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2021/07/07

テーマ: 03.海外 07.不動産

ベトナム不動産開発事情と住宅設備市場

目次

ベトナム産業レポートの発刊にあたって

今、ベトナムで注目される 産業にフォーカスして、市場の現状と主要プレーヤーなどに関し解説を行います。 第 1 回は不動産 と住宅設備市場、 第 2 回は食品 ・飲料市場、その後、教育 などを予定しています。

ベトナム産業レポート
第1回 不動産と住宅設備市場

1.ベトナム概況

1) コロナ禍でのベトナムの経済事情

コロナ禍においても、不動産開発や住宅設備販売等ベトナムの内需は非常に好調です。ベトナムの足元の経済成長率は、コロナ以前の2019年までは6%超、2019年は7.0%と輸出を中心に非常に好調でしたが、2020年は2.91%まで下落しています。これは、観光産業がGDPの5%程度を占めるベトナムにおいて、海外からの観光客の入国が難しい状況が続き、サービス業等がマイナス要因となって経済成長が鈍化したためです。他方で、サービス業を除く分野、特に製造業を中心に輸出は非常に好調であり、サービス業を除くと6~7%の成長を継続しています。

ハノイ市・ホーチミン市周辺部の各省市ごとの経済成長率は、ハノイ市・ホーチミン市よりも周辺部の工業団地が広がるエリアで高くなっており、堅調な輸出を牽引しています。ハノイ市やホーチミン市など一部の省市では一人当たり GDP は5,000ドル超の水準です。一人当たりGDPが3,000ドルを超えるとモータリゼーションが始まっていると言われており、アパート(マンション)を買い、自家用車を持ち、外資系の教育機関に子供を通わせる、そして食事は、例えば和食など海外の食事をとると言った生活スタイルへと変化をします。

2)出生率と人口構成の推移

ベトナムは、少子化が進み、2000年以降、出生率は2011年の1.99%まで低下しました。その後はV字回復し、2019年には2.09%まで回復しています。もともと緩やかな家族計画である、いわゆる「二人っ子政策」を行っていましたが、子供の数に関するコントロールはその後なくなり、2011年以降は少子化を防ぐ方向に舵を切り、若年層が減らないような政策へと転換しました。ベトナムでは65歳以上の高齢者は700万人しかおらず、労働年齢にあたる15歳から64歳が圧倒的に多く、そして、14歳以下の若年層も2割を超えています。

また、経済成長と共に中間層が増えてきています。1日あたり15ドル以上の購買力を持つ層は2021年には10%程度ですが、これが2030年には30%程度まで拡大していくと見られています。まさに、この中間層が消費の中心となり、その層の拡大がこれから10年のベトナムのトレンドになるものと思われます。

2.ベトナムの不動産開発事情

不動産開発(建設実績)は2020年でもコロナの影響をほとんど受けておらず、住宅および非住宅・オフィス等はそれぞれ今後7.4%、6.9%のペースで成長するものと予想されています。ハノイ市の西側にはランドマーク72という72階建ての高層ビルが建っておりますが、その周辺の10年前には水田や畑であったエリアに、現在ではアパートが次々立ち並んでいます。もともとこのランドマーク72の立地自体が郊外であるというのが10年前の印象ですが、現在はランドマーク72が面する環状3号線より内側のエリアでは空いた土地がほとんどなくなり、さらに環状3号線よりさらに5 km程度外側が今後開発されるエリアになっています。ハノイ市だけでなくホーチミン市も徐々に郊外へと開発の中心が移っているのです。こうした背景には農村部から都市部への人口流入が継続しており、人口流入と中間層の増加により、今後も大都市圏を中心に住宅開発が進んでいくことが見込まれます。

ベトナムの現在の世帯構成を見ると、4人世帯がひと際多く、最も増加率も高くなっています。子供2人の4人家族が典型的なベトナムのモデルケースです。よくベトナムでは祖父・祖母と一緒に暮らしていると聞くことがありますが、近隣に住むケースが圧倒的に多く、同じ家に大家族で住むケースは稀です。4人世帯が今後も増加し、100㎡程度で3ベッドルーム、日本のイメージですと3LDKのようなアパートが今後のトレンドと考えられます。

