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2022/05/06

テーマ: 03.海外

経済成長を続けるベトナム。日系企業進出のヒントを紹介

目次

ベトナムとはどんな国?基本情報と経済の特徴

ベトナムは正式名称をベトナム社会主義共和国といい、インドシナ半島の東部に位置する国です。

国土は南北に約1,800kmと細長く、面積は約33万㎢で日本の九州地方を除いた面積に相当します。人口は9,800万人、平均年齢は約30歳と非常に若く、この豊富な労働力はベトナムへの進出企業にとって大きな魅力となっています。加えて、教育水準が比較的高く勤勉ながら、賃金がまだ高くはないこともベトナムが進出国として好まれる理由です。

首都はハノイ、公用語はベトナム語となっています。第一外国語は英語、フランス語、中国語、ロシア語に加え、2016年から日本語も追加、2021年からは試験的にドイツ語と韓国語も導入されました。

JETROによると、ベトナムの日系企業数は2020年12月末時点で1,985社ですが、商工会議所の加盟率から逆算して2,500社程度なのではないかと推測されます。これは年々増加の一途を辿っており、今後も継続するものと考えられています。弊社が実施しているアンケートからも、将来注力する国として最も多く挙げられるのがベトナムであり、日系企業の進出は引き続き増加するものと見ています。

では、なぜベトナムは進出先として有望視されているのでしょうか。

参考:JETRO ベトナム「概況・基本統計」https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/basic_01.html

成長し続けるベトナム経済とGDP

ベトナムの実質GDP成長率は2014年以降6~7%で推移していました。ASEAN域内で6%を超える成長を続けていたのはベトナムとフィリピンのみです。2020年、2021年はコロナウイルスの影響で2.9%、2.6%へと落ち込みましたが、マイナス成長に陥る国が多い中で、ベトナムはプラス成長を維持することができました。2022年ベトナム政府はコロナ関連規制をほぼ撤廃し、経済成長優先に舵を切った結果、2022年第1四半期には5.03%の経済成長率まで回復しています。2022年の目標の6.0~6.5%には達しなかったものの、V字回復を遂げているといえるでしょう。ただし、ベトナムは2045年までに高所得先進国入りすることを掲げており、この実現のためには今後20年超にわたって年率7%の成長率を維持しなければなりません。

ベトナム経済の課題

このように経済成長を続け、投資先として魅力の多いベトナムですが、多くの課題もあります。

人件費の上昇

中国やタイに比べて安価な人件費や豊富な労働力が魅力ではあるものの、中長期的な視点からは人件費の上昇も懸念材料として挙げられています。ただし、現時点においてはコロナ禍によって人件費が落ち着いており、短期的に大きな問題となることはなさそうです。

インフラ整備状況の遅れ

インフラの整備状況の遅れは、長くベトナムにおいて課題とされており、特に交通・流通インフラ整備の遅れが目立っています。ベトナムは南北に長く、ハノイ・ホーチミン間は1,650kmに及んでいますが、高速道路の建設が完了しているのは1,000km弱です。つまり、650km超については高速道路がなく、陸路の際は一般道路での輸送になることとなります。650kmというと、日本に置き換えると東京から青森県までの距離です。東京から青森まで大型トラックが一般道路で輸送するというのは現実的ではありません。では、空路や水路の整備はどうかといいますと、空港、港も共に整備は遅れています。コロナウイルスの感染拡大に加え、建設資材の高騰や税金の未回収額増加が公共投資を遅延させる理由といわれています。これらのハード面の整備の遅れが輸出の遅れにつながり、輸出事業に影響を及ぼしています。

電力はカーボンニュートラル時代におけるベトナムのエネルギー市場のレポートでも解説の通り、急激な需要の増加にやや遅れる形で供給が追いつくものと見ています。

コロナ禍におけるベトナム経済の見通し

苦戦している業界

世界的に厳しい状況に置かれているように、ベトナムにおいても観光・宿泊業、飲食業、航空業界は大苦戦しています。ただ、2022年3月に約2年振りに外国人観光客の受入れを再開し、隔離制度などを撤廃し、国内の接種を進めワクチンパスポートを発行することにより、観光客の入国も増加し始めています。

アパレル業界

アパレル業界においては、2021年のロックダウンから人員が確保できず生産停止に追い込まれる工場が数多くありました。ベトナムに製造を依存するアメリカの大手ブランドは、サプライチェーンの制限により生産量が確保できず、他国の工場で増産したという例もあります。ベトナム繊維協会は2022年のベトナムのアパレル輸出が7.4%増の435億ドルになるとの見通しを示していることからも、今後の生産は計画通り確保されると予想されています。

