お問い合わせ

海外ビジネス情報

2024/03/08

テーマ: 03.海外ビジネス

「世界の台所」を目指すタイの調味料市場の最新動向

概要

調味料は、味、風味、香りを引き出して料理の味を調えるために使用される、ほぼすべての料理に不可欠のものである。タイの調味料は、世界的にも人気のあるタイ料理に特有の味を引き出す上で重要な役割を果たしている。
タイの調味料市場は、主に液体調味料と調理用調味料に大別される。ナトリウム摂取量が多いタイの消費者にとってなくてはならない調味料としては、魚醤、醤油、スープ用固形・粉末状調味料、MSG(グルタミン酸ナトリウム)などがあげられる。近年の都市化や所得水準上昇の影響を受けて市場は拡大しており、旺盛な内需と輸出が伸びており、政府も強力に支援していることなどから、今後も安定して成長するものと見込まれる。加えて、調味料の輸入も拡大している。一方、課題としては、消費者行動の変化や生産コストの上昇などがあげられる。
企業が市場シェアを維持・獲得し、将来にわたって持続的に成長するためには、健康志向の製品や新風味の粉末状調味料など新たな調味料製品の開発や、それに伴う成長戦略の策定・実施が必要である。

目次

業界の概要

    注: *世界保健機関(WHO)の最大推奨値2,000mg/日を上回る。
    ** 生産能力は、タイ産業経済庁が業界の主要企業を対象に実施した工業統計に基づくもので、カバー率は約65%。この数字はタイの調味料生産能力全体を表すものではない
    ***TSIC10771,10772,10773,10774,10293に登録された調味料製造会社
    出所:国立食品研究所(NFI)、工業省工業経済事務局、商務省事業開発局、クルンタイ・コンパス

タイの調味料業界:生産

・タイの調味料生産は主に国内消費向けであり、輸出の割合は約15%である。
・年産量では、魚醤が約1億800万リットルと最も多く、対して醤油は約9,200万リットルである。

    注: *醤油には醤油製品および豆板醤が含まれる
    出所:工業省工業経済事務局

・タイで生産される調味料は、85% が国内消費用で、残る15%が輸出されている。醤油類*はほとんどが国内で消費され、輸出はわずか1%に過ぎないが、MSG(グルタミン酸ナトリウム)と魚醤は輸出の割合が高い。
・魚醤は、本場タイの味を出すために欠かせない調味料であり、東・東南アジアの国々で人気がある。また、タイに大手メーカーの生産拠点があるMSGは輸出の割合が最も高い。
・テーブル調味料には、チリソース、ケチャップ、マヨネーズ、サラダドレッシング、その他テーブル調味料などが含まれる。

・2018年から2022年にかけて、MSG、魚醤、醤油類*など主要調味料の生産量は微増したが、テーブル調味料は年平均成長率 -2.6%とマイナス成長となった。
・タイ料理の主要調味料である魚醤および醤油の年間平均生産量は、それぞれ1億800万リットルおよび9,200万リットルである。
・新型コロナウイルス感染拡大の影響で外食産業の需要が大きく落ち込んだため、MSG生産量は2020年に減少したが、2021年からは増加に転じ、2022年には約25万3,000トンに達した。

タイの調味料業界:輸出

・タイの調味料輸出額は、2018年から2022年にかけて増加傾向で推移し、同期間の年平均成長率は7.6%だった。
・主要輸出先はASEAN、米国、日本で、これらが総輸出額の半分を占める。

タイの調味料輸出

    注: * 液体調味料にはチリソース、醤油、ケチャップが含まれる
    出所:商務省次官事務局

・タイの調味料輸出は2018年から2022年にかけて増加傾向で推移し、年平均成長率は7.6%だった。2022年の輸出額は約318億バーツで、粉末状調味料、液体調味料*、魚醤が、輸出額全体の54%を占めた。
・タイ産調味料の成長要因としては以下があげられる。
  1. タイの観光推進施策が奏功して国外でタイ料理の人気や調味料の需要が高まっていること
  2. 国外でタイ料理レストラン数が増加していること
  3. 輸出額とりわけ自由貿易協定(FTA)締結地域向けが増加 していること
・主な輸出先はASEAN、米国、日本で、ASEANへの輸出が圧倒的に多い。理由は、ASEAN各国とタイ料理には味や風味、使用する食材が似通っているということがある。またASEAN FTAの恩恵もを受けている。
・主要輸出品目は粉末状調味料や魚醬だが、チリソース、トマトソース、醤油が急成長している。

タイの調味料市場:市場規模と動向

・2022年のタイ調味料市場規模は534億8,600万バーツで、2018年からの年平均成長率は5.1%である。液体調味料は主要カテゴリーの中で最も成長が速く、2018年から2022年までの年平均成長率は6.6%である。
・調味料の主な流通チャネルはハイパーマーケットで、全流通チャネルの39%を占めている。

    出所:ユーロモニターインターナショナルの2022年11月付レポート「Sauces, Dips and Condiments in Thailand」、国立食品研究所(NFI)

