当社事例
2023/03/17
テーマ: 02.M&A
地方の人手不足問題の解決を目指した
地場優良企業の事業承継M&A事例
A株式会社 | B株式会社 |
事業内容:建設業 | 事業内容:建設業 |
エリア:東海地方 | エリア:東海地方 |
売上規模:約10億円 | 売上規模:約90億円 |
当社のかかわり方

案件概要
将来的に人口が減少していくことが予想される地域の地場優良建設業の事業承継に関するM&A。
譲渡企業は、オーナー社長が約40年前に創業した企業であり、現在は官民問わず地域での評判が高い企業である。しかし、社長の営業力をもって発展してきた背景があり、社長の引退が事業に及ぼす影響は少なくないという問題があった。
また、建設業における人手不足問題を当社も抱えており、当該問題の解決もM&Aによって目指した。
背景・売手オーナー様の課題
- ● A社のオーナー社長(以下「社長」という)は、創業社長であり、1代で会社を成長させた経営者である。A社は、社長が築き上げた各取引先との強固な信頼関係により創業から約40年一度も赤字を出したことがない優良企業であった
- ● 社長の親族には娘がいたが、自身がこれまで会社経営において数多くの苦労を経験していたことから、娘への承継はしないことを過去より意思決定していた
- ● 今回M&Aを事業承継の手段として意思決定した背景は下記の理由がある
- ● 一つ目は、「創業オーナー」の後を継ぐ人材の不足である。社内に親族外の取締役が2名いた。M&Aを意思決定する前にMBOも選択肢として、両取締役に相談をしたところ「自身には荷が重い」という反応が返ってきていた。業務を承継していくことは出来ても、社長の長年培ってきた人脈を承継することの難しさを理解した上での反応であった
- ● 二つ目は、「人手不足問題」の解決である。建設業においては、「人手不足問題」が叫ばれて久しいが、A社の地域は特に人手不足問題の進行が速い地域であった。A社は地場の優良企業であったが採用には苦慮しており、特に現場監督の採用ができず、獲得した案件も断らざるを得ない状況が続いていた。このまま単独で事業活動をしていたとしても将来的な事業拡大は難しく、M&Aにより採用力の強化・人材交流を図りたいという思いが社長にはあった
M&Aの進め方&成約のポイント
買手候補選定の基本方針
- ● 対象会社は、財務状況等安定した企業であったが、「会社の顔」である社長の引退後の事業リスクを勘案するとマッチングが難航。特に、営業面でのサポートが可能である買手探索を行った
- ● 「人材交流」を条件の一つとしていたため、同エリア内でのマッチングを目指したが、一方、社長は地場の名士でもあったため打診時の情報管理は慎重に行うこととした
成約のポイント
- ● 社長引退後の営業面を中心とした事業上のリスクをB社のグループ力で補完できるシナリオを明確に描けたこと
- ● B社としても当該エリアにて、地域の企業連合を作り、地域No.1グループを目指していたこと(A社は今まで未進出であったエリアに所在)
- ● 売買社長ともに、青年会議所(JC)出身であり、考え方・理念を同じくしていたことで、DD・条件交渉においても比較的友好的に進んで行ったこと
成果・効果
人手不足問題の解決の糸口となるM&A
- ● A社とB社がグループとなることにより、当該エリアにおける有力企業連合となった。採用力の向上に加え、既存の従業員においても交流を図ることが可能となり、M&Aが将来的な人手不足問題解決の糸口となることができた