基礎知識
更新日:2021/01/14
テーマ: 01.事業承継
1-1. 中小企業の市場環境とM&Aによる事業承継
1. 中小企業におけるM&Aのポイント
中小企業によるM&Aの特徴としては、社長の個人資産との切り分けや買手企業探しの難しさが挙げられます。ここでは、中小企業がM&Aを活用するにあたって押さえておきたい、手続きの流れやアドバイザー選択のポイントなどを解説しています。 日本の人口は30年後には今より20%ほど少なくなることが推計され、国内人口の減少は、国内市場の縮小につながります。ところが、国内市場に依存している中小企業であるほど、将来の展望が描けていないのが現状です。この大きな経営課題の解決策の一つがM&Aによる事業承継です。 M&Aによって事業を存続させ、スポンサーの経営資源を利用することでさらなる成長を遂げることができれば、従業員にも取引先にもメリットがあります。また、経営者にとっても、個人保証から解放され、引退後の生活資金を得ることができる点が大きな魅力でしょう。 M&Aを検討するにあたっては、本当にM&Aという選択でいいのか、ほかに手段はないのかを十分に検討するプロセスが重要になります。その際に、中立的なアドバイスを受けることができる専門会社に相談することが望ましいでしょう。並行して、利害関係者の把握・調整、議決権の確保、売却価格の検討、協力者の選定も事前準備では欠かせません。 アドバイザー選定後のM&Aの流れは、買手候補へのアプローチ、秘密保持契約、詳細情報の公開、基本合意、デューデリジェンス(詳細調査)、条件交渉、最終契約、そして、代金の受け渡しで完了となります。ただし、事業の引き継ぎや実質的な経営はそこからスタートするため、M&A契約成立後の動きこそが、M&Aの成否の分かれ目であり、PMIと呼ばれる統合作業こそがM&Aの総仕上げです。
1-2. M&Aにおける手続きの流れ~相談、基本合意書、交渉、契約のポイント~
1-1. 中小企業の市場環境とM&Aによる事業承継
国内の人口減少による市場縮小と事業承継
事業承継を検討する際は、その事業の市場環境を踏まえ、将来性についても考える。
市場環境の分析にあたっては、業界に対する規制、業界再編の動き、顧客ニーズの変化、そして人口動態による市場への影響が重要だ。
日本の人口は30年後には今より20%ほど少なくなることが推計され、国内人口の減少は、国内市場の縮小につながる。
これを見据え、大手企業では海外市場にマーケットを広げる動きが盛んである。
一方で、国内市場に依存している中小企業であるほど、将来の展望が描けていない。
人口減少による市場縮小の影響で、地方経済はすでに厳しい状態にある。
このような国内市場の縮小という大きな経営課題の解決策の一つがM&Aによる事業承継である。
事業承継の選択肢としてのM&A
このような市場環境の変化が影響してか、社長の交代率は3年前から増加傾向にあるものの、近年では4%を割り込んだまま推移している。
2015年に社長交代を行った企業では、社長の平均年齢が16歳も若くなっており、社長交代が進まない企業と比べて、年齢差は広がった(株式会社帝国データバンク「2016年全国社長分析」)。
今後、事業承継問題がさらに大きくなり、国内市場の縮小を踏まえると、どうしてもM&Aによる事業承継という選択肢が出てくる。
今や、M&Aは珍しい事業承継の手法ではない。
現在は事業承継を実施する企業のおよそ3分の1が、M&Aを活用しているとされる。
「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」の結果でも、後継者未定企業の全体で約30%が「現在、売却先を探している」もしくは「事業を継続させるためなら売却してもよい」と回答しており、つまりM&Aを検討している。
M&Aは事業承継問題の消極的な解決策としてではなく、攻めの一手でもある。
事業承継問題をきっかけにして、事業が置かれた市場環境を冷静に見て、経営戦略としてM&Aを検討するケースも増えている。
M&Aにより事業の強化、販売ルートや営業エリアの拡大が期待できるため、市場規模が縮小により競争が激化している現在、M&Aによる事業承継で事業の再生や成長を図ることは有効である。
M&Aによる業界再編の動きが加速
市場環境の変化に対応するべく、さまざまな分野でM&Aによる業界再編の動きが進んでいる。大手スーパーなどではM&Aによる統合が進み、地元のスーパーがM&Aにより組み込まれることも珍しくない。
病院や診療所といった医療業界すらM&Aによる再編も加速し、広域展開のグループ化、もしくは地域医療のネットワーク化が図られている。
厳しい市場環境だからこそ、M&Aによる事業承継は救いの一手になり得る。
専門家の力を借りれば、中堅中小企業であってもM&Aを活用した事業承継は可能である。

1-2. M&Aにおける手続きの流れ~相談、基本合意書、交渉、契約のポイント~


