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更新日:2022/08/12

テーマ: 03.海外ビジネス

タイの食品市場の概要/前編

目次

1.市場の規模と特徴

(1)大きな経済規模と顧客ベース

タイの総人口は約6,760万人で、東南アジアで4番目に多い(2017年)。

タイ総人口に占める労働力人口(15歳~59歳)の割合は約67%である。

タイの経済規模はインドネシアに次いで東南アジアで2番目に大きく、2017年のGDPは15兆4,530億バーツ(約4,553億米ドル)だった。さらにタイの2018年のGDP成長率は4.2%-4.7%と予測されている。

現在タイは上位中所得国だが、2026年末までに高所得国になることを目指している。

タイの全世帯数に占める中間所得世帯注1数 の割合は、2010年の69%から2015年には73%に増加しており、2020年には75%になるものと予測されている。

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注1) 中間所得世帯とは、年間所得が175,000バーツから875,000バーツの世帯と定義される(出所: Deloitte’s Thailand Consumer Survey Report)

(2)消費者グループの中で最も大きな割合を占め、今後老齢人口拡大の要因となるミレニアル世代

2017年のタイの人口中央値は37才である。これに対して日本は約47歳である。

ミレニアル世代(ジェネレーションY)は、タイの総人口の中で最も大きな割合を占めているため、今後の小売・飲食サービスの市場動向に大きな影響を及ぼすものと思われる。この年代の特徴としては、ITなど現代テクノロジーに精通している、情報を重視する、SNSを活用している、好みがはっきりしている、金融に関する知識やスキルを有するということが挙げられる。 注2

タイでは老齢人口が増加傾向にあり、総人口に占める割合は2020年の約19%から2040年には32%に増えると予測されている。

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注2)SCB Economic Intelligence Centerが実施した2014 Consumer survey(消費者調査)の結果

(3)小家族化傾向

タイでは世帯の小家族化が進んでいる。国家統計局(NSO)の調査によると、1世帯当たりの平均人数は、2000年の3.8人から2017年には3.16人に減少している。

核家族(夫婦二人世帯)や単身世帯の割合が大きくなり、世帯数は増加している。

(4)地域の状況

バンコク首都圏及び隣接地区は、経済規模が国内で最大であり、GDPはタイ全体の約46% を占める(2016年)。人口ではタイ全体の 23%を占める。

バンコクは首都であるだけでなく、金融・ビジネスの中心地であり、さらに観光地でもある。バンコクの経済開発、交通システム、生活・消費に関わるライフスタイルのレベルは他地域をはるかにしのぐ。

東部は、経済規模が国内で2番目に大きくGDPの18%を占める。また、国内物流の要衝であり、自動車や化学の主な製造拠点でもある。

人口が最も多いのは北部であり、総人口の28%を占める。しかしながら、北部の人口は農村部に集中しており、そのほとんどが農業従事者である。北部地域内では、東北部への玄関口であるナコーンラーチャシーマー県の人口が最も多い。

(5)タイにおける食品消費の動向

①外食傾向

タイ世帯の食費の主な品目は、依然として家庭での調理用の食品である。とはいえ、外食傾向も顕著になっており、2012年から2016年には外食費支出が年平均成長率12%で増加した。

タイの外食支出全体に占める地域別の割合は、バンコク首都圏及び隣接地区が最も大きく、これに中部が続く。理由は、都市部の家族や社会人が自宅で調理や食事の準備をする時間が徐々に短くなっていることにある。労働時間が延び所得が増加したことで、消費者はより頻繁に外食するようになっている。

② 健康志向

より健康的な食品を求めるタイの消費者が増えている。例えば、栄養価を高めた食品、オーガニック原材料を使用している食品、低カロリーのもの、糖分・塩分・脂肪が少ないものなどである。しかしながら、タイの健康食品市場はまだ非常に規模が小さく、都市部のみに限定されている。

③ さほど価格に敏感ではない都市部消費者

所得水準が上昇しており、市場に並ぶ商品の選択肢の幅が広い都市部において、一般的な消費者はさほど価格に敏感ではない。Deloitteがバンコクとチェンマイで実施した消費者調査によると、加工食品を購入する際の上位3要因は味、安全性、信頼性だった。価格はこれに次いで4位だった。

④ モダン小売が勢力を拡大

中間所得者層の増加、都市化、モダン小売店舗の急増による影響で、消費者の生活スタイルが変化している。モダン小売は、特に都市部で、消費者が商品を購入する主なチャネルとなっている。

タイの小売市場に占めるモダン小売の割合は、2010年の50%から2015年には60%になったが、タイ商工会議所大学(UTCC)ではこれが2020年には70%に達するだろうと予測している。

米国農務省(USDA)によると、食品生産物については、モダン小売りはタイの小売食品販売全体の約70%を占め、消費者は生鮮市場や従来の食料品店からパイパーマーケットやスーパーマーケットにシフトしている。

さらにDeloitteの消費者調査では、都市部人口の大半(75-80%)が加工食品を買う場合、モダン小売店舗(特にコンビニエンスストアやハイパーマーケット)を好むことを示している。

⑤タイ食品市場における外国人旅行者の割合が上昇

外国人旅行者は2016年以降年間3,000万人を超えており、タイ経済におけるその役割の重要性が近年高まっている。同外国人旅行者のタイにおける食品・飲料支出額は、2011年から2016年にかけて年平均成長率18%と大きく成長している。

外国人旅行者数の増加や、同旅行者のタイにおける食品・飲料への支出額の増加傾向によって、バンコクおよび主要観光地(プーケット、クラビ、チェンマイなど)にあるモダン食品小売店やレストラン市場がその恩恵を受けている。

(後編へ続く)

タイの食品市場の概要/後編

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