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更新日:2026/07/17

テーマ: 03.海外ビジネス

タイのフードサービス業界

~変化する消費者志向と競争環境から読み解く成長機会~

タイのフードサービス市場は急速に集約が進んでいる。大手チェーンが利益の大部分を占める一方で、小規模事業者は深刻な採算悪化に直面している。需要面では、インフレの進行やコンビニエンスストアからの激しい競争を背景に、消費者の志向は変化しており、デジタルを活用した利便性、手頃でかつ付加価値の高い外食サービス、より健康的なメニューが求められるようになっている。また、市場は依然としてアジア系が主流で、特に日本ブランドと中国ブランドが存在感を示している。日本ブランドは市場での地位を確立している一方、中国ブランドは、市場に破壊的(ディスラプティブ)な影響を与えている。

こうした厳しい環境下でも、今後の成長を確かなものにするため、主要な外食事業者は、アセットライトでの事業拡大、戦略的M&A、およびデジタル統合の深化へと軸足を移している。すでに飽和状態にあるタイの外食市場での成功に不可欠な要因としては、以下が挙げられる。

  • ・戦略的な現地パートナーシップの構築(参入リスクの軽減)
  • ・バンコクの通年安定性と観光地の高収益性を踏まえた地域ポートフォリオの最適化(バランスのよい出店戦略)
  • ・メニュー革新とテクノロジーの活用の組み合わせによるプレミアム化と市場シェア獲得

目次

I. 概要

I. 概要

注:* 市場規模は、フルサービスレストラン(FSR)、限定/クイックサービスレストラン(LSR/QSR)、カフェ、および屋台・キオスクの売上高に基づいており、酒類を提供する店舗(パブ、バーなど)およびカフェテリアは除外されている
**CAGRの数値は、2026年から2029年の市場成長予測を指す
出所:ユーロモニター、事業開発局

II. タイのフードサービス市場

市場規模と成長

  • タイのフードサービス市場は、パンデミック以降回復基調にある。2022~2025年にかけての成長要因は、国内の外食需要と訪タイ観光需要が戻ったことにある。
  • 2026~2029年の年平均成長率(CAGR)は約4%に鈍化すると予想される。主な要因は、消費者がさらにコストパフォーマンスのよいものを求める傾向にあること、および観光客消費も低調に推移する見込みであることである。
II. タイのフードサービス市場:市場規模と成長

2022~2025年:タイのフードサービス市場は、内需と訪タイ観光需要の回復の両方に支えられた。

  • 内需:ロックダウン後、外食需要が再び高まって店内飲食への支出が増加し、デジタルの普及でより多くの消費者が外食サービスプロバイダーにアクセスできるようになった。
  • 訪タイ観光客需要:海外旅行が回復し、ホテルや飲食店は勢いを取り戻した。

2026~2029年の見通し:タイのフードサービス業界は2024年には、パンデミック前の水準を上回った。しかし、今後の成長率はCAGR約4%程度にとどまると予想される。主な要因は以下の通りである。

  • 国内消費者の「コストパフォーマンス重視」へのシフト:所得の伸びを上回るインフレの進行により、消費者は手頃な価格と品質の両方を満たせるものを優先するようになり、手頃な価格のメニューやプロモーションへの需要が高まっている。
  • 観光客の飲食支出は抑制傾向:宿泊費や交通費の高騰により、観光客の食事予算が圧迫され、多くの観光客が外食を利用しているものの、1回あたりの平均飲食支出額は減少している。
  • 高額消費の中国人観光客の減少:中国が国内旅行を再び重視するようになった結果、タイを訪れる中国人観光客が減少し、飲食セクターにおける高額消費者の数が減少し、平均客単価をさらに押し下げている。

注:* 市場規模は、フルサービスレストラン(FSR)、限定/クイックサービスレストラン(LSR/QSR)、カフェ、および屋台・キオスクの売上高に基づいており、酒類を提供する店舗(パブ、バーなど)およびカフェテリアは除外されている
出所:ユーロモニターおよび公開情報

