当社事例
2023/03/17
テーマ: 02.M&A
食品商社がM&Aにより農産物生産事業に進出した事例
A株式会社 | B株式会社 |
事業内容:農産物生産 | 事業内容:食品卸売業 |
エリア:中国地方 | エリア:関西地方 |
売上規模:約10億円 | 売上規模:約1,000億円 |
当社のかかわり方

案件概要
A株式会社は中部地方で農産物を生産するメーカー。当該農産物は屋内生産であり、加えて、工程が機械化されているため、気象条件の影響も少なく安定的な生産ができる体制を整えている。
一方、販路としてはJAが中心であり、製品の独自性が出しにくく、付加価値も付け難い状況となっていた。そのため、買手候補としては同種の製品を生産するメーカーではなく、販路を広げる可能性がある食品系流通業界の会社を探していた。
B株式会社は、関西地方の食品商社。国内・海外から農産物・海産物を調達し、国内の食品メーカー、スーパーマーケット、飲食業等に販売網を確保していた。
その中、同社では、仕入の安定化と商品力強化のためメーカー機能を取込み、自社ブランドの確立を企図しており、適当な農産物生産会社を探していた。
2社の意向が合致したことから、MA交渉がスタートし、基本合意締結、デューディリジェンスと細かい交渉事はありながらも順調にステータスを進めていた。
しかし、デューディリジェンスが完了したあたりから、A株式会社株主のうち1名の健康状態が思わしくない状況で、意思能力の著しい低下が認められることとなり、交渉進捗に時間を要する事態となった。
このため、当該株主の親族及び主治医は当人に成年後見人を付ける決定をし、これにより、A株式会社側の当事者は株主、成年後見人となった。
また、同時期にA株式会社の生産性が悪化し、採算性が落ちていたことから、B株式会社から生産性の改善を求められることとなった。
山田コンサルは、A株式会社の生産性悪化の要因分析と、改善のための施策検討・実施を支援し、結果として生産性は回復し採算も改善したことから、B株式会社の不安要素を取り除くことができた。
その後、成年後見人は地元の弁護士が就任し、両社を交え交渉を進めることとなった。成年後見人の目的が、株式の早期現金化にあったことから、交渉はスムーズに進み、成年後見人就任から約2ヶ月で最終契約書締結・クロージングを迎えることができた。
背景・売手オーナー様の課題
- ● 創業メンバーが高齢化していたが、親族内・会社内に適当な後継者がいなかった
- ● 販路においてJAへの依存度が高く、独自性及び付加価値が付け難い状況となっていた
M&Aの進め方&成約のポイント
買手候補選定の基本方針
- ● A株式会社の販路はJAが中心であったことから、従前より販路開拓を戦略の柱としていた。そのため、買手候補として、販路の拡大及びJA依存度の低減を進め、商品のオリジナル性、付加価値の向上を図ることを支援してくれる相手を探した。)
A社を選定した理由
- ● A株式会社が生産する農産品は定番品であったこと。また、A株式会社は生産設備、技術、販路も確保している出来上がったビジネスモデルを展開していたため
成約のポイント
- ● A社株主の意思能力が低減し交渉進捗が停滞したが、B社が理解を示し、交渉を継続することができた
- ● 成年後見人の目的を把握し、交渉進捗のスピードアップを図ることができた
- ● A社の生産性低下の要因分析を実施し、改善施策検討・実行支援を行うことでB社の理解を得られた
成果・結果
販路の拡大とJA依存度の低減
- ● B社の傘下に入ることに依り、A社の経営課題であった販路の拡大とJA依存度の低減を図ることが可能となり、付加価値の向上を期待できることとなった。
メーカー機能の確保とオリジナルブランドの立上げ
- ● A社のメーカー機能を傘下に取り込むことに依り、仕入の安定化とオリジナルブランドの立ち上げをすることが可能となった。また、M&Aのノウハウも得られ今後のM&A戦略の素地を作ることができた