当社事例
公開日:2020/12/29
テーマ: 01.事業承継 02.M&A
後継者問題の解決と会社の再成長のため大手へ譲渡したM&A事例
X社 | A社 |
事業内容:製造業 | 事業内容:商社 |
エリア:東海地方 | エリア:全国展開 |
売上規模:約15億円 | 売上規模:約500億円 |
当社の関わり方
背景・売手オーナー様の課題
X社のオーナー社長(以下「社長」という)は60歳を過ぎたころであり、10年前に先代から経営を引き継いだ。高い技術力と取引先である大手企業との強固な信頼関係により、業績は長年に渡って堅調である。
そのような経営状況にあるにも関わらず、社長がM&Aを検討する理由は2つあった。
一つは、実質的に後継者が不在であったこと。
社長のご子息は3年前に大手企業のエンジニアを辞め、事業承継を前提として役員として会社に入っていた。社内外からも次期社長であると思われており、本人も当初はそのつもりでいた。しかし、根っからの技術畑タイプの性格であり、経営、マネジメントには興味を持てない。ついには、経営者になるということにも違和感を覚え始めていた。一方、社長も息子が次期社長になって欲しい、と当初は考えていたが、まだ30代半ばの息子には性に合わない社長になどならず、好きな人生を送ってほしい、という思いの方が強くなっていった。
二つ目は、社長がX社を更に発展させたい、という思いである。
業績は堅調であったが、売上高は近年横ばいであり、社長は次の打ち手を考えていた。高い技術力を背景に取引先からの新規の引き合いは旺盛であったが、案件が大型化・高度化していた。また、X社が製造している製品は、1件当たりの金額ロットが大きく、開発~納品までのリードタイムが長いことから、多額の運転資金が必要となる。そのため、新規の開発案件については、財務的なリスクを考慮すると受託しづらい、というのが実情であり、成長の足かせになっていた。
社長には「M&Aによって大手企業の財務的な後ろ盾を得れば、X社はもっと成長できる」という確信があったのである。
上記2つの理由から、社長はM&Aを行うことを決断した。
M&Aの進め方&成約のポイント
買手候補選定の基本方針
- ● 急いでM&Aを実行する理由はないので、時間をかけてじっくり進める。
- ● 弊社が提案した買手候補先リスト(ロングリスト)に基づき、社長と相談して打診先を選定し、優先順位をつけて1社ずつ順番にアプローチする(同時並行で打診をしない)。
- ● 買手に求める譲れない条件は、資金力があり、事業同士のシナジー効果が明確であること。
A社を選定した理由
- ● 商社であることから多様な販路を有しており、X社製品の拡販が期待できる。
- ● X社の技術力、将来性を評価した譲渡価格を提示された。
- ● 内部留保が厚く、資金力も潤沢である。
結果
後継者問題の解決
- ● A社が非同業であることから、A社の依頼を受けて社長は1年間続投することになったが、その後の経営者はA社から派遣される。
会社の再成長
- ● A社の資本参加により、受託を控えていた新規開発案件の取り組みが可能となった。
- ● 既存の商材について、A社の販路拡大が実現した。
- ● A社との人材交流をすることで社内の活性化に繋がった。