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更新日:2022/08/10 公開日:2022/06/16

テーマ: 03.海外ビジネス

中国のZ世代を中心に拡大する男性用化粧品市場の動向と主要ブランド

目次

中国における男性用化粧品業界概要

中国における男性用化粧品の分類及び展開過程

中国での男性用化粧品は、主にヘアケア、スキンケア・ボディケア、メイクアップの3つに分類されている。
これまで、中国男性用化粧品業界では、洗顔料やシャンプーなど、顔や身体を最低限清潔に保つための基礎ケア商品がメインとなっていたが、経済成長による所得増加や美意識の変化に伴って、スキンケアやメイクアップ市場も成長している。

中国男性用化粧品ブームの社会的背景

これまで、化粧品は女性が使用するイメージが強かったが、近年、中国でも95年生まれ以降の「Z世代」の男性を中心に、スキンケアやメイクアップをすることが一般的になりつつある。その社会的な背景として、下記3点が考えられる。

▮メディアの影響
韓国のアイドルオーディション番組「Produce101」の影響を受け、中国でも「創造営2019」や「偶像練習生」といったアイドルオーディション番組が誕生。中国の若者を中心にアイドルブームが起きたことで、韓国男性アイドルのような肌が白くて綺麗な男性(中国語:小鮮肉)が男女共に人気となり、そのような見た目を目指してメイクをする男性が増えている。
また、TikTok等の動画投稿・ライブ配信アプリなどで、男性がメイクをして撮影・投稿することが流行っている。

▮中国女性たちの男性観変化
メディアの影響や顔面偏差値経済の成長などを要因として、中国女性の男性に求める条件が変化している。
以前は、いかに経済力を有しているかが最も重要視されていたが、近年は、清潔感や身だしなみの良さなどもポイントとなっている。
そのため、彼氏や夫に綺麗になって欲しいという需要も増えてきており、女性がパートナー男性のために化粧品を購入するケースも増えている。

▮顔面偏差値経済の成長
近年、中国では、外見を良くするために消費をする「顔面偏差値経済」と呼ばれるトレンドが若者を中心に起こっており、外見や服装などを気にする男性が増えている。
容姿が美しいことにより、恋愛や仕事面などで様々な機会に恵まれ、社会的成功に繋がりやすいといった考え方が形成されている。

中国男性用化粧品の市場規模

世界各地域における男性用化粧品市場規模を見ると、アジア太平洋地域の市場規模が最も小さいが、2015年から2020年のCAGR(年平均成長率)は8.1%と最も高い。
また、中国男性用化粧品の市場規模は、2021年に180.0億元に達すると見込まれており、2016年から2021年の年平均成長率は9.0%と、アジア太平洋地域の平均成長率を超えるスピードで伸びている。

中国男性用化粧品のECにおける成長率

大規模ECセールが開催される「6/18」と「11/11」における中国大手ECプラットフォームの天猫(Tmall)と京東(JD)の販売状況を見ると、男性用化粧品の前年対比売上高成長率は大幅に伸びていることが分かる。

中国化粧品業界の商流

中国化粧品業界の販売チャネルは、オフラインとオンラインとに分かれている。2019年時点のデータでは、オンラインは30%を占めており、近年、ライブコマースの利用も加速したことにより、ECチャネルの割合が拡大している。

中国男性用化粧品業界の主要ブランド

急速に拡大をしている男性用化粧品市場には、外資ブランドから中国ブランドまで多数の企業が参入し、激しい争いになっている。市場は分散化しており、1位のL‘Oréalでさえも約14%のシェアしかない。

中国ブランドの台頭

中国EC市場の拡大により、近年、EC販売をメインとする中国発の新興D2Cブランドが続々と誕生している。2021年における中国人気男性用化粧品ブランドTOP10を見ると、中国ブランドが8つランクインしており、外資ブランドに迫る勢いであることが分かる。

中国男性用化粧品ブランドの資金調達状況

男性用化粧品市場の急成長により、大手ファンドの資金も次々と当市場に参入した。近年、多くの新規中国男性用化粧品ブランドが資本市場に支持されている。

中国男性用化粧品の消費動向

中国消費者の年齢構成及び主な肌トラブル

年齢構成を見ると、95年生まれ以降の「Z世代」が全体の47%を占めており、若者が主要消費者であることが分かる。主な肌トラブルは、ニキビや肌のくすみ、乾燥肌、皮膚の赤み等が挙げられている。

男性スキンケア商品の消費トレンド

2021年の世代別人気男性スキンケア商品TOP3を見ると、どの世代でも洗顔料と化粧水・乳液が使用されており、95年生まれ以降の「Z世代」においては日焼け止めが使用されている。

男性メイクアップ商品の消費トレンド

2021年の世代別人気男性メイクアップ商品TOP3を見ると、 75後と85後世代は香水の使用が一般的であるが、95後と05後世代はヘアラインシェーディングパウダーやすっぴんパウダーを使用するようになっている。

KOLが牽引する男性用化粧品消費

ライブコマースとはECとライブ配信を組み合わせた新しい販売形態で、中国で重要な販売チャネルとなっている。KOLによるライブコマースの販売は年平均成長率182%で成長し、2021年の規模は1兆億元を超えると見込まれる。
TikTokにおける2020年ライブコマース販売の売上ランキングをみると、化粧品は2位で年間60億元の規模となり、うち、スキンケア商品の21%とメイクアップ商品の17%の売上高は男性の消費となっている。

主要ブランド

外資ブランド L'Oréal

BIOTHERMはL‘Oréalグループ傘下初のブランドとして、2002年に中国で男性専用化粧品を発売。2006年にL’Oréal ブランドの男性専用商品も発売され、2009年に傘下のKiehl’sも中国で男性用化粧品を発売した。
L‘Oréalの男性用商品は基礎ケア製品からアドバンストスキンケア製品まで幅広いラインアップを取り揃えており、様々な肌トラブルに対応できるようになっている。

中国ブランド 高夫GF

上海家化傘下の高夫は中国初めての男性専用スキンケアブランドとして1992年に設立され、現在中国本土男性化粧品ブランドでは一番人気となっている。商品ラインは伝統的なスキンケア製品を中心に、中国男性向けハイコスパのブランド位置づけである。

中国新興ブランド MARTIN

2018年に誕生したメンズ化粧品ブランド「MARTIN」はフレグランスを特徴を有する。若者に人気のあるIPとコラボ製品を企画したり、人気KOLを起用して、オンラインとオフラインチャネルを十分活用することにより、2年間で5億元の売上高を遂げた。

おわりに

中国男性用化粧品業界の動向まとめ

中国男性用化粧品市場は、男性の美意識の変化や経済成長に伴い、急速に拡大している。

これまで、大手外資ブランドがトップシェアを占めていたが、近年の中国EC市場拡大により、中国新興ブランドも多数参入したことで競争が激化している。

消費動向においては、現状基礎スキンケア商品が主力であるが、Z世代を中心にアドバンストスキンケアやメイクアップ商品の需要も徐々に増えている。

しかし、男性がスキンケアやメイクアップをする場面は未だ限定的であり、今後は新興チャネルやSNSの積極的な活用により、男性の美容に関する認知度を高め、潜在層を掘り起こしていくことが課題となるだろう。

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執筆:上海現地法人 山田商務諮詢(上海)有限公司
(山田コンサルティンググループ株式会社 中国現地法人)

 

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