販売チャネル別市場

タイの主要チャネルは依然として店内飲食である一方で、サードパーティアプリを通じたデリバリーも飲食店の顧客層の拡大に貢献することで成長を続けている。

II. タイのフードサービス市場:販売チャネル別市場
店内飲食
  • 店内飲食は、依然として外食産業の主要な収益源となっている。主な理由は以下の通りである。
    • ・ビュッフェ、グリル/バーベキュー、火鍋といったコンセプトは、店内で食事をすることが前提となっている。
    • ・家族や友人との会食・集いの場として好まれている。
    • ・消費者は、自宅では再現できない内装やプロによる盛り付けといった、固有の体験を求めて訪れる。
デリバリー
  • デリバリーは、デジタル化の進展に加え、消費者が利便性や食材費の安さを重視する傾向に後押しされ、コロナ禍以降急速に成長している。
    • ・GrabやLINE MANなどのスーパーアプリが主流となり、グループ注文、複数店舗の注文、配達料の割引、時間の節約といった利便性を提供している。
    • ・しかし、そのサービスエリアは依然として特定の都市部に限定されている。
テイクアウト
  • ・テイクアウトの売上シェアは、消費者がデリバリーに移行する中で、わずかに減少している。
  • ・それでも、バンコクの都心部では、朝やランチタイムの「持ち帰り」時間帯において、そのスピードと利便性は依然として高く評価されている。
ドライブスルー
  • ・ドライブスルーは、旅行者に便利なサービスを提供するため、ガソリンスタンドに集中していることが多い。
  • ・最新ガソリンスタンドの拡大に伴い、シェアは微増している。

出所:ユーロモニター、公開情報

III. 最近の市場動向

オンラインデリバリーサービスの急増

コロナ禍以降、サードパーティプラットフォームの普及が進んだことで、タイのオンラインデリバリー市場が急拡大し、店舗が直接デリバリーを行う重要性は相対的に低下している。

III. 最近の市場動向:オンラインデリバリーサービスの急増
  • パンデミック前:市場は自社デリバリーとサードパーティデリバリーに分かれており、特にクイックサービスレストランでは自社デリバリーが一般的だった。
  • 2020~2022年:ロックダウンやソーシャルディスタンス対策により、店内飲食客数が急減した。生き残るため、多くの飲食店がサードパーティのデリバリープラットフォームに目を向け、プラットフォームの導入が急速に加速し、顧客基盤が拡大した。その結果、同期間におけるオンライン食品デリバリー売上高は年平均成長率(CAGR)48%で成長した。
  • 2023~2025年:パンデミックによる規制が緩和される中、パンデミック中にオンライン注文を試した多くの消費者は、その利便性からその習慣を維持した。こうしたサードパーティプラットフォームの継続的な利用が、オンライン食品デリバリー需要全体の持続的な成長をけん引した。
  • オンライン食品デリバリー市場は、以下の要因にけん引され、外食産業全体とほぼ同程度のペース、つまり年平均成長率(CAGR)約4%で成長すると予想される:
    • ・タイ飲食事業にとっての参入障壁の低下
    • ・急速な都市化による利便性への需要増
    • ・注文や支払を簡素化するデジタル化とモバイル決済
    • ・プラットフォーム間の競争激化、およびユーザー維持のための積極的なプロモーションやサービス拡大(例:食料品配達)

注:*サードパーティデリバリーとは、飲食店と提携して注文の物流管理や消費者へのデリバリーを行う、外部のテクノロジー主導型プラットフォーム(例:Grab、Line Man、Shopee Food)を指す
出所:ユーロモニター、公開情報

フルサービスレストランの主流はアジア料理

タイのフルサービスレストラン市場において、タイ料理を除けば、アジア料理が圧倒的な市場シェアを占めており、特に日本料理と中華料理の存在感が際立っている。

III. 最近の市場動向:フルサービスレストランの主流はアジア料理

タイの外食市場を席巻するアジアの味

  • 現在、フルサービスレストラン(FSR)市場規模(金額ベース)の80%をアジア料理が占めている。
  • 日本料理の圧倒的な存在感:タイ国内には5,916軒もの日本料理店があり、その存在感は際立っている。
    • ・日本料理は、中~高級のダイニングセグメントにおいて定番の座を維持し、寿司、ラーメン、丼物などの人気が高い。
    • ・タイの日本ブランドは、有名なチェーン店(スシロー、活美登利など)を筆頭に、一貫して高い水準を維持している。
    • ・日本料理店は、現在タイ国内の他の都市、特に2024年に9%の成長を記録したチェンマイにも拡大している。
  • 中国料理の新たなトレンド:2023年以降、この市場は中国のチェーン店から顕著な投資を集めている。カシコーン・リサーチによると、2024年のタイにおける中国料理店の数は約1,600店に達し、2023年比で14%増加した。
    • ・主に「麻辣ブーム」(例:海底撈、CQK Hotpot)にけん引され、中華料理の人気が急上昇。
    • ・タイ人の辛味や塩辛い味を好む食の嗜好により、中国ブランドは急拡大し、特にカジュアルダイニング形式の火鍋やしゃぶしゃぶ分野でその傾向が顕著である。

