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更新日:2025/05/29

テーマ: 03.海外ビジネス

ベトナム電力計画と再生可能エネルギーの未来【2025年1月】

目次

ベトナム再エネ発電市場

1.1 ベトナムの電力・発電事情

ベトナムは、ASEAN諸国の中で、太陽光、風力、水力の発電量が最も多い国となっている。
各再生エネルギーの資源確保に適した自然環境を有し、発電所建設・運営に必要なサプライチェーンの構築を進めている。

ベトナムの再エネ発電における競争力

自然環境

サプライチェーン

太陽光

中部・南部にて年間を通し4-5 kWh/㎡/日の高い日射量が見込める。
沿岸部にてメガソーラー設置に十分な面積を提供することが可能。

First Solar(米)、Irex Solar(越)、Zinco Solar(中)等、大手パネルメーカーが生産拠点を有し、パネルを安価・安定的に調達可能

風力

長い海岸線の沿岸・沖合にて、地上100m地点で6-9 m/秒の風速があり、洋上風力の潜在能力は160 GWに達する(陸上風力は27GW)

タービン、ナセル等の製造機能は無いが、石油・ガス産業向けの構造物製造能力をタワー及び洋上風力建設の基礎に活用可能

水力

2,360の大小の河川を有し、北部・中央高地を中心に発電適地が多い。熱帯モンスーン地域で年間1,800-2,000mmの安定した降雨量。

この分野では長く発電実績があり、貯水池管理と多目的ダム利用におけるノウハウが蓄積されている

バイオマス

東南アジアの中では最も森林資源に恵まれ、農業からの副産物・廃棄物を含め、年間1億2千万tのバイオマス資源の潜在能力を有する。

森林管理・ペレット生産等の体制は強み。2023年時点でバイオマス・廃棄物発電所件数は20件未満でEPC等の実績は限定的。

1.2. ベトナム電力市場 -需要

北部および南部地域の産業関連セクターのニーズ増加により、エネルギー需要は2022年の259TWhから2030年には504TWh、2050年には1972TWhと、2022年からそれぞれ2倍、7.6倍に増加すると予測される。
地域ごと、業界ごとの需要割合については、今後も大きな変化は見込まれない。

1.3. 電力計画案VIII

電力計画案Ⅷでは、政府は2050年までにネットゼロ排出を達成することを目標とし、そのために化石燃料に依存する経済を再生可能エネルギーに移行することを目指している。再生可能エネルギーのうち、太陽光発電と風力発電が総電力構成の主要な割合を占める。
さらに、政府は農村部や地域諸国との電力接続能力を向上させ、再生可能エネルギーに関する産業サービスセンターを構築することを目標としている。

その他目標

① 地域諸国との電力網
メコン川流域諸国およびASEAN諸国との連携:500kVおよび220kVの電圧レベルで連携
ラオスとの連携:ラオスの発電所から電力を輸入するために、500kVおよび220 kVの送電線でラオスと電力網を連携

② 農村部の電力インフラの整備
農村、山岳地帯、離島地域への再生可能エネルギー供給
2025年までに農村の全世帯に電力を供給することを目指す

③ 再生可能エネルギーの産業およびサービスエコシステムの構築
2030年までに、北部、中南部、南部に2つの地域間再生可能エネルギー産業およびサービスセンターを設立する予定:
・再生可能エネルギー発電所(主に洋上風力発電)2,000-4,000 MWの発電能力
・再生可能エネルギー機器の製造工場
・機器および輸送手段
・補助サービスおよびグリーン工業団地

1.4. 電力法の改正について

2024年10月21日に、工商省相が国会で発表した電力改正版の方針及び想定されている構成を発表した。現行の電力法に比べ、改正版では今後開発需要が高まる再エネ及び新エネの内容が新たに補足される予定。

改正電力法草案においては、発電事業及びその他の電力事業の実施に必要なプロセスの明確化、効率化に関する内容を盛り込んでいるものの、依然として曖昧な部分も残っている(一部は詳細ガイドラインに託される可能性)
事業許可に関する許可証の発行・延長に関して、より柔軟かつ簡素な取り扱いとなる点は、業界でも評価する声がある。

ベトナム風力発電市場

2.1. 風力発電市場の成長

ベトナムの陸上風力発電容量と発電量は、2018年から2022年にかけて大幅に増加した。
一方、洋上風力発電の可能性はあるものの、現状、すべてがニアショアプロジェクト(潮汐地域や海岸から数キロメートル離れた非常に浅い水域に位置するオフショアプロジェクト)である。明確な枠組みの欠如を含む規制上の障壁が、ベトナムでの洋上風力発電所の展開を妨げている理由となっている。

2.2. 現状のプロジェクト

風力発電プロジェクトは主に南部の各省に位置し、その中でクアンチ、ニントゥアン、ザライ、バクリエウ、ダクラク、ビントゥアンの6省が風力発電容量の70%以上を占め、風力発電所開発の主要地域である。
一方で、ビンディン、チャビン、カマウ等平均風速が6 m/sを超える潜在能力を十分に活かしていない省もある。

2.3a. 「オフショア」今後のプロジェクト計画

PDP8の承認における洋上風力発電開発の方針では地域ごとの洋上風発電開発計画が公表されていた。
18省が合計151,801MW で96件のプロジェクトを提案している

2.3b. 「オンショア」今後のプロジェクト計画

PDP8の承認における陸上風力発電開発の方針では、地域ごとの陸上発電開発計画が公表されていた。
24省が合計10,101.8MW で156件のプロジェクトを提案している。

ベトナム太陽光力発電市場

3.1. 太陽光発電市場の成長

ベトナムは2017年に太陽光発電に有利な固定価格買取制度を導入した。これらの政策は、特に太陽放射照度の高い南部の省において、太陽光発電プロジェクトへの大規模投資を奨励した。
再生可能エネルギー目標を達成するため、ベトナムは2018年から2020年にかけて太陽光発電所と屋上太陽光発電プロジェクトの建設を加速させた。

3.2. 現状のプロジェクト

太陽光プロジェクトはベトナムの63省のうち、23省に分布しているものの、太陽光発電容量の70%以上が南部の7省に集中しており、太陽光発電所開発の主要地域である。
ニントゥアン、ビンフオック、ダクラクは地理的な利点を生かし、23件の大規模太陽光発電プロジェクトのうち、15件を誘致することに成功している。

3.3. 今後のプロジェクト計画

PDP8の承認における太陽光発電開発の方針では地域ごとの計画が公表されていた。
17省が合計4,136.25MW で27件のプロジェクトを提案している。

以降のページでは、下記目次の内容を掲載しております。
ご覧になりたい方は本稿下段にあるフォームからダウンロードください。

 

ベトナムバイオマス発電市場

4.1. バイオマス発電市場の成長

4.2. 現状のプロジェクト

4.3. 今後のプロジェクト計画

ベトナム水力発電市場

5.1. 水力発電市場の成長

5.2. 現状のプロジェクト

5.3. 今後のプロジェクト計画

ベトナム再エネ発電市場の課題

6.1. 地域間の電力需給不均衡

6.2. 送電インフラの不足

6.3. 電力買取制度・価格

レポートの続きをご覧になりたい方は、下記よりダウンロードください。

執筆:YAMADA Consulting & Spire Vietnam Co., Ltd.
(山田コンサルティンググループ株式会社 ベトナム現地法人)

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