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海外ビジネス情報

2022/06/02

テーマ: 03.海外

海外市場調査。失敗しない海外進出のイロハ

目次

海外市場調査とは?

海外進出を検討するにあたり、市場調査は非常に重要です。企業のビジネスが優れた機能や他にはないサービスを有していたとしても、それを求める市場が進出しようとする対象国にない場合、進出の意味はありません。自分たちはどの市場で勝負をするのか、その決定のカギを握るのは「市場調査」であるといえるでしょう。本レポートでは海外市場調査の基本事項についてご案内します。

なぜ市場調査が必要なのか?

日本で新商品をリリースする際、綿密な調査・計画に基づいて開発から販売まで進めているのではないでしょうか。ところが、市場を海外へ切り替えた途端、メイドインジャパンに胡坐をかいて市場調査を怠る企業が多いように感じます。海外でビジネスをするにあたり、どの形態を採用したとしても、かなりの投資や費用が発生します。そのため、少しでも事前に懸念事項を把握・解消させる必要があるのです。以降のパートでは海外市場の種類や手法について説明します。

海外市場調査の種類

市場調査にはいくつか種類があります。製品やサービスの性質によって、必要な調査は異なります。ただ海外進出をする目的が何であれ、その前に必ず行っていただきたいことがあります。それは自社の現状分析です。まずは自社の分析からご説明します。

自社分析

自社についてはすでにご存じのこととは思いますが、ここで必要なのは「海外進出」にフォーカスした場合の自社分析です。
これまでも海外事業に取り組まれている場合は、海外事業も含めたお持ちのリソースを整理し、海外事業での成功例、失敗例を整理してください。その上で、自社の商品力・技術・ノウハウといった自社の強み・弱みや現在の海外事業の状況から課題を把握し、それらを元に今後の海外事業へ当てはめます。海外進出が初めての場合は、国内事業での強み・弱みの整理をし、新規事業へ当てはめてください。改めて自社の分析を行うことで、自社の強みが海外市場でビジネスチャンスを獲得でき、競合と差別化が図れるだけの魅力があるのかを考えることができます。また、この後、市場調査を行う前に、海外事業の仮説立案と簡易規制調査を実施していただきたいですが、本レポートでは割愛します。

マーケット調査

市場動向調査では、主にデスクトップリサーチで調べられる事項が中心となります。政府機関や専門機関の統計データやレポート、企業ホームページ等から情報を収集し、市場規模や需要予測、市場シェア等を調べます。一般に出回っているような情報にはなりますが、海外の場合、国によっては現地語でしか発信されていないケースもあることから、現地語の理解が必要です。さらに、東南アジアの場合には、そもそも統計データがないことも珍しくありません。日本との親和性を掴むには、対象国の日系企業数や訪日観光客数等が有用な情報です。親日であればあるほど、日本企業の進出は歓迎されますし、日本製品は売りやすい環境となります。
進出しようとしているビジネスによって調査項目は変動しますが、調査した内容は国ごと、項目ごとに一覧にまとめますと比較検討がしやすいです。

顧客ニーズ調査

ビジネスの対象が何かによって顧客は異なりますが、その国の顧客が何を求めているか、何を理由に購入を決定するかを知っておく必要があります。ここでは顧客の購買決定要因(KBF=Key Buying Factor)、購入意思決定者(DMU=Decision Making Unit)、購入チャネルを調査します。このような情報になるとマクロ情報とは異なりネット上に出回っているものではないので、実際に対象者から情報を収集しなくてはなりません。商品やサービスが誰向けのものなのか、日系向けかローカル向けか、対象とする所得者層はどの階層か等、顧客が誰を指すのかはモノやサービスによって異なるため、事前に調査対象を明確に設定することが求められます。
この際の調査方法ですが、消費者へ一人ずつインタビューをすると莫大な時間と労力がかかることから、最終消費者への調査はオンライン調査等の手法を用いるのが効率的です。最終消費者以外のプレーヤーについては、オンライン調査やグループインタビュー等の実施は不向きなため、地道なインタビュー調査で一つずつ声を集めていく必要があります。

