海外ビジネス情報
更新日:2026/03/31
テーマ: 03.海外ビジネス
AI駆動型モビリティ戦略:設計・製造変革とICMS機能の市場展開
目次
1. 自動車業界におけるAI活用の枠組み
開発レイヤー別の定義・代表企業
AI活用を推進する事業者は、上位レイヤー(アプリ、システム統合、基盤モデル、PF、インフラ)から下位レイヤー(車両制御・ハード)まで裾野が広がっており、彼らが密に連携することにより当業界が発展していくと期待される。

主要事業者のAI活用概観
3者(基盤モデル、ハードウェア、ソリューション)が連携し、設計・製造から運用・利用に至るまで、AI×XRを活用して開発・運用・顧客体験を高度化している。

2. OEMによる設計・製造業務でのAI活用
設計・製造業務でのAI活用のメリット
事業者はAIの活用によって以下のメリットを得られる。例えば、従来は人手に頼り多大な時間を要していた「設計変更」「組立ライン設計」「調達材料の選定」といった業務へのAI導入によって、競争力を大きく向上させる可能性がある。
※ダウンロード資料にて、「業務別のAI利用メリット一覧」を掲載
主要OEMのバリューチェーン別 AI実用化度合い
OEMは、主に車内体験を向上させるためのAI活用を進めており、 なかでも欧米勢の躍進が目立つ。
また、高級車OEM(Mercedes, BMW, Ferrari)や日系OEMは、設計・製造での適用も進めている状況である。

OEMのAI活用に対する取組
設計から生産(BMW)
BMWはAIと仮想工場を活用し、調達から検査に至る製造プロセス全体の生産性と品質を抜本的に向上させている。
BMWの取組を象徴する記事抜粋
-100万平米の仮想工場 生成AI統合で生産性向上
-仮想工場プランナー向けのカスタムアプリケーションを開発、生産性を30%向上
-仮想工場で生産性改善
-製造車両の革新的な品質検査を支えるAxis製カメラ
-人型ロボットを試験導入、5年後に数千台規模へ

設計から生産(Stellantis)
Stellantisは、Autodeskやスタートアップ(Inbolt, wheel.me等)と協業し、AI・ロボティクスで工場を変革し、Dare Forward 2030の脱炭素・コスト・品質目標を実現しようとしている。
StellantisのDare Forward 2030構想
全社方針:Stellantisは製造効率・持続可能性・職場環境改善を目的に、AI・クラウド・デジタルツイン・ロボティクスを活用した製造イノベーションを展開。これらのイノベーションは、①2038年までの全スコープ・カーボンネットゼロ達成(2021年以降、製造部門スコープ1・2で20%超削減済)、②2030年までの生産コスト40%削減(自動化・デジタルソリューション・AI導入)、③欠陥検出最適化による業界トップ品質・顧客体験の実現、というDare Forward 2030のKPIに直結。

設計(主要OEM)
トヨタ・フェラーリ等は、今後も設計用途AIの高度化へ意欲を示しており、設計業務の高度化・効率化が期待される。
他方BMWは、車体デザインでは人とAIの共存を好みつつ、内装部品の設計では積極的にAI活用を取り入れている。
トヨタ
技術図面などの視覚的な情報も取り込んでいき、AI活用を推進
・トヨタの AI システムは、Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用し、ハイブリット検索が可能な AI Searchをうまく組み合わせ 、RAGを構築した
・最近、排出ガス測定機器の仕様について規制エージェントに質問を投げかけたところ、その回答の正確さと詳細さに驚かされた
・知識ベースには、過去の設計報告書や最新の法規制情報はもちろん、ベテランエンジニアたちの手書きの文書までもが含まれている。また、Cosmos DB にはユーザーとの対話履歴や、AI の回答に対する人間の専門家による評価も蓄積され、システムの継続的な進化を支えている
BMW
AIがルーチン作業をますます担うようになるのは間違いない
・BMW系Designworksのホルガー・ハンプは、ホイールリムやシート設計などさまざまな用途で生成デザイン技術を活用している
・尚、顧客は単にA地点からB地点へ移動するだけでなく、感情に訴える体験を求めており、それは情熱をもって創作するデザイナーにしか提供できないものである
メルセデス
AIによるカーデザインはほぼ“駄作”ばかり
・人々が“非現実的なクルマの姿”に慣れすぎてしまっているため、これまで「ショーカー(コンセプトカー)でしか見られなかったような斬新なデザインが日常的に見られるようになった
・実際のところ、新型電動SUV「GLC EQ」では、従来設計方式を取り入れ、大胆かつ特徴的ながらも過剰ではない“再解釈されたグリルデザイン”を採用しており、同社が重視する中国市場におけるトレンドとも決別した「独自路線」を歩むこととした
出所:公開情報(例:企業プレスリリース、記事等)をもとに弊社作成
3. インキャビンモニタリング市場の動向
3-1. DMS・OMSの市場規模・影響因子
DMS・OMS別/地域別:ICMSの市場規模推移予測
ICMSは、全体はCAGR22.3%での成長予測。主にDMSが市場を占めており、CAGR22.2%の成長予測である。
地域別では、26年から欧州でDMS/CPD義務化の影響で大きく市場が伸びる見込みである。