出所:ユーロモニター、JETRO、カシコーン・リサーチ、公開情報

存在感を高めるコンビニエンスストア

コンビニエンスストアは、限定サービスレストラン(LSR)市場で2020年以降50%以上のシェアを維持しており、成長をけん引している。 都市部の飲食事業者の間では、調理済み食品の持ち帰り(「グラブアンドゴー」)スタイルの導入が増加している。

III. 最近の市場動向:存在感を高めるコンビニエンスストア

LSR市場で存在感を高めるコンビニエンスストア

  • 2025年時点でコンビニエンスストアはLSR市場の56%を占め、2029年までの予測CAGRは6%となっている。
    • ・顧客利便性提供の一環として、調理済み食品を販売するコンビニエンスストアは、飲食事業者の脅威となり得る。
    • ・急速な都市化、ライフスタイルの変化、セブンイレブン・Lotus's Go Fresh・Mini Big Cといった大手チェーンによる集中的な店舗展開が、コンビニエンスストア業界の持続的な成長を後押ししている。
    • ・グローバルに展開するセブンイレブンは、2025年時点で1万5,000店舗を展開し、タイのコンビニエンスストア業界をリードしている。当業界成長の主な要因は、調理済み食品の販売、広範囲でのアクセスのよさ、流通チャネルの移行(トラディショナルからモダンへ)である。

「グラブアンドゴー」スタイルの台頭

  • 食事に時間をかける余裕がない消費者(移動中の人、都市部の通勤者、オフィスワーカーなど)の需要をコンビニエンスストアが取り込み、「グラブアンドゴー」スタイルが勢いを増している。
    • ・クイックサービスやカジュアルダイニングの事業者は、顧客の再流入と調理済み食品市場シェアの拡大を狙って、「グラブアンドゴー」スタイルを導入している。
    • ・「グラブアンドゴー」の導入は、店内飲食の売上減少の緩和や対コンビニの競争力強化を可能にする(Zen Groupの「Zen Box」、「Shinkanzen Sushi Go」など)。

出所:ユーロモニター、公開情報

屋台・キオスクの主流は飲料

手頃な価格、利便性、メニューの急速な革新に後押しされ、タイでは屋台やキオスクが依然として主要なバリューチャネルとなっている。 中国茶ブランドは、強力な価格戦略と商品のプレミアム化で、屋台チェーン市場でシェアを大幅に拡大している。

III. 最近の市場動向:屋台・キオスクの主流は飲料

市場概要

  • ・タイの屋台市場規模は2025年の3,210億バーツから2029年まで年平均成長率3.2%で成長すると予測されている。現在、独立系業者が市場の84%を占める。
  • ・成長をけん引する3つの主要な要因は、手頃な価格(インフレ下での競争力のある価格設定)、利便性(人通りの多い都市部への立地)、メニューの柔軟性(トレンドへの迅速な対応)である。

中国ブランドの台頭:キオスク市場における飲料セグメントの再編

新興の中国茶ブランドが競争を激化させ、大きな変化を生んでいる。タイでは現在、タイ、中国、台湾の事業者による45以上の茶ブランドが展開されており、以下の2つの明確な戦略を通じて市場に革新をもたらしている:

  • ・バリュー市場への拡大(手頃な価格):一部の新規参入企業は、Nobi-chaやFive Starといった手頃な価格の国内ブランドの成功を模倣している。例えばMixueは超低価格(15バーツ~)で市場に参入し、価格に敏感な消費者を巡って従来の販売業者と直接競合している。
  • ・プレミアム化とイノベーション:同時に、「Chagee」、「Naixue」、「Molly Tea」といった中国本土のブランドが、中~高級市場の空白を埋めている。これらは、従来の一般的な路地裏の店舗にはなかった、より高品質な原材料や目を引くビジュアルを導入している。

