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コラム

2023/03/16

テーマ: 03.海外

インドネシアでごみの回収・再資源化の動き

レコシステム、分別が収益源

インドネシアのスタートアップ、カザナ・ヒジャウ・インドネシアン(レコシステム)は、市民からごみを回収して分別し、ペットボトルや段ボールなど再利用が可能な資源をリサイクル業者に販売することで収益を上げるビジネスモデルを構築。ごみの回収量増加や再資源化で丸紅と協力するなど、事業を強化するとともに、循環型社会の構築に向け社会へ啓発を続ける。
(出典:NNA、丸紅のプレスリリース)

インドネシアのごみ処理事情

ジャカルタでは雨季に洪水が頻発しますが、これはごみが排水溝に詰まることが主な原因のひとつとなっています。市内の川では雨が降ると河川の縁にたまったゴミが一気に川の表面を埋め尽くしたり、金曜日夜の外食の後、プラごみが緑の芝生を真っ白に覆いつくすこともありました。

2022年、インドネシア国内のごみ総排出量は6,850万トンで(参考値:2021年日本のごみ総排出量は4,167万トン)、そのうち処理されたものは64%に留まります。海洋プラスチックごみの流出量は中国に次いで世界ワースト2という状況です。

一般的には分別回収は行われておらず、約7割は最終処分場にダンプで運び込まれそのまま積み上げられており、堆肥化・リサイクルは10%にも満たないのです。アパートでは大きなごみ箱にまとめて入れておしまい、ということがこれまでは普通でした。

スタートアップ数社が事業展開

このような状況を受け、インドネシアではごみ問題の解消を目指すスタートアップがいくつも立ち上がってきています。

冒頭で紹介したレコシステム以外に、東ジャワ/西ジャワ等21都市でごみ・廃棄物の収集を行うWest4Change、ジャカルタ首都圏で500か所にペットボトルの回収ボックスを設置してリサイクルを行いポイント付与まで行うPlastic Pay、MRTの駅に資源ごみの回収拠点を設置するオクトパス等、複数のスタートアップが活動中です。

大きな動きになるためには政府の関与が必須

複数のスタートアップの活動への期待は大きいものの、タイのようにASEAN他国の動きを見ても政府が音頭を取って民間と一緒に動かないとなかなか大きな動きにつながらないのが実態です。特に島嶼国のインドネシアでは何事も統一的な動きになりづらいと言えます。

政府は環境林業大臣令第75号で2029年末までに製造・飲食・小売の3業種に総排出量を30%削減するよう義務づけました。しかし、これはプラスチック廃棄物を多量に排出している大企業への要請に留まっています。循環型経済への移行に向けて、廃棄物処理の事業化を後押しすることでしか、政府が掲げる「ごみゼロ」の目標には達成できないのではないでしょうか。ごみの分別や資源ごみの回収に力を入れるスタートアップの動きに合わせ、政府がコミットメントを示すタイミングだと思います。

執筆:山田コンサルティンググループ株式会社 海外事業本部

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