競合調査

いくらマーケットがあり顧客のし好が押さえられたといっても、すでにローカル企業によって独占・寡占状態にあれば、進出の余地はないかもしれません。マーケットへ進出する余地はあるのか、競合企業の数や人気商品・サービスについて調べましょう。競合プレーヤーリストを作成し、競合の売れ筋や商品・企業の特徴を分析すると、その国の傾向が見えてくることがあります。日本と同じ売り方、サイズ、価格帯で良いのか、自社商品の検討に際して貴重な情報が収集できます。

競合企業の販促やマーケティング、広告についても情報があると、自社進出の際に参考になります。これらの情報は企業のホームページ等で公開されているので、現地語の壁をクリアできれば調査自体は容易に行えるものです。インターネット等から収集した情報をもって、インタビュー調査を経て裏付けを行うことで、さらに調査結果の信ぴょう性は高まります。

仮に、最終的に単独での進出ではなく、現地企業との業務提携・資本提携が有効との結論に至った際には、競合企業がパートナー候補企業へと転じる可能性もあります。そのため、調査の際には「もし一緒に事業を行うならどこを選ぶか」というクエスチョンを持ちながら進めると、また違った角度から企業を見ることができます。

法・規制調査

自国の事業を守るため、東南アジアでは外資規制を敷いている国が多く存在します。単独での参入が難しい場合や、単独で参入できても資本金規制が設けられている場合もあり、進出にあたり取りうる選択肢の検証が必要です。また、国によっては外資企業が土地を取得できない場合もありますので、自身の業種、業態に関する規制は最新情報を網羅しなくてはなりません。現地で行うビジネスが許認可・ライセンスの対象事業に該当する場合も同様に事前に調査をし、ライセンス取得までの期間をも含めた進出スケジュールを立てて頂きたいと思います。

その他、原材料や商品を他国から輸入する際には、それに係る輸入関税も重要事項です。アジアでは法令や制度の改定が高い頻度で行われる傾向にあります。加えて、制度と実務とでは取扱いが異なることも多々あるため、法令を鵜呑みにせず、実務上どうなっているかも併せて調査することが必要です。

パートナー企業調査

上述しました通り、競合企業がパートナー候補企業へ転じる可能性は低くありません。マーケットの把握、競合分析、法規制調査を経て、最善の進出方法を検討した結果、合弁事業を選択する際には、次のステップとしてパートナー選定のための調査を行うこととなります。
パートナー企業選定は時間と労力をかけて、パートナーを絞り込む重要な作業です。まずは対象の候補先をリスト化するために、候補先の条件を設定します。その後、事業エリア、事業規模、取扱い製品やサービス、株主構成等を調べ、候補先リストから絞込みを行い、可能性のある先と面談していく流れとなります。

海外市場調査は必須

以上、具体的な調査のステップとその必要性についてご説明しました。調査は深堀すればする程費用が嵩みますし、自力で行うには限界があるかと思います。しかし、調査なしにまずは進出といって失敗している企業の例を相当数目にしてきました。是非、事前の調査費用に関しては「投資」と考えてご検討ください。海外の撤退は容易ではありません。タイでもベトナムでも撤退には1~2年を要するといわれていますし、タイでは債務超過の状態で会社を閉鎖することはできず、まずは債務超過を解消するための追加での資本投入が求められます。変化が速くスピード勝負といわれる海外市場ではありますが、後悔のない進出を実現するため、スピード感を保ちながらも、できる限り入念な準備をして頂きたいと思います。

海外市場調査の手法

海外に限った方法ではありませんが、市場調査の手法についてご説明します。

どんな手法があるのか?