・タイの調味料市場では液体調味料の割合が最も高く全体の56%、これに次ぐ調理用調味料が39%を占め、この2つのカテゴリーだけで全体の95%を占めている。市場は、旺盛な内需、都市化、可処分所得の増加、製品種類の増加などを背景に、年率5.1%で成長している。
・調味料の価格は2020年以降、継続的に上昇しており、2022年の調味料価格指数の伸びは9.1%に跳ね上がったが、主な要因は生産コストと輸送コストの上昇である。また、高級調味料などの新商品開発によるコスト上昇や、輸入調味料が高値であることも価格の押し上げ要因になっている。
・主な流通チャネルは、Big C、Lotus‘s、Makro などのハイパーマーケットと、地域の小規模食料品店である。その他のチャネルとしては、地域の小売店、食料品以外の小売店、小売電子商取引などがあり、電子商取引は継続的に成長している。

タイの調味料市場:主要製品

・タイにおける調味料は、1)液体調味料、2)調理用調味料、3)その他調味料(ピクルスなどを含む)の3つに大別される。
・タイ料理のレシピに欠かせない材料として、2022年には液体調味料が最大の売上比率を占め、その中では魚醤、醤油・豆板醤が大きな割合を占めた。調理用調味料では、主に固形・粉末状調味料、MSG(グルタミン酸ナトリウム)の割合が高い。

    出所: ユーロモニターインターナショナルの2022年11月付レポート「Sauces, Dips and Condiments in Thailand」

主要カテゴリー

・液体調味料はタイの調味料市場にとって最も重要なカテゴリーである。タイ本場の味を提供するのに欠かせない魚醤、醤油、オイスターソースなどはほとんどのタイ料理に使用される。
・調理用調味料の主要製品は、固形・粉末状調味料、MSGである。これらの調味料製品は通常、スープ作りや多くの人気タイ料理に使用される。また、タイではうまみ調味料として粉末状やMSGの調味料が使用される。
・その他調味料としては、例えばニンニクのピクルスがあり、これは多くのタイ料理に使われる人気のある製品である。

主要製品

・タイ人の好みである辛味、塩味、酸味、甘味、こってり味の製品の人気が高い。
・売上高トップ5の製品は以下の通りである。
  1. 固形・粉末状調味料
  2. 魚醤
  3. 醤油・豆板醤
  4. MSG
  5. オイスターソース

タイの調味料市場:最近の動向

・都市化や所得水準の上昇が、消費者の嗜好の変化や購買力の向上をもたらして、市場の成長に影響を与えている。また、都会的なライフスタイルも、利便性の高いクッキングパウダーなどの粉末状調味料の需要増につながっている。
・サラダドレッシングが最も高い伸びを示した一方、MSG(グルタミン酸ナトリウム)は健康志向の影響を受けてマイナス成長となった。また、最近は輸入調味料も増えている。

    出所: ユーロモニターインターナショナルの2022年11月付レポート「Sauces, Dips and Condiments in Thailand」

最近の動向

都市化

・都市化が進むにつれて、キッチンスペースが狭くなり、調理時間が短縮される傾向にあるなど、人々のライフスタイルが変化している。
・これにより、調理時間が短縮できて利便性の高いインスタント調味料や簡単に調理できる食材の需要が高まっている。
・また、都市化に伴う可処分所得の増加と消費者の購買力の向上も調味料市場の成長に寄与している。

ポイント:今後はまず調理済み製品、次いでプレミアム製品の需要が高まる見込み

健康志向のトレンド

・健康志向の高まりを受けてメーカーは、減塩、MSG不使用、保存料不使用、低糖質など、より健康的な製品の開発による需要の取り込みを図る方向に向かっている。

ポイント: 調味料においても健康志向がトレンド

輸入調味料

・最近、特に韓国、日本、中国などのアジア食材・調味料が多くの企業によって輸入されるようになっており、そのほとんどが高価格で取引されている。

ポイント:グローバルで通用する味の製品を開発し、より安価での提供が可能な調味料輸入業者やタイの調味料メーカーにチャンスがある

タイの調味料市場:輸入拡大

・新型コロナウイルス発生以降、自炊人口が増えたことで新たな料理に挑戦する人も増え、結果として、輸入調味料の需要が高まっている。
・タイでは日本、中国、シンガポールなどアジアの料理に人気があり、これらの国々が調味料の主な輸入先となっている。

タイの調味料輸入

・最近、輸入調味料が小売店の店頭に多く並ぶようになったのは自炊人口が増えているためで、特に新型コロナウイルス以降は、新しい味に挑戦する人が増えるなど、消費者の行動が変化してきている。
・さらに世界各地で新進のオンライン・シェフやインフルエンサーが登場し、多彩なメニューを家庭で簡単に調理する方法を紹介している。
・タイの調味料輸入は2022年に38億200万バーツとなった。2018年からの年平均成長率は8.0%である。
・タイでは日本食や中華料理を好む人が多く、主な調味料の輸入先は日本と中国である。さらに、日本食や中華料理のレストランが増えていることも、この人気を後押ししている。
・主要製品:調味料輸入総額の内訳は、その他調味料が83%と最も多く、醤油(14%)、トマトソース(2%)がそれに続く。その他調味料の例としては粉末状調味料、魚醤、オイスターソースなどがある。
・その他調味料は輸入品の中で最も成長が速く、2018年から2022年までの年平均成長率は9.0%である。

