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更新日:2025/10/20

テーマ: 03.海外ビジネス

ベトナムの再生エネルギーに関する規制の更新(2025年)

目次

用語集

 技術関連

BESS(Battery Energy Storage System)

バッテリーエネルギー貯蔵システム

DPPA(Direct Power Purchase Agreement)

直接電力購入契約

FiT(Feed-in Tariff)

フィード・イン・タリフ※再生可能エネルギーの買取に関連する制度

PPA(Power Purchase Agreement)

電力購入契約

 測定単位

MW

メガワット

kWh

キロワットアワー

 その他

EPTC(Electricity Trading Company)

電力取引会社

EVNNPT(Vietnam Electricity National Power Transmission Co.)

ベトナム国家電力送電公社

EVNNLDC(Vietnam Electricity National Load Dispatch Centre)

ベトナム国家電力調整センター

MoC(Ministry of Construction)

建設省

MoIT (Ministry ofIndustry and Trade Web Portal)

産業貿易省

MoNRE (Ministry of Natural Resources and Environment)

天然資源環境省

NSMO (National Electricity System and Market Operation Company Limited)

国立電力システムおよび市場運営会社

PC (People’s Committee)

人民委員会

PDP (Power Development Plan)

電力開発計画

ベトナムのエネルギー分野における規制の動向

2025年1月~8月の間に、ベトナム政府は再エネ投資における全5段階のプロセスを支援するため、10件の法律文書を新たに発行した。特に重点を置いているステージは「政府による開発計画」と「プロジェクト統合」である。

2025年発行の法律文書の内容

政府の政策改革への強いコミットメントのもと、電力に関する一連の重要な文書が承認・発行された。これにより、再エネ企業への投資環境が大きく改善された。

[ステージ1] 政府による開発計画

・第768/QĐ-TTg号、第1509/QĐ-BCT号および第1415/QĐ-TTg号により、改訂されたPDP8が施行された。
・ベトナムは、再エネとグリーンエネルギーの拡大を積極的に推進し、2030年には再エネ容量をPDP8改定前と比較し1.7~2.7倍へ、2050年には1.4~1.8倍へと引き上げることを目標として掲げている。これによる安全性と手頃な電気料金の確保を重視している。
・2030年までに政府施設や住宅の半数に自家消費を目的とした屋根設置型太陽光発電の導入を計画。これらは自家消費用途に限られ、国有送電網への供給は行わない予定である。

電力容量開発計画(単位:MW)

    出所: Vietstock、首相、情報通信省(MoIT)

[ステージ2] 投資方針

これまでの第137/2013/NĐ-CP号、第16/2017/TT-BCT号、第39/2018/QĐ-TTg号および第13/2020/QĐ-TTg号を統合し、第58/2025/NĐ-CP号を制定。再エネ発電への投資支援を促進し、建設コストの削減や効率性の向上を目的としている。

新エネルギー開発に関する優遇政策の適用条件および期間(第2章 第6条)

条件

a) 100%のグリーン水素、100%のグリーンアンモニア、またはこれらの混合物を使用して電気を生成すること。
b) その電力は、国家電力システムに供給されること。
c) このプロジェクトは、各エネルギー発電方式において初めてのものであること。

優遇措置

a) 基本建設期間中(ただし、着工日から3年を超えない期間)の海域使用料が免除される。基本建設期間の免除期間終了後は、9年間にわたり海域使用料の50%が減免される。
b) 基本建設期間中(ただし、着工日から3年を超えない期間)の土地使用料及び地代が免除される。免除期間終了後は、投資法および土地法に基づき、土地使用料と地代の減免が行われる。
c) 貸付元本返済期間中は、 最低70%の長期契約電力出力を確保すること。ただし、12年を超えない期間とする。 また、 投資者と電力購入者の合意がある場合はこの限りではない。この仕組みは、プロジェクトの事情や需要側の要因、または発電された電力の完全消費を妨げる電力システムの技術的条件により、最低発電量を達成できない場合には適用されない。
d) 条項のaおよびcに定める期間経過後は、優遇措置の適用は、その時点での有効な法的規定に従う。

    出所:政府HP(https://chinhphu.vn/?pageid=27160&docid=213011&classid=1&typegroupid=4)