市場調査には、調査する対象によって適切な調査方法が異なります。ここではよく使われる調査方法について、簡単に説明します。

デスクトップリサーチ

デスクトップリサーチは、インターネット調査を指します。日本国内にいながら、インターネットで多数の情報を収集することができます。こちらをご覧の皆さまも本レポートを「海外 市場調査」といったワードで検索されたのではないでしょうか。関連情報のまとめサイト、個人によるSNS、政府機関の統計データ等、パソコン一つで簡単に情報が収集できる時代になりました。情報の信ぴょう性には注意をしていただき、時には有料情報も活用することで、効率的に有用な情報を入手することが可能です。

インタビューリサーチ

インタビューリサーチは、進出を検討している現地にて、購入者・消費者となる方を対象にインタビューをする方法です。実際に商品やサービスを利用される方の声を集めることができるため細かな事項まで質問することができますが、その分時間とコストが発生します。対象とする人数によって、1対1インタビューからグループインタビューまで選択が可能です。また、コストを抑えるために、日本にいる外国人を対象として実施する方法もあります。

店頭調査

店頭調査とは、対象エリアのスーパーマーケットやコンビニ、パパママショップ、ショッピングモールでの調査を指します。競合商品や代替商品の価格やパッケージ、店舗での棚割り、販促状況等を調べることができ、自社商品の価格設定、パッケージ等の決定にあたり重要な情報となります。

また、実際の買い物客やサービス利用者による満足度調査、プロモーションの認知度調査、店舗前等の通行量調査や入店客数調査など、現地でしか分からない情報を収集することが可能です。

アンケートリサーチ

アンケートリサーチは、現地の消費者や企業へ直接アンケートを実施する方法です。以前は電話やFAX、郵送、街頭アンケートがありましたが、近年ではオンラインに切り替わり、比較的時間やコストを抑えて調査を実施することができるようになりました。

専門家ヒアリング

専門家ヒアリングは、進出する国の市場に詳しい専門家へインタビューをする方法です。企業に属している方、学者、専門機関の方へインタビューすることで、その方しか有していない貴重な情報を収集することができます。最近はそのようなプラットフォームができたこともあり、インタビューをする環境は以前と比べ整ってきているように感じます。

どのように進めるのか?

それぞれの調査方法にはメリットデメリットがあります。調査に時間を要する手法は価格も高いですが、その分情報の価値も高いといえるでしょう。一方で、インターネットから入手できる情報はリーズナブルに、そして早く多くのデータを入手することができます。調査する情報は何か、まずはリサーチの設計をしっかりと行い、無駄のない価値ある情報を取得できるようにしていただきたいと思います。

どのくらい費用がかかるのか?

調査費用は実施する方法によって大きく異なります。ただ、全て自社で完結することは難しいのではないかと推測します。自社で行う調査と外部委託する調査を選別して実施することが費用面だけで見ると負担が少なく、かつ効果が得られると思います。外部委託の際は、調査方法によって大きく異なりますが、1カ国あたり数十万~300万円程度は発生するとお考えください。

それでは最後に、海外市場調査の注意点について触れます。

海外市場調査をする際の注意点

当然と言えば当然ですが、海外市場調査をすることはゴールではありません。海外事業成功という目標があって、それを確実に推進するために海外市場調査を行い、その結果を用いることが目的です。目標、目的とそのための手段を混同しないようご注意ください。

言語の問題

デスクトップリサーチ、アンケート調査、インタビュー調査等、現地でのリサーチいずれにおいても、海外市場の調査においては常に言語の問題が付きまといます。政府機関のデータでは英語で公表されていることも多く、英語ができればかなりの情報が入手できますが、例えば現地企業のホームページ閲覧や消費者インタビューをするには、現地語のみしか通用しないことが多いといえるでしょう。特にインタビューによって正確な情報を取得するには、ネイティブレベルの語学力が必要になってまいります。

地理の問題

現地での調査の際、日本から現地への移動に加え、現地での都市間の移動も国によっては容易ではありません。現地での実地調査は一都市のみではデータに偏りが出ることもありますし、都市間で嗜好が異なることも多いため、複数の都市にて調査することをお勧めします。

海外市場調査のポイント

以上、海外市場調査について説明をしました。なかなかリソースがない自社内で海外市場調査を完結させることは難しいと思います。進出自体を外部企業の伴走を得ながら進める、現地調査のパートのみをリサーチ会社に依頼する等、進め方はさまざまです。海外事業成功のために、効果的な調査を行い、そこで得たデータを生かしていただきたいと思います。

執筆:山田コンサルティンググループ株式会社 海外事業本部

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