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当社事例

2023/08/28

テーマ: 02.M&A

事業レベルまで企業を分解したことによる「M&A最適化」の事例

X社 A社
事業内容:化粧品製造・卸売業 事業内容:食品製造・卸売業
エリア:関東地方 エリア:関東地方
売上規模:約15億円 売上規模:約10億円

当社のかかわり方

案件の概要

化粧品の製造及び卸売を営む法人(以下、「X社」)の事業承継案件。
経営者が60歳を迎えるにあたり、会社の将来・従業員の雇用を守るためにM&Aでの株式譲渡を意思決定。
X社は製造部門及び卸売部門と2部門を営んでいた。
元々、卸売業のみを営んでいたが、自社オリジナル商品の製造をするべく、工場を新設し、製造部門を立ち上げた経緯であった。
しかし、弊社が相談を受けたタイミングは新型コロナウイルス感染症の感染拡大がようやく落ち着いたタイミングであり、製造部門はコロナ禍の行動制限のあおりを受け、ほぼ休業状態であった。

全社の損益(決算書数値)としては、売上高約20億円、利益約0円であった。
この数値だけを持って候補先への打診を行ってしまうと、「利益が出ない会社=投資回収が図れないM&A」というイメージとなってしまい、M&Aが上手くいかないリスク(譲渡対価の目線が下がるリスク)があったため、まずは、X社の事業ごとの分析を行うこととした。
その結果、卸売事業では6千万円の利益を生み出しており、製造部門では逆に6千万円の赤字を出していることが分かった。すなわち、卸売事業は年間6千万円のキャッシュフローを生む優良事業であり、製造部門の再稼働を図ることが出来れば、年間1億程度のキャッシュフローを生み出すことが出来る企業であるということであった。

この結果から「製造部門の改善が出来る企業と組むことが会社の将来性及び譲渡対価の最大化の観点で最適」という譲渡シナリオを設定することが出来た。上記を踏まえ打診活動を行うことで、決算書上は「利益0」の会社であるが、「卸売事業の6千万円の利益水準+α」での価格交渉が可能となった。

最終的に化粧品事業への進出を検討していた、異業種のA社とマッチングをし、A社の既存事業とX社の製造部門とでシナジーを描くことが出来たため、企業価値を最大化させることが出来た。

背景・売り手オーナー様の課題

  • ● 親族や従業員に負債を背負ってまで会社を継げる人材がいなかったこと
  • ● 「製造部門」をどのように承継をするか(撤退も視野)
  • ● 安定したキャッシュフローを生み出している「卸売部門」の評価をどのようにして譲渡対価に反映させるか

M&Aの進め方&成約のポイント

買手候補選定の基本方針

X社の価値の最大化のため、「製造部門」を再稼働することが出来ることを条件とした

A社を選定した理由

A社は新規事業として化粧品事業への進出を検討しており化粧品に対する外部環境が悪い中も投資意欲を持っていたこと。
A社は食品工場を運営しており、食品の衛生管理の考え方と化粧品製造の薬事法の考え方が近く譲渡後にもスムーズな工場運営が可能であったこと。

成約のポイント

  • ● コンサル会社として、事業ごとの損益を分析したことで、決算書上ではぼやけてしまっていたX社の良さを数値で示せたこと
  • ● X社の“弱み”を明確にしたことで、組むべき相手のイメージを明確にできたこと

成果・結果

譲渡対価の最大化

  • ● 決算書上の数値だけでバリュエーションをすると出てこない価格目線を導き出すことが出来た。

スムーズな新規事業進出

  • ● A社にとっては、X社の卸売部門が安定収益を生み出していることから、リスクを抑え化粧品製造事業へ進出することができた