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当社事例

2023/08/21

テーマ: 02.M&A

オフセット印刷会社における法的整理を用いた再生型M&A

X社 A社 B社
事業内容:印刷業 事業内容:印刷業 事業内容:印刷業
エリア:中部地方 エリア:中部地方 エリア:中部地方
売上規模:10億円以下 売上規模:10億円以下 売上規模:10億円以下

当社のかかわり方

案件の概要

X社は中部地方に本社及び工場、関東地方に営業支店を置くオフセット印刷会社。
商業印刷を中心に多種多様な領域の印刷物を製作、幅広いニーズに対応し最盛期には数十億円以上の売上高を誇り、業歴の長さから地元では認知度が高い会社であった。一方で下記3点の事由により債務超過及び資金繰りが悪化。

  • ・借入金を基にした過大な設備投資
  • ・デジタル化加速による紙媒体の需要減退
  • ・コロナ禍による受注減少
  • 中小企業活性化協議会の主導で、財務・事業デューディリジェンスを実施。
    窮境要因が経営管理体制の欠落を始めとした組織面、市場縮小を始めとする外部環境の変化であることが判明。
    自力での窮境要因除去は難しく、外部からの支援を受けなければ抜本的な再生が難しいことから、スポンサー支援型のM&Aを行うことを決定した。
    以上がX社のM&Aを決断した理由である。

    M&A決断後、スポンサー探索のため同業を中心に数十社へ一次打診を実施したが、全て見送りとなった。
    要因として本社不動産(本社及び工場用地)の地価が上昇しており譲渡金額が高価になっている点、外部環境の悪化は同業も同じ状況であり製造設備に対するニーズがなかった点が判明した。
    そのため、二次打診として本社不動産、製造機能を除いた商圏・従業員のみを本社事業・支店事業に分けて数十社(不動産は除く)にスポンサーの探索を実施。

    不動産、本社事業、支店事業にそれぞれスポンサーが現れるが、譲渡対価に対し、優先破産債権が大きく、また資金繰りの状況から早期での決着が必要であるため法的整理前提でのM&Aを検討し、意思決定。クロージングに至った。なお一次打診・二次打診で合計約100社への打診を行った上での結果であった。

    背景・売り手オーナー様の課題

    • ● 外部環境の変化等の各窮境要因に対し、自力での改善ができない
    • ● 債務超過の状況であり、資金ショートの可能性濃厚

    M&Aの進め方&成約のポイント

    対象先の選定方針

    • ● 取引先との取引継続
  • ● 可能な限りの従業員の承継
  • A社を選定した理由

    • ● 上記2点の承諾

    成約のポイント

    • ● X社にはA社及びB社にとって自社工場で製造できる取引が多数あり、自社工場の稼働率向上が見込める点、経験・ノウハウを保有する従業員を多数獲得できる点、新規印刷分野への参入が可能となる点など、買手側のメリットが非常に、明確であった。
    • ● 再生型M&Aに多数の実績を有する弊社を活用することで、スピーディーに決着させることができた。

    成果・結果

    事業(雇用)の継続

    • ● スポンサーの支払う対価で各事業をスポンサーに切り出し、債務超過である旧会社を法的に整理できた。適切なプロセスを踏んで取引を進めたことで、法的整理にあたっても大きな混乱を生じさせることなく、新体制での営業に移行することができた。

    A社・B社の成長

    • ● 自社工場の稼働率向上、経験・ノウハウを保有する従業員の獲得、新規印刷分野への参入を果たした。