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M&Aの基礎知識 5. 中小企業のM&Aにおける法律手続きの注意点・留意点

M&Aにおいては、売手と買手で締結される契約(基本合意、最終契約)だけでなく、情報開示(法定開示、適時開示)、労働契約、独占禁止法など、各種の法規制を押さえる必要があります。これがM&Aは「法律のるつぼ」ともいわれる所以です。 売手企業と買手企業との契約にあたっては、多くの場合、秘密保持契約書、基本合意書、最終契約書の3つが作成されます。 秘密保持契約はM&Aの当事者が、相互に情報開示を行う前提として最初に締結する契約です。基本合意書の作成は必須のものではなく、M&Aの基本的な条件が法的拘束力を有しない形で規定されるものです。最終契約書の内容は、M&Aの手法によって異なりますが、株式譲渡および事業譲渡の場合は、どのような事項を取り決めるかについて会社法上の定めはないため、契約の内容は当事者間の交渉に委ねられます。

5-5. M&A取引に係る独占禁止法の規制

 

M&A取引に係る独占禁止法の規制とは

大型のM&A取引の場合、独占禁止法による届出事由に該当しないかに注意する必要がある。
独占禁止法は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることを目的としており、不公正な取引方法を規制している。

独占禁止法は、M&A取引のうち、株式保有、役員兼任、合併会社分割、共同株式移転および事業等の譲受け(企業結合)について、①企業結合による影響を実質的に判断して悪影響の蓋然性がある場合を禁止する実質面の規制(実体規制)と、②一定規模以上の企業結合について事前届出を要求する形式面の規制(届出規制)を設けている。

(独占禁止法による規制①)実体規制

独占禁止法においては、企業結合によって「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」や、企業結合が「不公正な取引方法」によるものである場合は、企業結合が禁止されている。これらの独占禁止法による規制は、企業結合が競争に与える実質的な影響に着目するものである。
M&Aの場合は、実行してもすぐに独占禁止法上の弊害が生じるわけではなく、独占禁止法上の弊害を生じさせる行為が行われやすくなるに留まる。
そのため、独占禁止法における実体規制において、現に独占禁止法上の弊害が生じていなくても、その可能性が高いものを禁止している。
この独占禁止法における実体規制として、具体的には、競争単位が減少することにより対価を容易に引き上げることができるような競争の制限、取引関係間で企業結合することによる他社の排除などが起こり得るケースが考えられる。

(独占禁止法による規制②)届出規制

独占禁止法は、会社が株式の取得、合併、会社分割、共同株式移転、および事業等の譲受けを行うにあたり、一定規模以上の場合には公正取引委員会に事前の届出することを義務付けている。
例えば、株式取得の届出要件の場合では、(独占禁止法上の要件①)に該当する会社が(独占禁止法上の要件②)に該当する会社の株式を取得しようとする場合において、(独占禁止法上の要件③)に該当することとなった場合に事前の届出が必要となる(独占禁止法第10条第2項)。

□独占禁止法上の要件①

株式を取得しようとする会社及び当該会社の属する企業結合集団に属する当該会社以外の会社等の国内売上高の合計額(国内売上高合計額)が200億円を超える場合。

□独占禁止法上の要件②

株式発行会社及びその子会社の国内売上高の合計額が50億円を超える場合。

□独占禁止法上の要件③

株式発行会社の株式を取得しようとする場合において,株式発行会社の総株主の議決権の数に占める届出会社が取得の後において所有することとなる当該株式発行会社の株式に係る議決権の数と届出会社の属する企業結合集団に属する当該届出会社以外の会社等が所有する当該株式発行会社の株式に係る議決権の数とを合計した議決権の数の割合(議決権保有割合)が新たに20%又は50%を超えることとなる場合。

なお、株式取得に関する計画の届出には、次の書類等が必要となる。
□株式取得に関する計画届出書
□添付書類(昭和28年公正取引委員会規則第1号第2条の6第2項に掲げる書類)
・株式の取得に関する契約書の写又は意思決定を証するに足りる書類
・届出会社の最近一事業年度の事業報告,貸借対照表及び損益計算書
・株式の取得に関し株主総会の決議又は総社員の同意があったときには,その決議又は同意の記録の写し
・届出会社の属する企業結合集団の最終親会社により作成された有価証券報告書その他当該届出会社が属する企業結合集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なもの

事前届出の対象となる場合、届出が受理されてから30日を経過しなければ、取引を実行することができない。
ただし、公正取引委員会は、必要があると認める場合には期間を短縮することができる。
公正取引委員会からの排除措置命令を行わない旨の通知があれば、株式譲渡を行うことが可能となる。
しかし、この通知により、株式取得の禁止期間が自動的に短縮されるわけではないので注意が必要である。

 
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