競合状況:新規参入者の急増によって消費者の選択肢が広がって、競争力維持を迫られているタイの事業者は、品質水準の向上、ブランドイメージの向上、サービスの迅速化を図っている。

出所:ユーロモニター、公開情報

IV. 消費者の動向

タイの消費者は、日々多忙な中で低価格・利便性を求めがちだが、社交目的やライフスタイルに関わる場面では、栄養面やコンセプト(健康志向やユニークな体験)を重視する傾向にある。

I. 「手頃でかつ付加価値の高い」サービス

生活費の高騰を背景に、都市部の低~中所得層は、「手頃でかつ付加価値の高い」ものへと選択的にシフトしている。リピート可能な「自分へのご褒美」として、高額な料金や堅苦しさを伴わないで上質な体験を得られる場所を求めている。これにより、成長の軸は平均客単価をわずかに抑えつつ来店頻度を高める方向へとシフトしており、客数と回転率が主要な成長要因となっている。
例:CRGの子会社である「Shinkanzen Sushi」は、立ち食い形式で「おまかせ」メニューを提供することで、価格を抑えつつ回転率を高めている。

II. 「時間の余裕」重視でデリバリーを選択

消費者は「時間の余裕」を重視し、行列に並ぶよりもデリバリーサービスを利用する傾向が強まっている。これにより、多くの都市部消費者にとっては、デリバリーが第一の選択肢となっている。
デリバリーという販売チャネルを持たない事業者は、デジタル対応済みの競合他社に比べて、一層不利な立場に置かれている。今後、新興技術が業界にさらなる変革をもたらし、顧客体験と業務効率が向上する見込み。

III. 味だけでなく、より良い体験を

SNSの影響が強い環境にあって、特にZ世代やミレニアル世代は、食材の産地・目的・本物らしさが伝わるストーリー性のあるメニュー、社会的な意義が感じられるような食体験を求める人が増えている。
例:ローカルの旬の食材を新しい調理法で調理した地域の味と現代風の特色を併せ持つローカル食の提供。季節限定メニューやトレンドを取り入れたメニューの組み合わせ(期待感や購入意欲を高め、リピート客の獲得につながる)。

IV. より健康的でアクティブなライフスタイル

タイはシルバーエコノミーへと移行しており、あらゆる消費者層の間で健康志向が強まっている。より健康志向が高まり、タンパク質や糖質の含有量を気にする人が増えていることから、飲食事業者は成分の詳細や追加オプションを提供する必要に迫られている。
例えば、タンパク質を増やす目的での追加肉や、飲料の甘さが調節できる選択肢などである。また、スポーツブランドとのコラボレーションイベントの開催は、大規模な飲食事業者にとっては理想的なプロモーションになる。

V. 業界構造

企業規模別の市場概況

タイの飲食店業界は、事業者数ベースでみると細分化が進んでいる一方、売上高・利益ベースでみると大規模事業者集中している。

V. 業界構造:企業規模別の市場概況

多数の小規模事業者が存在する細分化市場

  • ・タイの飲食店業界は、小規模な事業者が多数存在し、極めて細分化されている。
  • ・小規模事業は全事業者数の97%を占めるが、業界の売上高に占める割合はわずか26%にとどまっている。
  • ・小規模事業者は、激しい競争、運営コスト(エネルギー・食材価格)の上昇、および消費者購買力の低下により、利益率が低いかごくわずか、あるいはマイナスという「疲弊した」市場環境に直面している。

売上高は大企業(特に大手チェーン)に集中

  • ・大企業はコスト管理に優れ、場合によっては専門分野、高収益分野、またはプレミアムカジュアル分野を支配しているため、市場シェアはますます大手に集中しつつある。
  • ・2024年、飲食店の売上高全体の56%を大企業が占めた。ThaiBev、Minor Food、Central Restaurants Group(CRG)、MK Groupなどの主要企業に市場支配力と利益が集中している。

注:事業規模は売上高によって分類 S:売上高5,000万バーツ未満 M:売上高3億バーツ以下 L:売上高3億バーツ超
出所:商務省事業開発局

飲食事業者の地理的分布

タイの飲食事業者は、バンコクやチョンブリー、プーケット、チェンマイなど観光県に集中している。 一方で、ラヨーンとパトゥムターニーは、新たな工業団地の設立やバンコク郊外への住宅地の拡大の影響を受け、2021年以降、著しい成長を見せている。

