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基礎知識

2021/03/03

テーマ: 04.コーポレート・ガバナンス

コーポレートガバナンス・コードとは?

2015年にはじめて策定され、2021年中に新たな改訂が予定されているコーポレートガバナンス・コードについて、皆様はどの程度ご存知でしょうか?
企業の国際競争力強化・不正や不祥事への対応が叫ばれる中、コーポレートガバナンスの強化は企業経営にとってますます重要なテーマとなっています。
本記事では、コーポレートガバナンス・コードについてわかりやすく解説します。

目次

コーポレートガバナンスとは?

日本語において「企業統治」と訳されることが多い「コーポレートガバナンス」ですが、コーポレートガバナンス・コード(東京証券取引所 2018 年6月1日)において、その定義が示されています。

本コードにおいて、「コーポレートガバナンス」とは、会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを意味する。

ここで重要なのは、コーポレートガバナンスは、”仕組み”であるということです。
企業は、ステークホルダーの立場を踏まえ企業を適正に運営・発展させるための仕組みを整える必要があります。

コーポレートガバナンス・コードとは?

次に、コーポレートガバナンスに関するコードである、「コーポレートガバナンス・コード」の定義についてです。
こちらも、コーポレートガバナンス・コード(同上)に定義が示されています。

本コードは、実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたものであり、これらが適切に実践されることは、それぞれの会社において持続的な 成長と中長期的な企業価値の向上のための自律的な対応が図られることを通じて、会社、 投資家、ひいては経済全体の発展にも寄与することとなるものと考えられる。

つまり、コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)は、ステークホルダーの立場を踏まえ企業を適正に運営・発展させるための”仕組みの実現に資する主要な原則です。

CGコードの制定の背景

2014年6月24日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2014-未来への挑戦-」で、改訂戦略における鍵となる施策のひとつとしてコーポレートガバナンスの強化が明示されました。

日本企業の「稼ぐ力」、すなわち中長期的な収益性・生産性を高め、その果実を広く国民(家計)が享受するためにコーポレートガバナンスを強化し、経営者のマインドを変革し、グローバル水準のROEの達成等をひとつの目安に、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を後押しする仕組みを強化していくことを目指しています。

そして、2015年6月1日にCGコードが策定されました。
現在の最新版は、2018年6月1日改訂のものです。

CGコードの特徴 「プリンシプルベース・アプローチ」と「コンプライ・オア・エクスプレイン」

CGコードの大きな特徴のひとつは、「プリンシプルベース・アプローチ」を採用していることです。
「プリンシプルベース・アプローチ」に関してはコーポレートガバナンス・コードの序文に説明があります。

本コード(原案)において示される規範は、基本原則、原則、補充原則から構成されているが、それらの履行の態様は、例えば、会社の業種、規模、事業特性、機関設計、会社を取り巻く環境等によって様々に異なり得る。
本コード(原案)に定める各原則の適用の仕方は、それぞれの会社が自らの置かれた状況に応じて工夫すべきものである。
こうした点に鑑み、本コード(原案)は、会社が取るべき行動について詳細に規定する「ルールベース・アプローチ」(細則主義)ではなく、会社が各々の置かれた状況に応じて、実効的なコーポレートガバナンスを実現することができるよう、いわゆる「プリンシプルベース・アプローチ」(原則主義)を採用している。

つまり、あくまでCGコードは原則を示すものであるということです。

もう一つの大きな特徴は、「コンプライ・オア・エクスプレイン」です。

また、本コード(原案)は、法令とは異なり法的拘束力を有する規範ではなく、その実施に当たっては、いわゆる「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)の手法を採用している。
すなわち、本コード(原案)の各原則(基本原則・原則・補充原則)の中に、自らの個別事情に照らして実施することが適切でないと考える原則があれば、
それを「実施しない理由」を十分に説明することにより、一部の原則を実施しないことも想定している。

まとめると、CGコードは法的拘束力をもたないソフトローであり、各原則を実現する具体的な内容は個々の企業に委ねられています。
全78原則についてのコンプライ(実施)状況については、東京証券取引所にて公開されています。

CGコードの構成と適用範囲

CGコードは、5つの「基本原則」と、この各「基本原則」に付随して31の「原則」、更に「原則」を補足する42の「補充原則」から成り立っています(計78項目)。
現在、市場第一部・第二部の上場会社は、コードの全原則について、マザーズ及びJASDAQの上場会社は、コードの基本原則について、実施しないものがある場合には、その理由を説明することが求められます。

2022年4月に東京証券取引所において市場区分の見直しが行われる予定のため、企業は自社の市場区分に合わせて適切なCGコードの適用が必要です。

出所:株式会社東京証券取引所 コーポレートガバナンス・コードの全原則適用に係る対応についてより筆者作成

2021年のCGコード改訂

2021年中にCGコードが改訂される見通しです。
2020年10月より「スチュワードシップ・コード及びCGコードのフォローアップ会議」において、CGコードの再改訂に向けた議論を開始しています。

2020年12月に、中間的な取りまとめとして、意見書(「コロナ後の企業の変革に向けた取締役会の機能発揮及び企業の中核人材の多様性の確保」)を公表しており、意見書では下記の2点が言及されています。

最後に

2021年中にCGコードの改訂、2022年4月から新市場区分への移行が予定され、プライム市場(仮称)上場企業には一段高い水準のガバナンスが求められることになります。
また、ESGの観点からも企業のガバナンスの強化は重要性を増しています。
企業において、こうした制度変更を機会と捉え、早期に実効的なコーポレートガバナンスを構築することが期待されます。

筆者紹介

小倉 佳祐
山田コンサルティンググループ株式会社
経営コンサルティング事業本部 事業戦略部 シニアコンサルタント
CFE 公認不正検査士
CISA 公認情報システム監査人

東京大学法学部にて独占禁止法、租税法を専攻した後、現 山田コンサルティンググループ株式会社に新卒で入社。
入社以来、中堅・中小企業~東証1部上場企業までの事業計画策定・業務効率化支援、内部監査体制構築支援、不正発生企業の再発防止策検討支援、弊社内部監査(グローバル監査)等を経験。

 

出典

東京証券取引所 コーポレートガバナンス・コード
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/index.html

東京証券取引所 コーポレートガバナンス・コードの 全原則適用に係る対応について
https://www.jpx.co.jp/equities/improvements/market-structure/nlsgeu000003pd3t-att/nlsgeu000005b3j7.pdf

金融庁 コロナ後の企業の変革に向けた取締役会の機能発揮及び企業の中核人材の多様性の確保
(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(5))
の公表について
https://www.fsa.go.jp/news/r2/singi/20201218.html