基礎知識
更新日:2020/09/17
テーマ: 02.M&A
1-6. M&Aアドバイザーの決め方
1. 中小企業におけるM&Aのポイント
中小企業によるM&Aの特徴としては、社長の個人資産との切り分けや買手企業探しの難しさが挙げられます。ここでは、中小企業がM&Aを活用するにあたって押さえておきたい、手続きの流れやアドバイザー選択のポイントなどを解説しています。 日本の人口は30年後には今より20%ほど少なくなることが推計され、国内人口の減少は、国内市場の縮小につながります。ところが、国内市場に依存している中小企業であるほど、将来の展望が描けていないのが現状です。この大きな経営課題の解決策の一つがM&Aによる事業承継です。 M&Aによって事業を存続させ、スポンサーの経営資源を利用することでさらなる成長を遂げることができれば、従業員にも取引先にもメリットがあります。また、経営者にとっても、個人保証から解放され、引退後の生活資金を得ることができる点が大きな魅力でしょう。 M&Aを検討するにあたっては、本当にM&Aという選択でいいのか、ほかに手段はないのかを十分に検討するプロセスが重要になります。その際に、中立的なアドバイスを受けることができる専門会社に相談することが望ましいでしょう。並行して、利害関係者の把握・調整、議決権の確保、売却価格の検討、協力者の選定も事前準備では欠かせません。 アドバイザー選定後のM&Aの流れは、買手候補へのアプローチ、秘密保持契約、詳細情報の公開、基本合意、デューデリジェンス(詳細調査)、条件交渉、最終契約、そして、代金の受け渡しで完了となります。ただし、事業の引き継ぎや実質的な経営はそこからスタートするため、M&A契約成立後の動きこそが、M&Aの成否の分かれ目であり、PMIと呼ばれる統合作業こそがM&Aの総仕上げです。
1-6. M&Aアドバイザーの決め方
なぜ、M&Aアドバイザーが必要なのか?
M&Aを成立させるには、ともかく買手を探さなければならないわけだが、仮に買手が見つかって当事者同士でM&Aに合意したとしても、条件の交渉や契約、法務・税務・労務に関する手続きには専門的な知識が求められる。そのため、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーのサポートが欠かせない。
身近にいるM&Aアドバイザー
M&Aアドバイザーを探すにあたって、まず考えられるのは、地元の金融機関である。
地銀や地場証券会社など地元の金融機関の中には中堅中小企業のM&Aを手掛けているところもあり、そのような金融機関は最も身近なM&Aアドバイザーである。
この場合、M&Aを専門としている部署の有無や専門家の人数なども確かめておきたい。
相談先に迷ったら、(独)中小企業基盤整備機構が全国47都道府県に設置する「事業引継支援センター」を利用すれば、M&Aアドバイザーが常駐している。
事業引継支援センターのM&Aアドバイザーは、相談者と面談のうえ、売却を希望する場合は社名を伏せて会社に関する情報をデータベースに登録し、マッチングの可能性がある会社がれば両者を引き合わせる。
「事業承継ポータルサイト」から最寄りのセンターを探すことが可能である。
M&A専門会社が担うM&Aアドバイザー
近年増加しているのは、インターネットなどを使ってオーナー自身でM&Aの専門会社を探して、M&Aアドバイザーとなってもらう方法である。
専門会社がアサインするM&Aアドバイザーであれば、最初の検討段階から相談でき、買手探し、M&Aの各プロセスで行う手続き、最終契約までを一貫して任せることができる。
そのため、このような専門会社にM&Aアドバイザーを依頼するケースが多い。
M&A専門会社といっても、仲介を専門にする「M&A仲介会社」と、売手・買手のどちらか一方につく「M&Aアドバイザリー会社」の大きく2つのタイプがあるため、それぞれのM&Aアドバイザーの仕組みと契約方法などを確認して選びたい。
M&AアドバイザーとしてのM&A仲介会社とM&Aアドバイザリー会社
M&A仲介会社がM&Aアドバイザーを務める場合、M&Aの仲立ちや斡旋を中心に行うことになり、報酬は売手企業・買手企業の双方から受け取る。
M&A仲介会社の場合、売手・買手の両方の企業の相談に応じ、双方と仲介契約を結ぶ。そして、マッチングが成立したら、双方から手数料を受け取る仕組みである。買手企業が比較的早く見つかりやすい反面、売却価格などの条件については双方の妥協点を探っていく形になる。
一方、M&Aアドバイザリー会社がM&Aアドバイザーを務める場合、契約は売手か買手のどちらか一方の企業とのみ締結し、手数料も一方から受け取る。売手であれば、自社のために最大限の利益を考えて動いてくれるため、意向に沿って交渉を進めてくれることが期待できる。
また、M&Aの目的に合わせて多角的なアドバイスをしつつ、相手探しを行うので、必ずしもM&Aありきで案件を進めるわけではないのもこのタイプのアドバイザーの特徴である。
M&A仲介会社とM&Aアドバイザリー会社は、それぞれのやり方でサポートするため、自社の売却にあたり、適していると思われる会社を検討することが重要となる。
M&Aアドバイザーと面談する際には、業務内容やサポートしてくれる期間、実績、報酬体系などは必ず確認しておきたい。
会社によって強みは異なり、どのような専門性があるのか、情報量が多いか、自社の業界・業種に強いかなども含めて確かめておくべきである。
M&Aアドバイザーの報酬体系
M&Aアドバイザーの報酬体系は、会社によって違う。
一般的には業務委託契約締結時に支払う着手金、買手企業との基本合意時に支払う中間報酬、契約成立時(もしくは買手売手との間で現金の受け渡しがあった時)に支払う成功報酬がある。
またリテーナーフィーとよばれる月額報酬がある場合もある。成功報酬は、一般的に取引金額等と決められた料率から算出するレーマン方式を採用している会社が多い。
報酬体系については、分からないところはきちんと質問し、納得した上で信頼できる会社へM&Aアドバイザーを依頼する事が大切である。