V. 業界構造:飲食事業者の地理的分布

タイ飲食市場をけん引するバンコク+観光県での拡大

  • ・バンコクはタイの飲食市場をけん引している。2025年時点で、営業中の店舗を運営する事業者数は10,462存在し、移住者による人口密度の高さと一人当たりの消費額の高さに支えられ、2021年以降約11%の年平均成長率(CAGR)を記録している。
  • ・観光地では、チョンブリー、プーケット、チェンマイ、スラタニといった飲食店が集中する地域で、飲食事業者数の増加が際立っている。

新興の工業・住宅地域での急成長

  • ・観光地以外の県でも飲食事業者の拡大が顕著であり、ラヨーン(年平均成長率28%)やパトゥムターニー(同21%)など、一部の地域では20%を超える成長率を示している。
  • ・ラヨーン県の成長は、EECに関連する新たな製造業の拡大と出稼ぎ労働者に起因する。
  • ・パトゥムターニーの成長は、大学や近隣住宅開発の拡大に支えられている。

注:全国に複数の店舗を持つ企業は本社をバンコクに登録している場合があるため、登録企業数は実際の飲食店店舗数とは一致しない。
出所:商務省事業開発局

VI. 競争環境

主要飲食事業者

以下は、売上高上位10社の飲食チェーン運営会社の一覧である。

ランク会社名ブランド例2024年売上高
(百万バーツ)
店舗数FSRLSR飲料アジア欧州米国
1MK RESTAURANT GROUP PLC.(MK)MKレストラン、ヤヨイ、Laem Chareon Seafood12,677692
2CENTRAL RESTAURANTS GROUP CO.,LTD.(CRG)KFC、ミスタードーナツ、Auntie Anne's、ペッパーランチ、大戸屋11,7081,300
3THE QSR OF ASIA CO.,LTD.*KFC10,635500
4MCTHAI CO.,LTD.マクドナルド7,957228
5BNN RESTAURANT GROUP CO.,LTD.Suki Teenoi7,02990
6S&P SYNDICATE PUBLIC CO.,LTD.S&P Restaurant and Bakery, Bluecup Coffee5,706470
7THE MINOR FOOD GROUP PLC.The Pizza Company, Swensen's, Sizzler, Burger King5,3711,500
8OISHI GROUP PLC.*Shabushi, Oishi ramen, Oishi Buffet5,361284
9CPF RESTAURANT AND FOOD CHAIN CO.,LTD.Chester's, Five Star5,183~5,000
10SUSHIRO GH(THAILAND)LTD.スシロー2,87741

注:*The QSR of Asia Co., Ltd. および Oishi Group Plc. は、Thai Beverage Plc. 傘下の企業である
出所:BOLおよび各社の年次報告書56-1

主要飲食チェーンの戦略的動向

タイの主要チェーンにとっての最優先課題は、以下の4つである。①ブランド拡大・ポートフォリオ多様化、②アセットライト・国外展開、③デジタル化、④顧客志向戦略の強化

主要飲食店チェーンの最優先課題と動向

ブランド拡大・
ポートフォリオ多様化

M&Aや海外フランチャイズ権取得によるブランドポートフォリオ拡大
アセットライト・国外展開
フランチャイズ化による店舗網拡大と海外展開の加速
デジタル化による業務効率化・オムニチャネル
AI、キオスク、アプリ、クラウドキッチンなどでの効率化とチャネル統合
顧客志向戦略の強化
価格設定、コンセプト革新、立地戦略による顧客接点の拡大と差別化
  • MK Restaurant Group:主力の「Suki」を軸に据えつつ、新たに日本発ハンバーガーチェーンを取得し、店舗展開と小売・調味料等の流通(例:MKディッピングソースなど)を通じてブランド収益化を図っている。
  • Central Restaurants Group(CRG):ターゲットを絞ったM&Aや合弁事業(2025年のLucky Sukiへの戦略的投資など)を通じて、「Greater WE」戦略を推進し、新たな成長カーブを描くための事業ポートフォリオ拡充を進めている。
  • Minor Food Group(MINOR):アセットライトモデルを採用し、資本効率と機動性を高めつつ、マルチブランドのクラウドキッチンを活用して、最小限の設備投資でデリバリーのカバー網を拡大している。
  • Oishi Group(ThaiBev):親会社ThaiBevのグローバル物流ネットワークを活用し、国際的な流通と海外市場への浸透を加速している。
  • Sushiro GH(Thailand):AIベースのレーン管理システムによるテクノロジー駆動型の運営で、廃棄物を削減し、鮮度維持を実現している。
  • Central Restaurants Group(CRG):オムニチャネルのエコシステムからデータを収集し、AIを活用したパーソナライズド・マーケティングを展開。デリバリーアプリや実店舗において、11のブランドをまたぐマルチブランドのクラウドキッチンやショップインショップで、1回の取引で複数ブランドでの横断的勾配を可能にしている。
  • Sushiro GH(Thailand):購買力の高い都市部の主要高級モールなどを中心に、戦略的な立地で集客力を高めている。
  • MK Restaurant Group:219~299バーツのビュッフェという積極的な価格戦略を実施し、中低価格帯の市場を獲得して既存店売上高(SSSG)を押し上げている。
  • BNN Restaurant Group:5つ星ホテルのシェフと提携した「Teenoi Gold」で料理の質を向上させ、明確な市場ポジションを確立している。

