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2021/01/12

テーマ: 03.海外

タイの化粧品・パーソナルケア製品業界の現状とビジネスチャンス

目次

タイの化粧品 ・パーソナルケア製品業界の現状

化粧品・パーソナルケア製品市場

・タイの化粧品・パーソナルケア製品市場は継続的な成長を遂げている。要因としては、タイでは美意識が高く、「美」というものが個性や自信を高める上で重要だと考えられているということがあげられる。実際、タイの人々にとって化粧品やパーソナルケア製品の使用は間違いなく日常生活の一部になっている。

・タイの化粧品・パーソナルケア製品市場の規模は2013年の1,250億バーツから年平均成長率8%で拡大し、2019年には2,180億バーツとなった。
・タイ市場で大手のロレアルは、コロナ禍にあるにも関わらず、今後も市場が安定的に推移するとみて、2020年の市場規模予測を2019年と同水準の約2,180億バーツとした。
・タイの化粧品・パーソナルケア製品は、スキンケア、ヘアケア、メイクアップ、オーラルケア、衛生用品、フレグランスの6つに分類される。
・2019年の化粧品・パーソナルケア製品市場全体のうち、約43%をスキンケア製品が占めている。

化粧品・パーソナルケア製品市場 – スキンケア市場

・スキンケア*市場は、タイの化粧品・パーソナルケア製品市場の最大セグメントであり、2019年の市場規模は約881億バーツと2018年の823億バーツから7%増加している。
・スキンケア製品市場の内訳は、フェイシャルが約81%と最大で、それにボディ、UV製品、リップが続く。

注:*フェイシャルケア、ボディケア、ハンドケア、およびスキンケアのセット・キットの総称

化粧品・パーソナルケア製品市場 – ヘアケア市場

・ヘアケア*市場は、製品開発とプレミアム化の進展に支えられ、2014年から2019年にかけて年平均成長率5.4%で拡大し、2019年の市場規模は前年比6%増の約330億バーツとなった。
・基本的にシャンプー、コンディショナー、トリートメントなどの製品は、継続的に使用されるものであるため、ヘアケア製品市場で最大のシェアを占めている。


注:*シャンプー、コンディショナー、スタイリング剤、育毛・養毛剤、リンスインシャンプー、パーマ剤、リラクサー、カラーリング剤、サロン用ヘアケア製品の総称。アフロカリビアンヘア用のコンディショニングリラクサーなどのエスニックヘアケア製品は、すべてのサブセクター内に含まれる。ヘアエクステンション、ヘアクリップなどのヘアアクセサリーやコーム、ブラシなどは含まない

化粧品・パーソナルケア製品市場 – メイクアップ市場

・メイクアップ*市場は2014年から2019年にかけて年平均成長率8.5%で拡大し、2019年の市場規模は前年比8%増の274億バーツとなった。
・2019年のメイクアップ市場シェアの内訳は、ベースメイク(57%)が最も多く、次いでリップメイク(25%)、アイメイク(17%)、ネイル(1%)となっている。


注:*ベースメイク・アイメイク・リップメイク・ネイル製品、およびカラーメイクアップ製品のセット・キットの総称

化粧品・パーソナルケア製品市場 – オーラルケア・衛生用品市場

・オーラルケア*は、タイの化粧品・パーソナルケア製品市場全体の中で最も高い9%の成長を遂げている。2019年の市場規模は257億バーツである。


注:*練り歯磨き、歯ブラシ、うがい薬・デンタルリンス、義歯ケア、ホームホワイトニング剤、デンタルフロスの総称

・衛生用品**は、タイの化粧品・パーソナルケア製品市場全体の中で4%と最も成長率が低い。2019年の市場規模約220億バーツである。


注:**固形石鹸、バスソルト、ボディウォッシュ・シャワージェル、デリケートゾーン用洗浄剤・拭き取りシート、液体石鹸、ボディパウダーの総称

Colgate-Palmoliveはオーラルケア・衛生用品の両市場でトップシェアを誇る

化粧品・パーソナルケア製品市場 – フレグランス市場

・2019年のフレグランス*市場規模は、前年比で6%増加し、96億バーツに達した。また2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で外出の機会が減った影響で、フレグランス市場の売上は大きく減少することが予想されている。
・フレグランス市場はマス製品とプレミアム製品の2つに分類される。マス製品市場ではBio Consumer、 Osotspa、 Better Wayなどの国内企業が、一方プレミアム製品市場では、Elca、シャネル、ディオールなどのグローバルブランドが主流となっている。


