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2021/07/07

テーマ: 03.海外

タイの再生可能エネルギー事情

目次

規制環境

政府目標:2036年までに再生可能エネルギー比率を倍増

・タイではエネルギー省(MOE)と首相がエネルギー政策を決定する。エネルギーセクターの基本戦略の策定はMOEのエネルギー政策計画局(EPPO)が責任を負う。

・タイ発電公社(EGAT)は、総資産9.000億バーツ超の国営の主要発電機関であり、国内全域に送電網を有する唯一の事業者でもある。地方配電公社(PEA)と首都圏配電公社(MEA)は、それぞれ各地方と首都圏の配電を担っている。

投資インセンティブ

外国投資を促進を目的とする様々なインセンティブ

・タイ投資委員会(BOI)は、再生可能エネルギーへの投資を促進するため、法人税免税(最長8年)、機械や原材料の輸入関税免除、通常は認められていない外資100%企業による土地の購入や外国人専門家の雇用を許可するなど様々なインセンティブを提供している。

市場の概要

再生可能エネルギー生産能力:2019~2036年の予測年平均成長率は3%

・天然ガスの埋蔵量があと5~6年で枯渇すると推定されているため、 PDP(電源開発計画)2018– 2036では再生可能エネルギーによる発電量増強に重点を置いている。再生可能エネルギーの生産者は SPP(小規模電力生産者)または VSPP(極小規模電力生産者)のいずれかである。

・2019年~2036年までの再生可能エネルギーの予測年平均成長率は、バイオガスが5.4%と最も高く、次いで太陽光(4.2%)と風力(4.1%)となっている。水力発電は0.3%と最も低い。

タイ再生可能エネルギー市場の主要プレーヤー

細分化が進む再生可能エネルギー市場、主流は太陽光と風力

・タイの太陽光・風力エネルギー市場には小規模なプレーヤーが多数存在する。これに加えて従来型のエネルギー企業、例えばRATCH、Gunkul Engineering、The Electricity Generating Public Company Limited (EGCO)なども徐々に再生可能エネルギー市場に参入している。

・Mitrphol Sugar、Khonburi Sugar、Khon Khon Kaen Sugarなどの製糖会社は独自のバイオマス発電設備を所有し、またEiamheng Tapiocaなどのタピオカ製造会社はバイオガス発電設備を所有しており、副産物を利用した発電により利益率を向上させている。

今後数年間着実な伸びが見込まれるバイオマス、太陽光、風力

・政府が屋上太陽電池の電力供給を自由化したことで、タイの太陽光発電のプロジェクトは継続的に最高水準の投資を引き付けている。再生可能エネルギーの中で、コストやリソースの面で最も競争力があるのはバイオマス、廃棄物処理、バイオガスである。

・タイ発電公社(EGAT)は2021年までに、投資誘致見込みの高い地域に風力・水力に必要な送電線を設置する見込みであり、それまでの間投資家は風力および水力への投資を見合わせる必要がある。

SPP(小規模電力生産者)

固定型SPPプロジェクトはバイオマス、非固定型SPPプロジェクトは風力と太陽光が主流

・SPP(小規模電力生産者)スキームは ① タイ発電公社(EGAT)に25年契約で電力供給をする固定型と ② 5年契約の非固定型(5年単位で延長可能)に分類される。

・固定型SPPプロジェクトは、SPPが電力需要のピーク月間に電力供給を保証するというもので、対価はEGATの長期的な回避費用(SPPからの調達によって、発電・調達をせずにすみ、支出を免れた費用)および発電原価によって決まる。非固定型SPPの場合、供給可能な時はいつでも販売でき、ペナルティリスクが低く、電力量料金支払いの対象となる。

SPPスキームが政府の投資負担を軽減

・SPP (小規模電力生産者) スキームは、電力インフラ投資への政府の負担を軽減しつつ、再生可能エネルギーによる発電の促進を目的に、1992年3月17日に導入された。

・2006年、国家エネルギー委員会は あらゆるエネルギー源の電力をタイ発電公社(EGAT) が 3,200MW~4,000MW購入することを承認した。これを受けてEGATは2007年にSPP(10MW~90MW)から電力を購入すると発表した。

・2017年、エネルギー省(MOE)はSPPハイブリッドファームと呼ばれる新しいSPPスキームを開始した。

VSPP(極小規模電力生産者)

VSPPは太陽光発電が主流

・VSPP(極小規模電力生産者)は再生可能エネルギーから電力を生産して自社で利用し、プロジェクトが実行されている限り、余剰電力を首都圏配電公社(MEA)や地方配電公社(PEA)に販売する。買取価格は燃料の種類によって決定される。VSPPの多くは再生可能エネルギーシステムの設計・設置を行う建設請負業者やエンジニアあるいは太陽電池・関連機器の製造業者である。

