海外ビジネス情報
更新日:2025/05/19
テーマ: 03.海外ビジネス
インドネシア食品市場におけるハラール認証の重要性とビジネスチャンス
目次
1. 食品業界にとってのビジネスチャンス
インドネシアの市場概要
・急速に都市化が進むインドネシアでは、人口の58.6%が都市部に住んでいる。これにより、中産階級の人口が増加し、2030年までに1億3,500万人に達すると予測されている。また一人当たりのGDPは4,919米ドル(約74万円)である。
・世界最大の島嶼国家であり、世界第4位の人口を誇る。 GDP成長率は概ね5%水準で継続的な成長を遂げている。

-
出所: BPS-Statictics Indonesia https://www.bps.go.id/, Statista, CNN, VIVA New & Insights https://www.viva.co.id/english/1702678-pakistan-becomes-the-most-populous-muslim-country
・GDPを業種別にみると製造業GDPの35%を食品・飲料部門が占める。
・食品部門は加工業の中でも大・中規模の企業が最も多いセクターで、2023年の企業数は 7,552 社となっている。

・食品・飲料部門では、外国投資が国内投資の成長率を上回っている。2019年から2023年にかけて、外国投資の年平均成長率(CAGR)は15%、国内投資は11%で成長した。
・2020年-2021年のコロナ禍においても食品および飲料部門への外国投資は各々25%および47%の成長を遂げた。

・GDPの産業別構成比を見ると、製造業のうち食品・飲料部門の割合が最も多い。
・工業省のデータによると、コロナ禍においてもインドネシアの食品・飲料部門は稼働率89%を維持していた。
-
出所: BPS-Statictics Indonesia https://www.bps.go.id/, Statista
インドネシアの食品・飲料市場規模 ー 市場動向
インドネシアの食品市場規模 ー 品目別売上
食品産業の開発が進む地域
・ジャワ島はインドネシア経済と商業活動の中心であり、2023年のインドネシアの食品消費におけるGRDP(域内総生産)の56%を占め、国内外投資実績は446億3,100万米ドルとなった。


-
出所: https://kumparan.com/, https://metland-cikarang.id/, https://www.antaranews.com/, YAMADA Consulting Spire Indonesia
インドネシアの食品市場規模 – 対日輸入
2. インドネシアでの事業展開における重要な課題
サプライチェーンの課題
食品・飲料市場の課題
3. ハラールの概要
ハラール認証について
・インドネシア市場に参入する食品・飲料企業にとって ハラール認証制度への対応が課題となっている。
ハラールとは?
「ハラール」とは、イスラム法で許可されたものを意味し、アラビア語に由来し、クルアーンと預言者ムハンマドの教えを記録したスンナに基づいている。
イスラム法で摂取が禁じられているもの:
・血液
・死骸
・豚肉
・不適切な方法で屠殺された動物
・アルコール飲料
したがって、上記の物質に汚染された、あるいは触れた食品や飲料をムスリムが口にすることは禁じられている。
ハラール認証とは?

ハラール認証は、インドネシア・ウラマー評議会 (MUI) による製品のハラール判定に基づいてハラール製品保証庁 (BPJPH) が発行する製品のハラールステータスの証明であり、食品や飲料製品が非ハラール物質で汚染されていないことを保証する(2021年政府規則第39号)。
なぜハラール認証が必要なのか?
2014年法律第33号第3条が規定する理由:
・公衆が製品を消費および使用するにあたり、快適さ、安全性、安心感、およびハラール製品の供給の保証を提供するため。
・事業者がハラール製品を生産および販売するための付加価値を高めるため。
誰がハラール認証を必要とするのか?
2021年政府規則第39号が規定する認証取得の対象者:
・製品の生産者(食品、飲料、医薬品、化粧品、化学製品、生物学的製剤、遺伝子組み換え製品および着用・使用・利用を目的とする物品)
・「食品、飲料、医薬品、化粧品に関連するサービス(屠殺、加工、物流[保管、包装、配送]販売、流通)」
いつハラール認証が必要なのか?
2021年政府規則第39号が規定する時期:
食品・飲料事業者は、2024年10月17日以降に、インドネシア国内に輸入、流通、および取引されるすべての製品にハラール認証を取得していなければならない。
-
出所 : 2021年政府規則第39号, 2014年法律第33号第3条, YAMADA & Consulting Spire
・インドネシアにおけるハラール認証プロセスは、製品の原産地(国産品か輸入品か)に応じて異なる。輸入品の場合は輸入元国内のハラール認定機関との連携が不可欠となり、とりわけインドネシアのハラール製品保証庁 (BPJPH) と当該認定機関との間に相互承認協定 (MRA) が締結されていない場合には注意が必要である。