注:*メンズ、レディース、ユニセックスのマス・プレミアムフレグランスおよびフレグランスセット・キットの総称

小売市場の動き

・タイ中央銀行の発表によれば、タイでは化粧品・パーソナルケア製品の小売売上高は増加傾向にあり、2006年以降は毎年前年を上回っている。
・2020年の第1四半期は、国全体の小売売上高指数が前年同期比で低下したが、化粧品・パーソナルケア製品市場は拡大したとみられている。
・コンビニエンスストア、ハイパーマーケット、スーパーマーケットを含むモダンの小売は、2019年のタイの化粧品・パーソナルケア製品市場における最大の販売チャネルであり、34.4%を占めている。
・一方Watsons、Boots、Eve and Boyなど健康・美容製品を扱う専門小売店は、ワンストップで提供される幅広いブランドを楽しむタイの消費者の間で人気が高まっている。
・現在、Eコマースの利用増加と新型コロナウイルスの影響により、オンラインが重要な流通チャネルとなっている。オフラインと比較すると市場規模ではまだ小さいものの、オンラインは急速な成長を見せている。

化粧品・パーソナルケア製品の輸入

・タイでは、特にフランスや米国の有名ブランドが好まれており、さらに日本や韓国の化粧品ブランドの人気も高い。このため、毎年多くのメイクアップ・スキンケア製品が輸入されている。また輸入化粧品には多くのブランドが中国拠点で生産した様々な製品も含まれる。
・2019年のタイの化粧品・パーソナルケア製品の輸入額は約450億バーツである。輸入相手国はフランスがトップで全体の20.5%を占め、約13.4%の日本がこれに続く。


注:チャートの輸入化粧品・パーソナルケア製品には、製品アイテムコード3303、3304、3305、3306、および3307の製品のみが含まれる

タイの化粧品 ・パーソナルケア製品市場の主要プレーヤー

化粧品・パーソナルケア製品市場の主要企業トップ10

企業名主力ブランド

Unilever Thai Holdings Ltd.
L’Oréal Thailand Co., Ltd.
Procter & Gamble Mfg Thailand Ltd.
Colgate-Palmolive Thailand Ltd.
Beiersdorf Thailand Co., Ltd.
Amway (Thailand) Ltd.
Johnson & Johnson (Thailand) Ltd.
Better Way (Thailand) Co,. Ltd.
Elca (Thailand) Co,. Ltd.
Lion Corp (Thailand) Ltd.
Giffarine Skyline Unity Co,. Ltd.
Shiseido (Thailand) Co,. Ltd.

Clear / Dove / Sunsilk / Vaseline
L’Oréal / Lancôme / Maybelline
Olay / SK-II / Pantene
Colgate / Darlie / Protex
Eucerin / Nivea
Artistry / Body Series / Glister
Listerine / Reach
Mistine
Estée Lauder / La Mer / Mac
Kodomo / Salz / Systema
Giffarine
Shiseido / ÍPSA / Nars


出所:Euromonitor International
注:リストの主要企業は、2019年のナショナルブランドオーナー企業の市場シェア(小売価格ベース)のランク順で表示

化粧品・パーソナルケア製品の主な販売チャネル

デパート

以下のデパート内のコスメカウンター
✓CENTRAL
✓THE MALL

スーパーマーケット・コンビニエンスストア

マス製品やFMCG*製品を置くスーパーやコンビニエンスストア
✓スーパー:Big C、Tesco Lotus
✓コンビニエンスストア:セブン‐イレブン

健康・美容製品を扱う小売専門店

✓Watsons ✓Boots ✓Eveandboy
✓ツルハ ✓マツキヨ ✓Sephora

ブランドショップ

✓The Body Shop ✓Innisfree ✓Etude House
✓Beauty Buffet ✓Beauty Community

Eコマース

✓オンラインショッピングサイト
✓専門オンラインストア
✓Brand.com


注:* FMCG=消費者向け製品(日用消費財)

