのデリーを拠点に置く航空会社であるビスタラを吸収合併するとしています。

電気自動車や半導体事業などの新規分野への参入

2022年6月、タタ・グループと大手半導体企業のルネサスエレクトロニクスが提携関係を結んだと発表がありました。タタ・モーターズの業容改革に必要となる電気自動車(EV)・EV電池、半導体などの電子部品、次世代モバイル・システム(5G)といった分野への進出意欲はこれまでも示していましたが、今回の協業は大きな一歩となります。今後は各社の専門知識や経験を組み合わせ、次世代デジタル技術におけるインドのさらなる成長、そして世界市場へと確実に成長していく狙いがあります。

人口世界一のインドで欠かすことのできない存在、タタ・グループ

2022年は原油価格の高騰や米国の積極的な利上げを受け、インドではインフレと通貨安が同時に進行しました。しかしながら、人口が14億人に達したインドでは個人消費と公共投資、企業の設備投資が経済をけん引し、7~9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.3%増となりました。これまで猛威を振るった新型コロナウイルスもほぼ収束し、悲願だった半導体工場の建設が決定したり、第5世代(5G)移動通信サービスが始まったりと、民間の大型事業も進んでいます。2023年、インドが中国を抜いて人口世界一となる見通しで、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の議長国を務めることも決まっています。欧米を中心に景気後退が懸念される中、インドが世界で存在感を増す1年になりそうです。

英調査会社ブランド・ファイナンスが2022年版の報告書で明らかにした、インドで価値の高いブランドの首位はタタ・グループでした。同社が併せて発表した、ブランドの強さの首位もタタが展開するホテルのタージで、新型コロナウイルスの影響下で見せた医療部門への支援といった戦略の迅速な再構築が評価されました。このように、インド国民からも外国企業からも信頼される企業となったタタ・グループが、これからも市場を牽引するリーダーとなっていくことは間違いありません。

執筆:山田コンサルティンググループ株式会社 海外事業本部

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