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更新日:2025/05/19
テーマ: 03.海外ビジネス
ベトナムビルクリーニング市場の展望 ~成長潜在性と産業の課題~
目次
サマリー
市場規模
・2022年のベトナムビルクリーニング市場は1,330億円に達すると推計されている。特に急速に成長している大都市では市場需要が依然として非常に大きく、この市場は大きな成長の可能性を秘めてい る。
・しかし、ビルクリーニングサービスを提供する会社の数はまだ限られており、分散して存在いるため、市場需要をすべて満たすことはできない。
成長ドライバー・障壁
・市場の主な成長ドライバーは、大都市における急速な都市化プロセスによるビルやアパートの建設需要の増加である。さらに、富裕層の増加により、クリーニングサービスにも大きな可能性が生まれている。
・清掃企業にとっての大きな課題は、熟練した経験豊富な労働者を維持することが難しいことと、サービスの品質が劣る企業との激しい価格競争である。
市場構造
・現在の市場構造は国内の中小企業がメインで、主に清掃、防虫、警備などのソフトサービスが提供されている。
・一方、大手企業は多国籍企業が多く、清掃サービスとビルの総合管理などのハードサービスに重点を置く。これらの大企業は、コスト削減とサービス品質の向上のため、技術力の強化と自動化を積極的な活用ぬ向けた工夫をしている。
日系企業の参入
・日系企業の参入はまだ多く見られていないが、一部の日系企業は、パートナー企業の実績・ノウハウ活用を狙い、ベトナム国内企業の買収を通じた市場参入を始めている。
ベトナムビルクリーニングの概要
・ビルクリーニングは清掃・除菌、メンテナンス、特殊クリーニングサービスの主な3つのカテゴリーがある
・商業施設、工業施設、住宅、その他施設(学校・病院)がビルクリーニングの対象となる
ビルクリーニングの定義
建物の消毒・駆除、清掃・メンテナンス、特殊クリーニングサービスを集約したサービスであり、以下のカテゴリに分けられる。
1. 清掃・除菌 | 住居やその他の建物の清掃・除菌が含まれる。昆虫、げっ歯類、その他の害虫の駆除と燻蒸サービス |
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2. メンテナンス | 衛生面や設備面などの保守管理、ビルの運営が含まれる |
3. 特殊クリーニングサービス | 窓のクリーニング、煙突のクリーニング、暖炉、焼却炉、換気ダクトおよび排気装置のクリーニング、産業機械のクリーニング、物品および施設の滅菌が含まれる |
ビルクリーニングの範囲・対象

ビルクリーニングサービスの例

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画像引用元
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https://www.daibau.vn/trung_tam_dich_vu_ve_sinh_apt_keng/du-an-va-y-kien/ve_sinh_nha_o/402
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https://vesinhanhduongxanh.com/dich-vu-phun-khu-khuan-hai-phong/
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https://www.tbs-net.co.jp/building_maintenance/maintenance/
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https://www.sumave.com/20200303_16289/
ベトナムビルクリーニングの市場規模
・2022年のビルクリーニング市場は1,330億円に達すると推計されており、このうち建物のクリーニング市場はハードサービス(建物の保守・運営)の売上が大きな割合を占めている。同業界は、2023年~2030年の間年間10%で成長すると予測されている。

