お問い合わせ

海外ビジネス情報

更新日:2024/08/21 公開日:2024/08/07

テーマ: 03.海外ビジネス

拡大が見込まれる中国の介護食市場

目次

介護食とは

介護食の定義

・介護食(中国語:易食食品)とは、加齢や疾病が原因で、噛む力や飲み込む力が弱まった高齢者のために、形態を変化させた食事のことである。介護食を利用することで、高齢者のQOL(生活の質)向上や栄養・健康問題の改善、調理の手間を省くことが可能となる。
・本レポートでは、高齢者食品(中国語:老年食品)の中の介護食に焦点を当て、中国市場の動向を考察していく。

日本における介護食の特徴

・日本の介護食は、高齢者のQOL向上を目的に、日々の食事を楽しく安心安全に、できる限り最期まで口から食べてもらうことを重視している。そのため、噛みやすさや飲み込みやすさ、栄養バランスはもちろんのこと、美味しさや見た目の美しさなどにも配慮した介護食が数多く開発されている。また、農林水産省は、介護食の統一規格である「スマイルケア食」を制定し、介護食の認知度向上や高齢者の個々の状態に見合った介護食の利用を推進している。

介護食の潜在市場拡大背景

介護食の潜在市場拡大背景の概略

・中国では、急速な高齢化により、咀嚼・嚥下障害を有する高齢者が増加している。それに伴って、高齢者の食事を巡り多くの課題が出てきており、介護食の潜在市場が拡大している。
・中国政府は介護食の普及拡大に向けて、促進政策の公布や規格整備を進めており、日本で長年培った介護食のノウハウを有する日系企業にとっても、大きなビジネスチャンスとなっている。

咀嚼・嚥下障害を有する高齢者が増加

・中国における咀嚼・嚥下障害を有する高齢者は、2023年に約4,300万人、2035年には約6,000万人になると推計される。加えて、咀嚼・嚥下障害の要因となる脳血管疾患などの患者数も増加しており、この先も咀嚼・嚥下障害者の増加が見込まれている。

咀嚼・嚥下障害を有する高齢者の食事を巡り、主に5つの課題が露呈している

咀嚼・嚥下障害を有する高齢者の食事において、主に以下5つの課題が出てきており、介護食の利用が進むことで、これら課題の改善に大きく寄与することが期待されている。

中国政府は介護食を促進、規格の整備が進む

・中国政府は、介護食の認知度向上や普及拡大に向けて、促進政策の公布や規格整備を進めており、中国栄養学会や中国老年学・老年医学学会からも団体標準が公布されている。

次世代シルバーが消費の担い手として注目されている

・1965~79年生まれの次世代シルバー(45~59歳)は、生活・経済面で余裕があり、高い付加価値を求める傾向にある。
・2035年における高齢者の年間所得予測を見ると、2023年対比、1~2万米ドル(0.6~1.2万元/月)が53百万人、2~4万米ドル(1.2~2.4万元/月)が68百万人、4万米ドル以上(2.4万元以上/月)が26百万人増加すると見込まれている。

現状の介護食市場は小さいが、今後のポテンシャルは大きい

・中国の高齢者食品市場規模は、2022年に1,914億元に達し、2030年には5,800億元になると予測されている。現状の高齢者食品に占める介護食のシェアは、ごくわずかであると推測されるが、咀嚼・嚥下障害を有する高齢者の増加や消費の高度化、中国政府による規格の整備等を背景に、今後の市場拡大が見込まれている。

介護食市場の現状

中国では介護食の利用が限定的、存在自体が認識されていない

・中国では、そもそも介護食の存在自体が認識されておらず、在宅や社区、施設、医療機関のいずれにおいても、介護食の利用が極めて稀なケースとなっている。

在宅向け介護食の供給が不足している

・在宅向け介護食はほとんど流通しておらず、介護食の供給が不足している。代替的に米粉や蓮根でん粉等が使用されているが、咀嚼・嚥下障害用ではないため誤嚥リスクがあること、高齢者の栄養面を十分に配慮していないこと、商品ラインナップが少ないことから、高齢者の多様なニーズを満たすものとはなっていない。

ごく一部の施設や医療機関では介護食の提供を始めている

・近年、一部の高級介護施設や三級総合病院※1において、介護食を提供する先が出てきている。
・社区食堂では介護食は提供されていないが、一部、糖尿病の患者に適した特別食など、高齢者の健康・安心・安全に配慮した食事が中国政府主導のもと提供されている。

潜在市場の開拓に向けた各社の取り組み事例

介護食のプレイヤーはまだ少ない

事例1 ニュートリー株式会社

事例2 マルハニチロ株式会社

事例3 柏絲(香港)健康科技有限公司

事例4 上海市健康養老発展(集団)有限公司

中国の介護食市場参入におけるKSF

中国の介護食市場参入におけるKSF(仮説)

レポートの続きをご覧になりたい方は、下記よりダウンロードください。

執筆:上海現地法人 山田商務諮詢(上海)有限公司
(山田コンサルティンググループ株式会社 中国現地法人)

本レポートに関するご感想、ご質問は下記問合せフォーム、またはメールにてお寄せ下さい。
https://www.yamada-cg.co.jp/contact/

メールの方はこちら
[email protected]

【メールマガジンご登録のご案内】
a419e6a0960f0a07cb640db2b55c90d6

【買収ニーズご登録のご案内】
a419e6a0960f0a07cb640db2b55c90d6