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更新日:2025/09/11
テーマ: 03.海外ビジネス
タイの半導体産業 グローバルサプライチェーンにおける戦略的拠点
目次
I. 半導体グローバルサプライチェーンの概要
・半導体のグローバルサプライチェーンは、設計、製造、アセンブリ・テスト・パッケージング(ATP)の三つの段階から成り、極めて複雑な工程を含み、地理的にも広範囲に及ぶ。
・タイは、世界のATP生産能力の2%を担う、重要な製造拠点である。

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注: *ファブレスIC設計の市場シェア
出所:WTO、IDCを元にYCSTが作成
II. タイの半導体・エレクトロニクス産業
サプライチェーン
・半導体の前工程においてはタイの能力は限られている。
・一方でタイは、半導体の後工程およびサプライチェーン川下のPCB・PCBA、電子製品などにおいては主要な生産拠点となっており、大手グローバル企業が多額の投資を行っている。

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出所: タイ電気電子関連学会(ThaiEEI)、投資委員会(BOI)を元にYCSTが作成
半導体・IC
・タイの半導体産業は、外国のIDM(垂直統合型デバイスメーカー)やOSAT(後工程受託)企業が運営するATP施設が大半を占めている。これらの施設は、ICウエハーや部品を輸入に依存している。


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注:(1)「Thailand’s Integrated Circuits and Parts Industry Report 」(2021年発行)より
IC設計会社
・タイ国内に存在する設計会社は、RFIDおよびNFCマイクロチップを専門とするSilicon Craft Technology PLC.の1社のみである。
半導体デバイス・部品製造
・タイにおける半導体関連の製造は、トランジスタ、ダイオード、LEDなどのディスクリート部品や、ICパッケージに使用されるリードフレームなどが中心である。
・国内メーカーの数が少ないため、タイは半導体デバイスや部品を輸入に依存している。
・過去5年間、半導体デバイスの輸入は年平均成長率18%で伸びている。
ICアセンブリ、テスト、パッケージング(ATP)
・タイのATP施設は、主に IDM(垂直統合型デバイスメーカー)と半導体のOSAT(後工程受託)企業によって運営されており、多くは現地に生産拠点を持つ外資系子会社である。
・これらの企業は、主に親会社から輸入したICウエハーや部品に依存しており、アセンブリ後に完成した集積回路を親会社に輸出している。
・タイで自社アセンブリ・テストを行う IDMには、Infineon、NXP、Microchip、Analog Devices、Rohmなどがある。一方、ICのアセンブリ・テストサービスを提供するEMS(電子機器受託製造サービス)企業としては、UTAC、Hana、Star Microelectronicsなどがある。
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出所:タイ電気電子関連学会(ThaiEEI)、タイ半導体産業協会(THSIA)
・タイには、ICパッケージングや製造の包括的なサービスを提供するEMS(電子機器受託製造サービス)企業やIDMなどの大手半導体企業が存在し、多様な形態で半導体バリューチェーンの一端を担っている。
・特にEMS企業は、半導体の後工程から最終組立工程までの能力を有している。

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1:SiC=炭化ケイ素、2:IGBT=絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、3:IPM=インテリジェントパワーモジュール、4:MEMS=微小電子機械システム
注:*EMS企業は、電子機器の試作設計、PCBA、ボックスビルド、最終組立、テストサービスなど、幅広いサービスを提供している。タイのEMS企業の中には、半導体のアセンブリ・テストといった後工程を受託しているところもある
出所:各社HP、年次報告書、各種報道
・タイの半導体輸出は、ディスクリート・アナログ・その他(DAO)、ロジック、メモリー、半導体デバイスを含む多様な製品で構成されている。
・DAOチップは約60~80億ドルと輸出額に占める割合が最大である一方、半導体デバイスは年平均成長率10%という高い成長性を示している。