    注: *その他調味料(HS.:210390)とは、醤油、トマトソース以外の調味料、例えば粉末状調味料、魚醤、オイスターソース、チリソース、カレーペーストなどを指す
    出所: 商務省次官事務局

タイの調味料市場:見通しおよび成長要因

・食品・観光セクターが好調であることによる内需の増加が予想されることから、タイの調味料市場は2023年から2027年まで年率4.5%で成長することが予測されている。
・さらに、ASEAN市場における需要とタイ料理人気の高まりにより、輸出が市場の成長要因になると考えられる。

・2027年には、タイ調味料の市場規模は666億バーツとなり、そのうち液体調味料が57%、調理用調味料が38%を占めることが予測されている。

主な成長要因

旺盛な国内需要

・旺盛な国内需要:タイの食品産業は旺盛な国内需要により継続的に成長しており、調味料製品はその恩恵を受ける。
・観光業の回復:調味料業界は観光業回復の恩恵も受けている。ストリートフード、ローカルフード、ミシュランなど手頃な価格や味の良さといった魅力を武器にした美食観光推進の取り組みが奏功し、これが調味料の需要喚起につながっている。
・レストラン数の増加:タイの外食産業が成長するにつれて調味料製品への需要が高まり、それが市場の成長につながる。

輸出の拡大

・ASEAN市場:タイがASEANにおける調味料の第1の輸出先となっている理由は、ASEAN地域では似たような味の料理が多く、似たような調理用調味料を使用するためで、これが需要増につながっている。
・タイ料理の人気:タイ料理は世界的に人気がある。また、国外にタイ料理レストランが増え、多くのスーパーマーケットでタイ調味料が販売されるようになったことも、長期的にタイ調味料の輸出を後押ししている。

    出所: ユーロモニターインターナショナルの2022年11月付レポート「Sauces, Dips and Condiments in Thailand」、 GSBリサーチ、 商務省次官事務局

タイの調味料市場:主要プレーヤー

・2022年の調味料市場の最大手は、Rosdee®とAJI-NO-MOTO®という2つの有名ブランドを有するAjinomoto Sales (Thailand) Co., Ltd.(シェア23%)で、Unilever、Pairoj、Yan Wal Yunがこれに続く。
・RosdeeとKnorrはスープ用固形調味料・粉末状調味料のブランドとしてよく知られている。AJI-NO-MOTO®はMSGで1位。Tiparosは魚醤の人気ブランドである。また、Healthy Boy はタイで最も有名な液体調味料のブランドである。

市場シェア、総収入、製品カテゴリー別の上位主要メーカー

    注: * 市場シェアは、2022年の液体調味料、ディップ、調味料のナショナルブランドのシェア
    ** 総売上高は、2022年(Ajinomotoは2023年3月期)の総売上高であり、調味料以外の事業の売上高も含まれる
    出所: ユーロモニターインターナショナルの2022年11月付レポート「Sauces, Dips and Condiments in Thailand」、 BOL、各社ウェブサイト

タイの調味料市場:主要プレーヤーの動向

・タイの調味料市場をリードする味の素は、減塩製品の投入により健康志向製品需要を取り込み、主力であるMSG(グルタミン酸ナトリウム)製品のAJI-NO-MOTO®ブランドのマーケティング戦略を再構築した。
・Unileverは、外食事業を支援する業務用製品ラインを立ち上げることで、外食市場シェアの獲得を目指している。
・Yan Wal Yun は、革新的な新製品の投入や健康志向製品の開発に力を入れている。

    出所:各社ウェブサイト、各種報道

タイの調味料業界のサプライチェーン

・調味料メーカーは主に調味料の加工(液体調味料・畜肉エキス・クッキングパウダーなどの製造)およびパッケージングなどを手掛ける。
・最終製品のエンドユーザーは主に国内の消費者、食品製造メーカー、外食事業者である。

    出所:工業省工業経済事務局

政府支援

今後の開発動向

課題とビジネスチャンス

レポートの続きをご覧になりたい方は、下記よりダウンロードください。

執筆:YAMADA Consulting & Spire (Thailand) Co., Ltd.
(山田コンサルティンググループ株式会社 タイ現地法人)

本レポートに関するご感想、ご質問は下記問合せフォーム、またはメールにてお寄せ下さい。
https://www.yamada-cg.co.jp/contact/

メールの方はこちら
[email protected]

【メールマガジンご登録のご案内】
a419e6a0960f0a07cb640db2b55c90d6

【買収ニーズご登録のご案内】
a419e6a0960f0a07cb640db2b55c90d6