・VSPPの収入は、①建設工事や発電に使用される機器・材料の調達・設置に伴って発生するコスト、および②送電網への電力販売による収入によって異なる。

従来エネルギーよりも低いコストをもたらしたFITが初期投資誘致に貢献

・タイでは2006年に市場価格に料金を上乗せする電力買取制度としてAdderが導入されたが、その後 2018年には固定価格買取制度(FIT) に置き換えられた。最長契約期間は、Adderが10年だったのに対し、FITは最長25年である。

・FITの下では、首都圏配電公社(MEA)や地方配電公社(PEA) に一定期間販売するエネルギーに対してエネルギー生産者が受け取る固定価格を電力購入契約(PPA)で規定する。これにより再生可能エネルギーへの投資を確保する

・FIT価格は、① 資本・運用・保守費用(固定)、② バイオエネルギー価格(変動)、および③ バイオエネルギーを使用するプロジェクトの場合で開始から8年間を対象とするプレミアム(割増料金)で構成される。

山田コンサルの提案

タイの再生可能エネルギー市場への参入方法

2021年のトレンドとポイント

タイの今後のエネルギー供給環境について

スマートシティ開発および再生可能エネルギーの公共プロジェクト
・タイ政府は、2022年までにすべての大都市圏をスマートシティ化させることを目指している。デジタル経済振興庁(DEPA)によると、これまでに、プーケット、チェンマイ、コーンケン、バンコク、チョンブリー、ラヨーン、チャチュンサオ、ヤラ、ナコンラチャシマの9県内の20都市が 政府のスマートシティ都市計画の申請を行っている 。

・タイ発電公社(EGAT)は、PDP(電源開発計画)2018–2036目標達成の一環として、水力発電と太陽光発電を組み合わせた世界最大級の水上太陽光発電施設(容量45MW)の開発・設置を行うパイロットプロジェクト( 東北部ウボンラーチャターニー県シリントンダム施設)を含め複数のプロジェクトを実行している。EGATは全国の合計9つのダムで水上太陽光発電施設の開発に取り組んでいる(総容量2,725MW)。

エネルギー需要へのCOVID-19の影響
・多くの人が在宅勤務になったことで人々の生活パターンが変わり、従来のピークシフトの見直しが余儀なくされた。世界全体の電力・エネルギー需要は2020年第1四半期に平均25%減少した。電力需要負荷が平準化されると、非再生可能エネルギーによるバックアップや蓄電の必要性が低下する。

新たな解決策が求められるエネルギーの分散化とデジタル化
・スマートシティにおいては、石炭やガスをエネルギー源とする一元化された従来の供給システムとは異なり、ローカル分散型のマイクログリッドを使用して管理することで持続可能エネルギーの供給が可能になる。こうしたスマートグリッドは主に太陽光 や風力の電源に接続され、CO2排出量の削減やエネルギー効率の向上をもたらす。また、数日間であればオフグリッドでスマートシティに電力を供給できる。スマートグリッドの機能が柔軟、効率的、「スマート」であればあるほど電源構成を多様化し、ボトルネックを減らせるため、ネットワークとグリッドインフラの整備が重要になる。

・スマートグリッド事業は広く開かれているため、ハイテクやIoTを活用するエネルギー貯蔵システムおよびHVACや貯蔵などB2Bのエネルギー施設管理サービスが提供可能な小規模企業や外国企業などの参加や提携も可能である。

・スマートグリッドや持続可能なエネルギー管理には、一連の新たな解決策が求められる。需給バランス最適化の必要性から、自動化や制御が可能なセンサー、デジタルデータ活用のためのスマートメーターや分析ソフトウェアなどのメーカーが出現すると思われる。また、スマートグリッドやエネルギー貯蔵システムに不可欠なリチウムイオン電池や高度な電子制御装置の需要が高まることで、タイのスマートグリッドのインフラプロジェクトへの外国企業の参加機会がもたらされるものと予想される。

・今後タイのエネルギー会社は、ハイテク会社と提携して、従量課金制でのモバイル電力供給、マイクログリッド投資、ソーラーキオスク(*)などのサービスを提供することが予想される。

(*)ソーラーキオスクは、用途に合わせて設計をカスタマイズできる汎用性の高い小売り店舗で、売電オフモードでは、太陽光発電で得た電力を小売店の
電気設備、機器、モバイル充電ステーション、等に利用することが可能なもの

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<お問合せ先>
山田コンサルティンググループ(株) タイ現地法人
global-support@yamada-cg.co.jp

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