-
2021年政府規則第39号に基づき:
BPJPHと相互承認協定を結んでいる海外の認証団体・機関が発行したハラール認証を取得したハラール製品は、あらためてインドネシアでハラール認証を申請する必要はない。
BPJPHと相互承認協定を結んでいる海外のハラール認証団体・機関が発行したハラール認証を取得した原材料、添加物、補助材料、および屠殺製品のカテゴリーに属する製品は、インドネシアで流通する前に認証済登録をしなければならない。
(1) BPJPHとMRAを結んでいる外国のハラール機関のリストを本文書の付属資料に記載
-
出所 : BPJPH, YAMADA & Consulting Spire
ハラール規制による影響および課題
インドネシア政府のハラール市場に関連する取り組み
インドネシアのハラール食品市場の魅力とビジネスチャンス
4. カテゴリーの選定
製品カテゴリーの選定基準
最も有力な製品カテゴリー
5. インドネシアの調味料・たれ市場の魅力
市場動向と将来の展望
・インドネシアの調味料・たれ市場は、2024年から2028年にかけて年平均成長率(CAGR)7%で成長し、2028年には63億米ドルに達すると予想され、市場の将来性と事業機会の可能性を示している。
・こうした成長の背景として、消費者の嗜好の変化、飲食サービス業界の拡大および調味料・たれ製品の技術革新が成長ドライバーとして挙げられる。

主なポイント
・調味料・たれ製品の2024年売上高は48億米ドルに達する。この市場は、2024年から2029年にかけて年平均成長率(CAGR)7%で成長すると予想される。
・多様化する消費者ニーズに応えるために今後業界プレーヤーによる様々な展開が推進され、その結果として、市場規模は2025年の52億米ドルから2028年の63億米ドルへの拡大が見込まれる。
・インドネシアの調味料・たれ市場は、今後5年間で力強い成長が見込まれており、これは消費者の嗜好の変化、飲食サービス業界の拡大および調味料・たれ製品の技術革新によって促進される。
-
出所 : BPS-Statictics Indonesia https://www.bps.go.id/, YAMADA Consulting Spire Indonesia
市場分析(輸入・輸出)
日本の調味料・たれ製品のインドネシアにおける成長要因と障壁
調味料・たれ製品のサプライチェーン
日本の調味料・たれ製品の主要プレーヤー
海外に親会社がある調味料・たれ製品の主要プレーヤー
インドネシアに親会社がある調味料・たれ製品の主要プレーヤー
ポジショニング
調味料・たれ製品のグローバル企業の成功事例
インドネシアにおける海外ブランド調味料・たれ製品の成功要因
6. インドネシアのアイスクリーム市場の魅力
市場動向と将来の展望
・インドネシアのアイスクリーム市場は、2024年から2028年にかけて年平均成長率 (CAGR) 4%で安定した成長が予測されており、可処分所得の増加、都市化、多様な海外の食への需要に後押しされ、国内飲食サービス業界における成長分野として位置づけられている。

主なポイント
・インドネシアのアイスクリーム市場規模は、2024年に15.4億米ドルに達し、2019年から2023年の間に年平均成長率(CAGR) 4%で拡大した。
・今後は、人口と可処分所得の増加により、2024年から2028年にかけて4%成長すると予測されている。
・急速な都市化、可処分所得の増加、珍しい海外の食文化の登場、飲食サービス業界の大幅な拡大が、市場を牽引する主な要因となっている。
-
出所 : Statista, YAMADA Consulting Spire Indonesia
市場分析(輸入・輸出)
インドネシアにおける日本製アイスクリームの成長要因と障壁
アイスクリーム製品のサプライチェーン
アイスクリーム業界の主要プレーヤー
ポジショニング
グローバルアイスクリーム企業の成功事例
日系アイスクリーム企業の成功事例
主な成功要因
7. インドネシア食品市場におけるグローバル企業の拡大戦略
インドネシア進出のためのロードマップ
・インドネシア進出のためのロードマップは、以下の3つのステージが想定される:輸入を通じたブランドの確立、インドネシアに工場を設立するためのパートナー探索、インドネシア国内に工場を設立。

-
出所: YAMADA Consulting Spire Indonesia
外国企業がハラール認証基準をクリアするためのロ―ドマップ
・外国企業は、認定団体・機関よりハラール認証を取得し、現地パートナーと協力し、専門家に相談し、インドネシア大使館のサポートを受けることで、インドネシアのハラール認証に準拠することができる。

-
(1) ハラール認証団体・機関の一覧を末尾に記載
外国企業の会社設立に関する規制
レポートを全てご覧になりたい方は、下記よりダウンロードください。
執筆:PT Yamada Consulting Spire Indonesia
(山田コンサルティンググループ株式会社 インドネシア現地法人)
本レポートに関するご感想、ご質問は下記問合せフォーム、またはメールにてお寄せ下さい。
https://www.yamada-cg.co.jp/contact/
メールの方はこちら
[email protected]
海外ビジネス情報内の人気・注目記事ランキング
関連記事
03.海外ビジネス