業界への成長ドライバー
ベトナム主要都市におけるプレーヤータイプ
・市場構造全体としては、小規模企業が多く、分散している。
・小規模企業はソフトサービスをメインに提供し、大規模企業はソフトサービス以外のハードサービスも提供する傾向がある
キープレーヤー 提供サービスと顧客タイプまとめ
キープレーヤーの動き
・業界の大手企業は、技術(デジタル化、自動化)を積極的に活用して、提供価格を抑えることに加え、サービス品質の向上により顧客に付加価値をもたらす
Aden
データに基づいたビル運営管理
・スマート施設の管理
AkilaプラットフォームのAIのシミュレーション機能に基づいて、資産をリアルタイムで追跡することでリスク管理と予防タスクを実行し、将来のプロジェクトのパフォーマンスを予測し迅速に処理
・スマートエネルギー
Akilaソフトウェアを使用すると、プロジェクトでの実際のエネルギー使用の完全かつ詳細な画像を作成できる。
Nha Sach
産業クリーニングにロボットを導入する先駆者として、生産性の向上、長期的なコストの削減、品質を確保
・AIシステムにより、ロボットは動作スケジュールを構築し、周辺環境を認識して「洗浄、乾燥、掃除機、消毒」のうち最適な方法を選択して対応する。
・また、人や障害物を回避し、人とロボットの間に安全な距離を確保するための高速応答センサーも統合されている。
・自動マイクロプロセッサーにより、水、洗剤などを追加するステップを完全に自動化し、プログラマーの介入を最小限に抑える。
AEON
技術に基づいた衛生管理
・臭いを数値化する装置を使用
トイレや調理場の臭い、床の光沢などを定量的に測定する機器を使い、客観的データに基づいた衛生管理サービスを提供
・微細な汚れを除去する技術
マイクロファイバータオル、マイクロファイバーモップボール、複合洗浄機などの最新機器を導入
肉眼では見えない残りの汚れを簡単に検出できるよう、クリーニングチームに紫外線ライトを使用
bTaskee
・bTaskee は、テクノロジーを活用してユーザーとクリーニングサービス プロバイダーを接続するオンライン プラットフォームを構築したパイオニアである
・同社は従来の住宅分野にとどまらず、オフィス、ベビーシッター、高齢者介護サービスなど多様なサービス提供することで、他の市場の潜在的ニーズに積極的にアプローチしている
・デジタル技術の導入により顧客検索と内部管理プロセスを最適化
bTaskee は自社のテクノロジーを活用して予約・発注のプロセスをスムーズし、顧客の利便性を追求
同社は、サービス品質を維持および向上させるために、品質テストの継続に加え、顧客からのフィードバックを収集・反映する
・サービスの多様化による市場拡大
住宅セクターでは、従来のハウスクリーニング サービスに加えて、調理、洗濯、育児サービスも開始
さらに、オフィスクリーニングや高齢者介護サービスも提供している
・海外市場への参入
bTaskee は、国内市場で成功したテクノロジー プラットフォーム モデル、人材管理、業務手順の標準化といった強みを活かして、タイやインドネシアなどの潜在市場への参入を図っている
日系企業の参入
業界の課題
・ベトナム清掃業者が直面する最大の課題は労働者の確保及び顧客の獲得である
・激しい価格競争の中、長期的な事業継続のためには資金力の強化をしながら、サービスの質向上による他社との差別化が不可欠となる。外資ブランドの資金力やレピュテーションに期待し、市場でも外資企業とローカル業者の提携事例が出始めている
・現段階では、この業界はまだ分散されている。しかし、今後、大企業が規模の経済を有効に活用できるようになると、中小企業の撤退は避けられなくなるかもしれない。中小規模の企業が競争するには独自のセールスポイントが必要である
・ベトナムのビルクリーニング業界は依然として労働集約的である。将来的には、テクノロジーの発展により資本集約型になる可能性があり、労働力の確保はもはや問題ではなくなる
法的障壁
・清掃業界における外資企業は100%の外資で設立可能
・下記の事業内容での登録となる
事業内容 | 詳細 | VISC | CPC |
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建物の一般的な清掃 | 次のあらゆる種類の建物(専用ではない建物)に対して一般的な清掃を含む | 8121 | 9043 |
工業・特殊建物の清掃 | 次の事業内容を含む ◆対象外 | 8129 | 9043 |
ケーススタディ
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執筆:YAMADA Consulting & Spire Vietnam Co., Ltd.
(山田コンサルティンググループ株式会社 ベトナム現地法人)
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