市場における成功要因

・競争の激化を反映し、現在市場には品質・価格ともに幅広い種類の化粧品・パーソナルケア製品が出回り、様々な顧客ニーズを満たしている。この状況を受け、主要プレーヤーは多くのマーケティング戦略を駆使して一層のシェア拡大を目指している。これに加えて主要プレーヤーはコロナ禍の事業環境に適応するため、経営戦略の軌道修正を図っている。 

市場のトレンドとビジネスチャンス

最近のトレンドと課題

トレンド

ニュー・ノーマル

・ウイルス感染から身を守りたいと考える消費者の衛生意識の高まりにより、衛生用品市場は成長傾向にある
・Eコマースプラットフォームへのチャネルの移行が起こっている
・ウイルスの感染拡大を防ごうと、顧客が製品に直接触れないようにするための多くの技術が導入されている

消費者行動

・タイ人は、COVID-19のパンデミックの間も、ヘアケアを含むスキンケア・メイクアップ製品に多額の支出を続けている
・男性用化粧品・スキンケア製品が増加傾向にある
・合成化学物質を原材料とするものに代わって天然由来成分を使用した化粧品・パーソナルケア製品が好まれるようになっている
・有名人、インフルエンサー、レビュー投稿者の意見が購入の決定に影響を与える要因となっている
・多くのブランドがタイの都会的なライフスタイルに合わせて、スキンケアに必要なすべての手順を一つで済ませられるオールインワン製品を提供している

課題

COVID-19パンデミック

・パンデミック後のタイ人の購買力
・家の外ではマスクを着用する必要がある
・メイク、特に口紅の使用が減っている

競争の激化

・化粧品・パーソナルケア製品のブランド数は増加しているが、顧客のロイヤルティを構築できるブランドはごくわずかである
・日本や韓国から多数の新製品が市場に参入している
・顧客の製品選択肢の幅が広い

ビジネスチャンス

■ 現在のコロナによる影響は、タイの化粧品・パーソナルケア製品市場に多くのビジネスチャンスをもたらしている。

✓衛生用品、特に石鹸とアルコールジェル

✓マスクの着用への対応
・脂性肌やニキビなどマスク関連の問題に対応する製品
・マスクの下にメイクができる製品

■ 現在の状況によりタイの経済成長は鈍化しているが、タイ人は常に個性と自信を高める必要性を感じているため、市場には依然としてチャンスがある。

✓高需要品
・天然由来成分のスキンケア製品
・「ノーメイク」に見えるメイクアップ製品
・家庭用ヘアケア製品
・プレミアム製品
・男性用メイクアップ・スキンケア製品
 →男性用グルーミングに対する社会的受容が高まっているため、男性向けの製品はさらなる成長が予想される

✓新技術とイノベーション
・オールインワンのスキンケア製品
・個々の顧客向けにカスタマイズされた製品


出所:各種報道

まとめ

・タイの化粧品・パーソナルケア製品市場は、消費財の中で最も急速な成長を遂げているセグメントの1つであり、過去数年にわたって拡大が続いている。コロナ禍による様々な影響やウイルスへの対策などにより2020年の前年比成長率は横ばいになると予想されるものの、2021年には急回復し、その後安定した成長を維持するものと見込まれる。

・2019年の化粧品・パーソナルケア製品市場は全製品分野で堅調に伸びた。その中でスキンケアが小売市場規模、輸入額ともに最大だった。

・一方、一般的に美意識が高いタイでは化粧品・パーソナルケア製品の使用が日常生活の一部になっているため、新たな製品(革新的な製品、プレミアム製品、天然由来成分の製品、男性用グルーミングなど)を含めた全製品分野に成長と事業機会の余地がある。

・その他、顧客ニーズや技術の変化、特定の規制 (2015年の化粧品法) の変更などが予想されるため、今後はそうした変化に迅速に対応していくるということも考慮に入れるべき点としてあげられる。

執筆:YAMADA Consulting & Spire (Thailand) Co., Ltd.
YC Capital Co., Ltd.
(山田コンサルティンググループ株式会社 タイ現地法人)

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