お問い合わせ

事業承継の基礎知識 4. 種類株式・属人的株式・信託を活用した事業承継

株式には議決権と財産権という2つの側面がありますが、事業承継のケースによっては、これらを切り離して承継させる必要が出て来ます。このとき活用できるのが、種類株式、属人的株式、信託です。種類株式とは内容の異なる複数種類の株式をいいます。 これらの制度を活用することで、受け取る配当の金額や行使できる議決権の内容等について、ある株式は配当を多くもらえる、ある株式は議決権が制限されるなど、株式間で差をつけることができます。 種類株式は、後継者のみに議決権を集中させる、先代経営者に拒否権を持たせてモニタリング期間を置く、少数株主を排除(スクイーズアウト)するなどの場面で活用されるのが一般的です。属人的株式も種類株式と同様に、議決権を集中させたいときなどで活用されますが、「株式」ではなく「株主」に帰属したものなので、その効力は後継者には引き継がれないものとされています。 信託を活用すると、ひとつの財産に付帯する権利を区分して権利行使できる者を別々に設定したり、多様な条件をつけることも可能になります。他の承継方法(相続、贈与、譲渡など)よりも自由度の高い財産承継の方法といえるでしょう。

4-4. 種類株式発行の手続き

 

新たに種類株式を発行するためには、まず、普通株式と異なる定めを置く事項について定款変更の特別決議を行い、種類株式発行会社となる必要がある。
また、種類株式の内容に応じて、会社法108条第2項各号に定められている事項についても定款で定める。

例えば、剰余金の配当に係る種類株式を発行する場合であれば、当該種類株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件、その他剰余金の配当に関する取扱いなどがこれに当たる。
なお、当初から定款に詳細な事項を定めておく必要はない。概要のみを定款で定めておき、詳細な事項はその種類の株式を初めて発行する時までに、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会)の決議によって定めることもできる。
留意しておきたいのは、種類株式の内容について登記が必要であり、商業登記簿謄本に記載されることとなるため、外部からも内容を把握することができる点である。

普通株式の一部を種類株式にする手続き

既存の普通株式の一部を種類株式に転換する場合、会社法に沿った手続きを採ると、全部取得条項付種類株式の発行や、第三者割当増資など、煩雑な手順が必要となる。
そのため、実務上は以下の簡便な手続きを採ることが一般的である。

① 配当優先議決権制限種類株式を発行する旨の定款変更の特別決議を行い、「種類株式発行会社」とする。
② 一部株主が保有する普通株式を配当優先議決権制限株式に転換することについて、全株主から文書による同意書を入手する。

この手続きは登記実務上行われているものであり、会社法上の規定はない。
しかし、会社法に沿った手続きに比べて、簡易に普通株式の一部について異なる定めを置く種類株式に変更することができる。

既に種類株式を発行している場合の手続き

種類株式発行会社が新たな種類株式を追加する場合や、既に発行している一部の種類株式の内容を変更する場合にも定款変更の特別決議は必要である。
また、これによってある種類株主に不利益を及ぼすおそれがある場合、株主平等の原則の観点から、種類株主総会の決議が必要となることがある。

 
bnr_1805dl
⇒平成30年度税制改正で納税猶予はどう変わる?
 
⇛事業承継とは | 事業承継税制から後継者教育まで
 
⇒M&Aとは?企業買収の方法と必須となる基礎知識
 
⇒会社の買収とは | 企業買収の意味と仕組み
 

無料 資料ダウンロード M&Aのノウハウが凝縮!! マンガでわかるM&Aの落とし穴 10選

M&A/事業継承マニュアル M&A/事業承継 基礎知識