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出所:タイ商務省
・タイは、タイ投資委員会(BOI)が2021年から開始した包括的な投資奨励策改革の効果や米中貿易摩擦の影響により、半導体への投資が劇的に増加し、2023年には680億バーツに達した。

タイで半導体への投資が急上昇
・2023年、半導体への投資額は約680億バーツと大幅に加速し、2024年もその勢いは続いている。
・投資急増の背景としては以下の要因が挙げられる。
✓中国の半導体参入に対する米国の規制強化が「チャイナ・プラスワン」戦略の採用の拡大がさらに広まった。
✓BOIの投資優遇策が強化された。
✓タイの強みである後工程事業に加えて強固なインフラが整った。
バリューチェーン全体を対象とする包括的なインセンティブ制度
・2021年から、BOIは、前工程の半導体事業をカバーする新たな資促進カテゴリーを導入した。同時に、IC組立事業と部品製造への重要な投資に対する優遇措置を強化した。
・設計:IC・エレクトロニクス設計に対する8年間の法人所得税免除
・ウエハー:ウエハー製造に対する13年間の法人税免除
・ICのアセンブリ・テスト:IC および部品製造への重要な投資に対する法人所得税の免税期間を 5 年から 8 年に延長
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出所:タイ投資委員会(BOI)、タイ電気電子関連学会(ThaiEEI)
・タイのハイテク半導体製造への投資は、かつてないほどの勢いを見せており、グローバルの大手3社が総額で800億バーツを超える大規模な投資を行っている。
プリント基板(PCB)・プリント基板実装(PCBA)
・タイのプリント基板・プリント基板実装(PCB・PCBA)は、50年以上にわたる進化と世界的な投資を背景に、成熟した高い技術力を
備えた産業へと発展している。
・タイのプリント基板セクターは、主に川下工程の生産を手掛けており、多層基板および高密度基板の製造に重点を置いている。
・タイのPCBは、主に輸出向けに生産されており、販売量の70%以上が輸出向けである。
・残る28%は、国内の自動車や電化製品などの製造向けに供給されている。
・タイのPCB・PCBAセクターは、サプライチェーンの川上に存在する重要なギャップに対応しつつ、高度な製造能力への進出も進めて
いる。
・過去2年間、タイのPCB・PCBAへの大規模な投資は、中国、台湾、日本の世界的大手メーカーがけん引している。
III. 政府の支援と取り組み
政策の方向性
・タイ政府は、政策を通じて前工程への移行と先端技術の採用を推進し、半導体産業の発展を目指している。
・これに伴い、投資誘致、人材開発、研究開発の三つの柱を同時に進め、強固なエコシステムを構築している。
投資優遇措置
・半導体・PCBのサプライチェーン全体への投資を促進するため、最大13年間の免税を含む手厚い税制優遇措置が設けられている。
IV. 今後の展望
世界半導体市場の動向
・世界半導体市場は、2023年から2030年にかけて年平均成長率9%で拡大し、1兆ドルに達すると予測されている。
・今後の市場はロジックとメモリーがけん引する見通しで、特にロジックは、AI、IoT、データストレージ、クラウドコンピューティングなどの成長を追い風に、さらなる拡大が期待される。
新たな半導体需要とPCB要件
・2030年までに、コンピューティング・通信・自動車産業が世界の半導体需要の85%を占めると予測されている。これにより、高度なPCB技術を要するロジック、メモリ、アナログの需要が高まる見込みである。
サプライチェーンの多様化傾向
・米中半導体貿易摩擦の激化により、多国籍企業は「チャイナ・プラスワン」戦略を採用するようになっている。これが、東南アジアの製造業の成長を後押ししている。
V. ビジネスチャンス
・世界市場の成長とタイの強みが、半導体の後工程および先端PCBのサプライチェーン全体に、絶好の投資機会をもたらしている。
VI. 結論
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執筆:YAMADA Consulting & Spire(Thailand) Co., Ltd.
(山田コンサルティンググループ株式会社 タイ現地法人)
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