外資系企業の成功事例

Sushiro GH Thailand Co., Ltd.

タイ企業の成功事例

Central Restaurants Group(CRG)

VII. 規制の枠組み

外国投資に対する規制上の制約

主な規制

推奨されるビジネスモデル

飲食店営業許可および酒類販売免許

飲食店営業許可

酒類販売免許

VIII. 今後の動向・機会・課題

DXが業界の在り方を変えつつあり、観光チャネルや都市近郊の人口密度の高い地方都市に成長機会をもたらしている。一方で、消費者の購買力低下、コスト上昇、競争激化といった逆風も存在する。

今後のトレンド 機会 課題

DXによる統合の推進

  • 技術導入はもはや選択ではなく必須である。
  • 先進的な事業者は顧客接点から店舗バックヤードまでを統合したデータ駆動型のシステムに投資している。(例:ロイヤリティプログラムとCRMの連携、AIによる需要予測、在庫・人員配置の最適化、QRコード注文、キャッシュレス決済、自動化キッチン機器)

限定サービス、キオスク、「グラブアンドゴー」スタイルの台頭

  • 経済的な負担の増大と多忙なライフスタイルの影響で、より低価格で手早く済ませられる食事に対する需要が高まっている。
  • 限定サービスモデル(キオスク、「グラブアンドゴー」スタイル、超小型店舗など)は、運営コストの削減やサービス時間の短縮が可能なため、通勤者や利便性重視の顧客への対応に適しており、都市部や交通拠点などで拡大している。

パートナーシップとイノベーション

  • 実績のある現地ブランドや事業者とパートナーシップを組む、またはマスターフランチャイズ契約を結ぶことで、市場参入を加速し、ブランド認知度を高め、市場投入に伴うリスクを抑えることができる。
  • 差別化には、独占的な地域権・業態権の交渉、現地向けメニューの共同開発、パートナーの運営ノウハウの活用などが考えられる。

有望な立地

  • 出店は有望な立地を狙うべきである。具体的には規模拡大と通年で安定需要が見込めるバンコク、および収益性の高い季節需要が見込めるプーケットやチョンブリなどの観光拠点が挙げられる。
  • ただし、これらの市場は成長機会が大きい一方で、競争が激しいため、慎重な立地選定と競合分析が必要となる。

メニューの革新と差別化

  • 健康志向や持続可能性、環境に配慮した食への需要が高まっている。これらに対応した商品を開発し、明確にポジショニングを打ち出せる事業者は、市場シェアの獲得、プレミアム価格の設定、ブランド差別化が可能である。

消費者購買力の低下

  • タイではインフレの高止まりにより、消費者の裁量支出が抑制され、外食需要が低価格帯へとシフトしている。
  • この変化で、需要の変動性が高まり、価格設定、プロモーション、提供価値に対する綿密なモニタリングの必要性が生じている。

運営コストの上昇

  • エネルギー価格、家賃、原材料価格の上昇や主要経済圏での最低賃金引上げが、運営費を押し上げ、利益率を圧迫している。

大手チェーン・海外新規参入企業による競争激化

  • 市場は細分化が進んでいるものの、大手チェーンが支配的であり、飽和状態が進みつつある。
  • 低コストの外国企業(一部の中国チェーンなど)の参入により、価格やシェアをめぐる競争が激化している。

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執筆:山田コンサルティンググループ株式会社 海外事業本部 タイ現地法人

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