海外ビジネス情報
更新日:2022/08/12 公開日:2020/03/13
テーマ: 03.海外ビジネス
中国コールドチェーン物流市場動向/前編
目次
レポートデータは本レポート後編の末尾よりダウンロードいただけます。
中国コールドチェーン物流業界概要
業界の定義と市場規模
「コールドチェーン(低温物流体系)」とは、生鮮食品や冷凍食品などを、生産地から消費地まで一貫して低温の状態を保ったまま流通させる仕組みである。
市場規模は、2018年に3,035億元(約4兆7,043億円、1元=15.5円で換算)となり、2020年には4,700億元(約7兆2,850億円)に達する見込み。市場全体が右肩上がりで拡大し、年平均成長率は21%となっている。
- 2019年のデータによると、市場の内訳は低温輸送が40%、冷蔵・冷凍倉庫と倉庫内のサービス等がそれぞれ30%となっている。
中国における冷蔵倉庫の規模と分布
中国の冷蔵倉庫総容量は2018年に5,238万トンで、2013年からの年平均成長率は16.8%となり、成長余地はまだ大きい。
地域分布からみると、4割以上は華東地域にあり、農産品産地が集中している内陸の各省・市の冷蔵倉庫容量はかなり低く、食品初期処理段階においてコールドチェーン設備が完備されていないことが見受けられる。
中国における冷蔵車の規模と分布
2018年には、中国の冷蔵車保有量は18万台に達し、5年連続で前年度同期比20%以上の成長を遂げた。
地域分布からみると、冷蔵倉庫と同じく、華東地域に約40%が集中しており、続いて華中と華北地域が各15%を占めている。
業界の市場構成
市場を商品別でみると、農産品物流が51%と過半数を占め、次いで医薬品が17%を占めている。
加工程度により、農産品、工業製品加工品及び高付加価値商品に分けられ、それぞれの商品によってコールドチェーン物流における指定温度が異なっている。
業界のバリューチェーン
以下では、食品におけるコールドチェーン物流業界のバリューチェーンを表している。
食品が産地から食品加工工場を経て、冷蔵倉庫に輸送され、そこから小売店・消費者まで配達される各段階において、冷蔵車、冷蔵倉庫、冷蔵庫の整備が必要不可欠となる。
業界の主要プレイヤー
コールドチェーン物流の業態は、主に7種類に分かれている。
分類 | 説明 | 代表プレイヤー |
運送型 | 低温運輸業務(基幹運輸、配送業務等) | 双汇物流、衆栄物流、栄慶物流 等 |
倉庫型 | 低温倉庫保管 | 外資と合弁:Sinotrans PFS、Swire |
配送型 | 市内低温倉庫保管及び市内配送 | 北京快行线、上海唯捷物流、深圳曙光 等 |
総合型 | 低温倉庫保管、基幹運輸、市内配送等の総合サービス | 招商美冷、上海广德、北京中冷、华冷物流 等 |
サプライチェーン型 | 調達からエンドユーザーまで各段階で低温運輸、加工、保管、配送サービスを提供 | 美国:SYSCO、US FOOD; |
EC型 | 生鮮食品EC業者に配送サービスを提供 | 顺丰冷运、菜鸟冷链、京東到家、神盾快運、愛鮮蜂等 |
Internet+ | Internet+Cold Chain | 冷链馬甲、码上配 |
出所:公開資料
中国コールドチェーン物流業界の成功事例
事例1_順豊速運(SF)
中国宅配便の代表企業であるSF Groupは、2014年にコールドチェーン事業を立ち上げ、2018年に米国の業界トップHAVIと提携することより、中国におけるコールドチェーン事業を更に拡大していく方針を示した。
事例2_京東物流(JD)
中国ECプラットフォームの代表企業であるJD Groupは2016年1月より生鮮事業部を発足し、同時にコールドチェーン事業を立ち上げ、2018年には業界の第3位まで成長した。
日系物流企業の進出状況
日系物流企業は日本での高度なノウハウを強みに、急成長の中国市場に次々と進出している。
- 中国では、食品毎に細かく温度設定可能な技術が発達しておらず、市場の成長に伴い先進技術とノウハウが求められているため、日系企業にとっては大きなビジネスチャンスとなる。
(後編へ続く)
中国コールドチェーン物流市場動向/後編
本レポートに関するご感想、ご質問は下記問合せフォーム、またはメールにてお寄せ下さい。
https://www.yamada-cg.co.jp/contact/
メールの方はこちら
[email protected]