現在、ハノイ市やホーチミン市を中心に供給されるアパートを価格帯ごとに見ると、売れ筋はミッドエンドやハイエンドのものです。1㎡あたり1,000米ドルから2,000米ドル程度、日本円に換算すると100㎡で1千万円から2千万円程度のアパートが売れ筋になっています。それに次ぐのが、ハイエンドで、およそ2,000米ドルから4,000米ドル程度、100㎡でおよそ2千万円から4千万円程度になります。ミッドエンドからハイエンドではハノイ市とホーチミン市では同じような傾向になっていますが、逆に、ローエンド、1㎡あたり1,000米ドルを切るようなアパートの販売は、ホーチミン市では徐々に減少しています。他方、ハノイ市では依然として、ローエンドのアパートが3割程度を占めています。ベトナムの不動産全体では、非常に高価な物件もあり、ホーチミン市内でも1億円を超えるような物件も話題に挙がりますが、全体でみると少数です。ミッドエンドやハイエンドが中心であり、増加する中間層がこれらのクラスのアパートを購入しています。

これらのアパートは、Vinhomesに代表されるような不動産を中心とした企業グループによって共有されています。Vinhomesのラインナップは、ミッドエンドからラグジュアリーのものまで様々です。FLCはラグジュアリーよりローエンドからハイエンドを中心に供給しています。中堅デベロッパーのNam LongやNovalandなどは、ミッドエンドやハイエンドを中心に供給しており、Nam Longはローエンドからミッドエンドのやや価格帯の安い物件が中心です。また、ハノイ市やホーチミン市だけでなく、地方都市でもVinhomesやFLCなどのデベロッパーは開発を進めています。例えば、ホーチミン市から300~400㎞程度離れた中部の地方都市でも、VinhomesやFLCがローエンドやミッドエンドのアパートを開発しています。

デベロッパーは、開発の全体計画となるマスタープランを作成しており、外資系企業はこのマスタープランの中の一角を共同開発する形で参入することとなります。多くの場合、ベトナム側がSPCを設立し、そのSPCの株式を取得するというスキームです。デベロッパーがハノイ市やホーチミン市の郊外においてマスタープランを数多く作成しており、その中からどのプロジェクトを一緒に進めるのか選択していくことがポイントとなります。

3.住宅設備市場

ベトナムの約80%のアパートは、半家具付き、つまり水回りなどが備え付けられた形で供給されています。スケルトン(コンクリートを打っただけの物)で提供されるものは約17%、家具まで全てフル装備のものはわずか3%であり、一部のラグジュアリーブランドのコンドテルなどが家具付きで供給されています。衛生陶器などの水回り関連の製品は、デベロッパー等に直接販売する形になっています。それ以外の住宅設備製品は、消費者、つまりこのマンションを買った人が自ら調達することが多いため、代理店などを経由して消費者に販売していくことになります。

住宅設備製品の商流は、水回り設備に関してはデベロッパーにダイレクト、それ以外の製品は卸売や小売店などへのネットワークを持つ代理店となるパートナーを見つける必要があります。ベトナムでは、住宅設備一式をまとめて供給してくれる企業がほとんど存在していないのが現状です。
デベロッパーから見た調達形態は、サプライヤーに直接発注するというケースが稀にあります。デベロッパーの社長が個人的にコネクションのあるサプライヤーを直接指名するケースです。これは非常にスケジュールがタイトな案件などに限られています。

ベトナムの消費者がアパートを購入する際、システムキッチンや水回り、トイレなどに注目しています。これらの製品は、最初に全ての候補企業から入札を取り、3社程度を選定したうえで、社長に対してプレゼンを行い最終決定しています。実際には、最低価格の製品が選定されることが多いようです。それ以外の製品に関しては、コンストラクターがサプライヤーを決定するようなケースもありますので、場合によってはコンストラクターを見つけ、直接交渉することも必要になってきます。

一方で、ベトナム系の住宅設備メーカーもここ数年で成長してきています。製品ラインナップ見ますと、もともとベトナム南部のビンズン省やドンナイ省は木製家具を作る会社が非常に多く、これらの企業が床材やドア、キッチン、寝具など、木製家具から派生して徐々にこういったものを作り始め、品質も向上してきています。住宅設備市場への参入に際し、これらの企業と提携などを行うことが想定されますが、実際、これらの企業がどのプロジェクトに製品を販売しているのかを事前に確認した上でパートナーを選定することがポイントです。

ベトナムの地場の不動産建設案件では、ゼネコンに建設を一括発注するケースは多くなく、土木は土木系の建設会社、建築は建築系の建設会社など、デベロッパーがサブコンに個別に発注を行うケースも多くなっています。かなり細分化されたサブコンが無数に存在していましたが、このコロナをきっかけにサブコン同士の合併が増加する傾向にあります。例えば、建築中心の企業が電気系に強いサブコンを取り込むケースや、水回りに強い企業を取り込むケースなどが見られます。市場参入にあたり、各サブコンの業務内容やプロジェクトの実績の調査を事前にしっかり行うことがポイントです。

執筆:YAMADA Consulting & Spire Vietnam Co., Ltd.
(山田コンサルティンググループ株式会社 ベトナム現地法人)

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