物流業界

2021年5月以降、世界の海運大手5社が海上運賃を引き上げたこともあり、輸出が厳しい状況に置かれています。世界的なコンテナ不足や搭載スペース確保が難しくなったこと、また、一部の海運会社がベトナムへの寄港をスキップしたことにより、ベトナムの港湾にコンテナが滞留し、価格上昇の要因となりました。コロナ禍、陸路については地区を分断する形で設置された検問所や複雑な移動規制に、トラック運転手も物流会社も振り回されてきました。中国のゼロコロナ政策の影響で、中国へのコンテナ搬入が停止し、中国への輸出が長らく停止しました。

好調な業界

他方、IT、建設、食品や製薬等の業界は、コロナ禍の混乱の影響はあまり受けませんでした。

IT業界

ベトナムではIT環境が整っており、スマートフォンの普及率は63.1%と日本の59.9%を上回ります。日本では決済方法が現金からICカード、その次の段階としてバーコード決済へと移行しましたが、ベトナムではICカードのステップはジャンプして、現金決済からバーコード決済へと移りました。クレジットカードも同じく主要な支払い方法です。ベトナムにいますと、現金決済するベトナム人はほぼおらず、日本人の自分くらいなのではないかと感じるほどです。

Eコマース

インフラの整備の遅れが影響し物流に問題を抱えるベトナムですが、このコロナ禍でEコマースが大きく発展しました。これまでのように外出が思うようにできず、感染対策の負担や感染リスクを軽減することから、消費者がEコマースに意識を向けたこと、またその環境の変化に合わせて企業側がサービスを充実させたことで、一気にマーケットが拡大しました。このEコマースには飲食のデリバリーも含まれています。冷凍の配送が浸透するにはまだ時間がかかりそうですが、生鮮食品を含め冷蔵まではサービスが提供できています。今後も冷凍機能までの拡充とインフラの整備により、このマーケットは更に拡大することが予想されます。

ベトナム経済の今後の展望

ベトナム進出のポイント

コロナ禍で低調な業界として上述の通りアパレル業界が挙げられますが、国内消費を見るとアパレルも化粧品もそのような印象はありません。国内のIT環境の整備、スマホやタブレット、PCの浸透により、情報は変わらず入ってきますし、インフルエンサーによる情報発信を常にキャッチしていることが関係していると思われます。ベトナムではファッション関連のみならず、グルメや旅行の情報発信、時には医薬品の消費にもインフルエンサーが幅広く活躍しており、その影響力は非常に大きいです。日本から進出される企業の方は、最新の情報を入手してから戦略を立てていただく必要があります。

ベトナムでの海外ビジネスを成功させるために

最後に、ベトナムで日系企業が成功するためのヒントをお伝えします。それには事前の「市場調査」が大きなカギを握っています。私は見極め不足でビジネスに失敗する多くの企業を目の当たりにしてきました。

弊社でもよく行っておりますが、ベトナム人による市場調査は非常に有効です。ベトナムは南北で嗜好が異なることは皆さまご存じのことと思います。味覚や好き嫌いが全く異なっており、調味料からデザート、お菓子に至るまで、南北で異なる味を販売することも珍しくありません。日本においてもご当地ものや関東と関西の味付けの違い等、味の地域性というものはありますが、ベトナムの南北での違いはその比ではないとご理解ください。
また、味のみならず、衛生用品についても嗜好や使い方が異なります。例えば、目薬ですが、ハノイでは赤ちゃんにも目薬を使用する程浸透している一方で、ホーチミンでは大人に至っても使用する人は少ないとのことです。

このような地域性を知らずに、ベトナムの内需を狙って進出するのはとても危険に感じませんか?内需を狙った消費財でベトナム市場に進出をご検討の場合は、必ず市場調査をお勧めいたします。市場調査のプロに依頼をすると当然費用が発生しますが、それはコストではなく「投資」とお考え下さい。その他、上述の通り、SNSが非常に浸透した国ですので、ご自身でSNSを使って調べてみるのも一つの方法だと思います。

ベトナムは駐在員事務所、法人の設立が非常に容易な国です。このことも影響し、事前の検討なしにまずは進出をしようと設立を先行する企業が多いように感じます。しかし、ベトナムは実は撤退が困難で、例えば法人を閉鎖して撤退するには、清算完了までには最低でも1~2年必要となり、場合によっては数年単位で時間を要するということもあります。自社の海外戦略の設計やそれに伴う調査を経て、進出を実行することが実は一番費用対効果の良い方法なのではないかと考えます。

 

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執筆:YAMADA Consulting & Spire Vietnam Co., Ltd.
(山田コンサルティンググループ株式会社 ベトナム現地法人)

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