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2020/06/03

テーマ: 03.海外

タイの観光およびホテル市場/後編

本編は前編の続きです。

タイの観光およびホテル市場/前編

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稼働率と客室単価の停滞

最近のホテル供給の急増とAirbnb(エアビーアンドビー)のようなシェアリングエコノミーとの競争により、ホテルの稼働率と客室単価は過去2〜3年間停滞している。

一部の地域、特に北部のチェンマイや南部のプーケットで供給過剰となっていることから、2017年以降、全国のホテルの平均稼働率は71%で推移している。

新型コロナウイルスの世界的流行による甚大な影響

3月上旬のタイ観光局(TAT)の推定によると、新型コロナウイルスの世界的な大流行により、タイに訪れる外国人旅行者数は2019年の約4,000万人から2020年には3,000万人と25%減少する可能性がある。タイのホテル業界への影響は、3月の第2週以降の感染拡大の加速状況、多くの国での人々の移動に対する制限の厳格化、航空会社のフライトキャンセルや就航停止により、予想よりも悪化する可能性がきわめて高い。

2020年1月下旬以降の急激な落ち込みにより、多数のホテルが廃業に追い込まれており、さらなる廃業も予想されている。

多数のホテルが感染危険エリア内にあるため、一時的な休業が相次いで発表されている。その多くは1ヵ月の予定だが、休業期間を数ヵ月延長するホテルもある。生き残りをかけて減給、無給休暇、レイオフなどの対策がとられている。

タイホテル市場の競争環境

供給の増加
観光セクターの見通しは長期的には明るいため、ホテルへの投資が増加している

一部の地域では供給が過剰になっているにもかかわらず、世界的なホテルチェーンや国内のホテル運営会社は引き続きポートフォリオを拡大している

不動産開発業者や大手財閥系企業などは、より高いリターンとリスク分散を求めて、ホテル投資に新規参入している

「タイホテル市場の現状」で前述したホテル市場の上位県では、多くのコンドテルの建設やホテルライセンス取得済。コンドミニアムのプロジェクトが進められている

 

ホームシェアリング
Airbnbのようなホームシェアリングビジネスがホテル事業にとっての頭痛の種であることは否定できない。Airbnbは、ユニークな地元体験を求める若い旅行者の間で人気が高まっている

旅行予約サイトのAgodaによると、アジアの旅行者のうち、休日の旅行でホテル以外の宿泊体験を求める人はホテルを予約する人に比べて30〜40%速いペースで増加している

2018年、タイでは8万人以上のホストがAirbnbを利用して部屋や家を貸し、約188万人に宿泊サービスを提供した

 

ライフスタイルのデジタル化
ライフスタイルのデジタル化は、ホテル業界の競争環境を変えた

Agoda、Booking、Expedia、TripAdvisorなどのオンライン旅行代理店(OTA)は、世界的に人気が高まっている。そのサービス機能により、旅行者は多くのホテルの様々なオプション、価格、サービス品質を簡単に比較できる。また、ホテル経営者はより多くの顧客にアプローチできる

SNSは、ホテルを含む多くの企業にとって重要なマーケティングチャネルになっている。幅広い層の潜在顧客*にアプローチし、顧客関係を維持し、強力なブランド認知を確立する上で役立ち、しかも費用対効果が高い。SNSのインフルエンサーを活用することはホテルマーケティングにおける有望なツールのひとつとなっており、特に旅行者に占める割合が最も大きいミレニアル世代に対する影響力が期待できる

注:* 2020年1月時点で、世界中に約38億人のSNSユーザーがいる
出所:We Are Social と Hootsuiteによるデジタル 2020レポート

タイホテル市場の主要企業

タイホテル事業への外資規制

タイのホテル事業への外資の参入は、主に外国人事業法と土地法という2つの法律によって規制されている。

外国人事業法では、外国企業がホテルマネジメントサービスの提供を除くホテル事業を行うことを認めていない。また土地法の下では、外国人による土地の所有は認められていない。

ただし、タイ投資委員会(BOI)が推進する認定ホテルプロジェクトについては、規制が緩和される場合がある。

ホテル事業に関する主な規制・法令

建築規制法とホテル事業法は、タイにおけるホテル事業を規制する主要な法律である。

これらの法律は、ホテルの建設や事業に関する、例えばホテル建設の許可、ホテル事業のライセンスや条件などの基準を定めている。

ホテル法(2004年)によると、ホテルは1ヵ月未満の期間で有料の宿泊施設を提供する場所として定義される。

ホテル事業を行うには、5年間有効なホテル事業ライセンスを取得する必要がある。ライセンスは更新および譲渡が可能。

まとめ

タイの観光・ホテル業界は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による深刻な危機に直面している。今後世界的な経済の落ち込みが予想され、業界が2019年レベルにまで回復するには数年かかる可能性がある。加えて、ASEAN地域の他市場との競争の激化、ホテル以外の宿泊チャネル、特にホームシェアリングビジネスやコンドテルとの競争の激化、国内の一部地域でのホテルの供給過剰なども業績にとって向かい風となるだろう。

このように課題は山積しているものの、長期的にはタイ観光業の展望は依然として明るい。要因としては、タイの多様な自然や文化がもたらす観光資源、十分に整備されたインフラ環境、航空サービスの拡大、政策やインセンティブによる政府の強力なサポートなどがあげられ、これらが観光需要を高め、ホテル業界の今後の成長余地を生み出している。

投資を成功させ市場で生き残るためには、以下の観点からの分析が必要になる。

 

執筆:YAMADA Consulting & Spire (Thailand) Co., Ltd.
YC Capital Co., Ltd.

(山田コンサルティンググループ株式会社 タイ現地法人)

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タイの観光およびホテル市場