[ステージ3] 投資家の選定

2025年8月4日付の第214/2025/NĐ-CP号は、これまでの第63/2014/NĐ-CP、第25/2020/NĐ-CP、および第11/2019/TT-BKHĐTを補足し、再エネ投資における契約者選定の過程において、法的および財務的な独立性を確保するとともに、入札プロセスの透明性を向上させることを目的としている。

請負業者選定に関する入札法の実施措置 (第1条 第2項)

・国家入札ネットワークシステムへの登録
・請負業者選定の時期
・入札活動における情報開示
・請負業者管理

請負業者選定における優先措置の原則(第5条)

・能力・実績の評価または財務評価において、入札者が複数の優遇措置の対象となる場合は、評価基準ごとに最も有利な優遇措置のみを適用する。
・すべての参加入札者が同じ優遇措置を受ける場合、あるいはいずれも優遇措置の対象とならない場合は、比較や順位付けの際に優遇措置の計算を行う必要はない。
・混合入札パッケージでは、優遇措置の適用は入札者が提出するコンサルティング、物品供給、建設各分野の提案書すべてを基に判断される。なお、提案書に記載された国内コンテンツ(コンサルティング、非コンサルティングサービス、ベトナム産品または建設)が、入札パッケージ全体の総額の25%以上を占める場合、入札者は優遇措置を受ける権利を有する。
・入札者は、自身および提供する商品やサービスが2023年入札法第10条第1項に定める優遇対象カテゴリーに該当することを証明しなければならない。

    出所:政府HP(https://chinhphu.vn/?pageid=27160&docid=214821 )

[ステージ4] 設備要件

第05/2025/TT-BCT号は、これまでの25/2016/TT-BCT号、16/2017/TT-BCT号、および30/2019/TT-BCT号を改正し、電力網統合に関する技術基準を定めている。本通達には、特定の電力網周波数範囲での安定性を確保するための最低運転時間の枠組み、出力制限リスクの低減措置、さらには太陽光発電および風力発電プロジェクトの電力網接続の安全性を担保するための基準が盛り込まれている。

電力システム周波数範囲に基づく風力発電所および太陽光発電所の電力に基づく最小運転時間(第4章第40条~第43条)

    出所:MoIT

[ステージ5] プロジェクト統合

第57/2025/NĐ-CP号は、2024年7月付の80/2024/NĐ-CP号で見出された問題点を補完し、ベトナムの競争力のある電力市場の成長を後押しした。本政令は、電力価格に上限を設定するほか、市場参加者の拡大、バイオマスの活用促進、屋根上太陽光発電の支援、そしてネットゼロ追跡の簡素化を通じて、エネルギーコストの低減を図り、2050年のネットゼロ目標に近づけることを目的としている。

政令57号と政令80号との比較

    出所:TheSaigonTimes、政府

北部における浮体式太陽光発電と BESS(蓄電システム)は、第988/QĐ-BCT号の下で最も推奨されており、その価格は南部よりも37.3%高い最大料金で設定されている。これは、北部での電力系統のひっ迫、土地不足、そして安定供給を確保するためにより高い信頼性を持つ発電・蓄電システムが求められるためである。

太陽光発電価格体系(単位:VND/kWh)

    出所:MoIT

第1508/QĐ-BCT号に基づく新価格は、沿岸風力発電において9%の上昇、陸上風力発電において最大23%の上昇となっている。一方、2018年の固定価格(FiT)と比較すると、沿岸風力発電 は16%の減少、陸上風力発電は5~12%、となった。この新たな枠組みは、特に季節的な供給不足に直面している北部ベトナムにおいて、停滞していたプロジェクトの再開を促進し、投資をより一層呼び込むことを目的としている。
さらに、2025年6月26日に工業・貿易省(MoIT)は第1824/QĐ-BCT号を承認し、投資家が電力購入契約(PPA)の交渉を行えるよう、洋上風力発電の上限価格を設定した。この措置は、北部と中部などの戦略的地域を優先するため、EVNおよび発電事業者に対して財務的な負担をもたらす可能性がある。

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執筆:Yamada Consulting & Spire Vietnam
(山田コンサルティンググループ株式会社 ベトナム現地法人)

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