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当社事例

2020/12/29

テーマ: 02.M&A

入札方式の売却プロセスにより希望価格を超えたM&A事例

X社 A社
事業内容:ソフトウェア開発業 事業内容:ソフトウェア開発
エリア:関東地方 エリア:関東地方
売上規模:約10億円 売上規模:約300億円

当社の関わり方

背景・売手オーナー様の課題

X社は約25年前に、製造業に従事していた職場の同僚4名(以下「創業メンバー」という)がスピンアウトして設立された開発企業である。創業メンバー全員が取締役として在籍しており、そのうち、1名を除いた3名がX社の社長を経験している。X社株式の保有状況は、シェアこそ均等ではないものの、4人で100%保有できている。
医療機器関連のソフトウェア開発に特長があり、高齢化、医療の高度化も追い風となり、近年の業績は右肩上がりの状況であった。

創業から25年経ち、創業メンバー全員が60歳を過ぎて、1名が病を患ったことから、創業メンバーで議論を重ねた結果、「4人で始めた会社なのだから、4人とも一緒に会社から離れよう」という結論に至った。MBOが出来るような社内の経営幹部・従業員も不在であったことから、M&Aによる事業承継を検討することにした。
創業メンバーが同時に会社の経営から離れ、また株式も同時に譲渡するに至った背景は、創業メンバーの誰かが損をして、誰かが得をすることで、人間関係が崩壊する可能性を排除するためである。和を重んじる日本人的な発想であり、その仲間意識、横並び意識のようなものがあったからこそ、25年にも渡り、誰も離脱せず経営を続けることができた。

M&Aを選択することには4人全員で合意した。しかし、どういった先とM&Aをしたいか、いくらで株式譲渡をしたいか、譲渡後の経営関与(引き継ぎ等)の可否等については、それぞれの意見があり、一致させることは難しい。そのため、まずは株式の譲渡価格を判断基準の最優先事項として、M&Aプロセスを進めることにした。

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M&Aの進め方&成約のポイント

買手候補選定の基本方針

  • ● 譲渡価格を最優先事項とする。
  • ● 従業員の雇用の確保及び、処遇維持は前提条件とする。
  • ● 入札形式で売却プロセスを進めることで、効率的かつ好条件の売却先を選定する。

A社を選定した理由

  • ● 入札において最高額を提示した。
  • ● A社は金融関連のソフトウェア開発を得意としており、医療関連のノウハウが不足していたため、従業員を大切にして貰えると期待できた。
  • ●上場会社であり、財務的にも優良企業であった。

成約のポイント

  • ● 創業メンバー間で揉め事等がなく、株主間の関係性が良好であった。
  • ● 判断基準を「譲渡価格」と明確に決めたことで、意思決定がスムーズにできた。
  • ● 弊社は、ソフトウェア開発業に関する買収ニーズを多数保有しており、特にX社が営む医療関連のソフトウェア開発業は専門性が高いため、多数の買手候補が存在した。

結果

想定を超えた高値でのM&Aの実現

  • ● 入札形式による売却プロセスを実行したこと、及び事業内容に成長性があり、財務内容も良好であったことが奏功し、創業メンバーが想定していた希望譲渡価格より、1.5倍近い高値でのM&Aが実現した。

創業メンバー全員が納得して引退した

  • ● 引き継ぎの業務量、担当職務によって多少の差はあったものの、事実上同じタイミングで経営から身を引くことが出来た。
  • ● 各人の手取り額は株式持分による差こそあったものの、想定を超えた高額での売却だったこともあり、創業メンバー全員が納得できるM&Aが実現した。

X社の存続及び雇用の維持

  • ● A社は大手企業であり、財務的な後ろ盾を得たことで雇用の安定性が増した。
  • ● 広義での同業ではあったが、得意領域が異なるため、A社のプロパー従業員が尊重される組織運営がなされた。