ICMSの成長ドライバーと影響度
ICMSは、各国の安全規制強化やADASシステムの強化、中長期的にはICMS自体の技術革新や各社のCX向上における差別化、OEM間競争によって成長が促進される。

地域別ICMSの成長ドライバー
APAC(主に中国)は、感情やバイタル検出等の高付加価値機能の差別化が成長ドライバーとなっており、北米や欧州は安全規制義務化が主な成長ドライバーとなっている。

ICMSの成長制約要因と影響度
一方で、技術的なハードルも存在しており、OMSに関しては業界基準が不透明な点があるため、成長の制約要因となっている。また、ICMSの要件が定められていないエリアやプライバシー保護の懸念といったハードルもある。

以降のページでは、下記目次の内容を掲載しております。
ご覧になりたい方は本稿下段にあるフォームからダウンロードください
3-2. OEMのテック企業・Tier1との提携戦略
ICMS (In-Cabin Monitoring System)のバリューチェーンと主要プレイヤー
ICMS事業の類型に応じて提携すべき企業像:サマリ
OEM×テック企業提携事例
GM × Seeing Machines
吉利汽車集団(Geely) × Smart Eye
【参考】その他のパートナーシップ事例
テック企業の概要紹介
Smart Eye (スウェーデン)
Seeing Machines (オーストラリア)
Seeing Machines は、独自の AI と専用のビジョンハードウェアを組み合わせて、規制に対応した DMS と進化する OMS ソリューションを提供し、世界中の市場で強力な OEM の支持を得ている。

出所:公開情報(例:企業HP、記事等)を基に弊社作成
Cipia (イスラエル)
Cipia は、単眼ビジョン AI を使用してコスト効率の高い DMS および OMS ソリューションを提供し、OEM およびフリート市場全体でスケーラブルな車内センシングを実現している。

出所:公開情報(例:企業HP、記事等)を基に弊社作成
Eyeris (米国)
Eyerisは単眼3Dとセンサー融合を組み合わせ、最小限のハードウェアフットプリントで高精度な乗員行動認識を行うICMSソリューションを提供している。

出所:公開情報(例:企業HP、記事等)を基に弊社作成
Jungo Connectivity (イスラエル)
Emotion 3D (オーストリア)
4. OEMのICMS高度化に向けた機能・提携戦略
日本OEMは国ごとの提携スタイルの違いを踏まえ、基礎機能から先進ICMSへの段階的シフト戦略を急ぐべきである。(中国は資本起点、欧米は政策起点でクロスボーダー協業を加速させ、先進機能をグローバル展開している。)

出所:公開情報(例:企業HP、記事等)を基に弊社作成
【参考】ICMSの各機能必要技術レベルマップ
乗員有無検知やバイタルサイン検知等のレーダーメインのパッシブ安全機能は比較的技術レベルが低く、ジェスチャーや視線、感情検知等のビジョンメインのアクティブ安全機能やCX機能は必要技術レベルが高い。

出所:公開情報(例:企業HP、記事等)を基に弊社作成
【参考】重点ICMS機能の地域別差異
APACは、CXが差別化機能として求められ、北米では、欧州を追う形で、CPD義務化により当機能搭載が必須になる。また、欧州では、一足早く政府のICMS統合義務化により、安全モニタリング機能の搭載がより強く求められる。

出所:Frost & Sullivan
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執筆:Yamada Consulting & Spire Singapore Pte Ltd
(山田コンサルティンググループ株式会社 シンガポール現地法人)
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