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更新日:2024/04/04
テーマ: 03.海外ビジネス
次世代食品の事業機会と、参入企業の成功パターン
~参入企業による脱炭素化への取り組みと、トランスナショナル経営と全方位経営の取捨選択~
食の未来は、今、大きく変貌しようとしています。地球環境への影響を抑え、増加する人口に持続可能な栄養を供給する次世代食品は、単なるトレンドではありません。植物ベースの代替肉から昆虫食や培養肉、アグリフードテックまで、技術革新は食品産業のみならず、農業、バイオテクノロジー、サステナビリティへとその波紋を広げています。このレポートでは、昨今進行する食業界を取り巻く課題に立ち向かう解決策の一つとして期待される代替たんぱく質を取り上げ、次世代食品の事業機会と参入企業の成功パターンをご紹介します。

目次
1. 次世代食品の事業機会
本章のサマリー
なぜ近年次世代食品は注目されているのか?
食業界を取り巻く課題に立ち向かう手段として、代替たんぱく質が着目されている
- ・昨今、食糧不足、フードロス、健康志向の高まり、温室効果ガス、食の多様化、サプライチェーンの混乱等が進行する中、代替たんぱく質が打ち手の一つとして期待されている
- ・特に温室効果ガスの削減をめぐる対策は、日本企業の多くが現在取り組んでいる領域である
- GHG排出量全体の26%が食品バリューチェーンから排出されており、畜産・水産といった動物由来のGHG排出や地球生態系への悪影響が社会問題視されている
代替たんぱく質食品市場の見通しと、ASEAN諸国+インドの位置づけは?
世界的な代替たんぱく質市場は、今後2035年にかけて年率14%で成長し、製法は植物性肉主体から徐々に微生物発酵肉、細胞培養肉へと移行していく
- ・代替たんぱく質の需要が大きいのは、経済水準ならびに人口の多い欧米地域(例:米国、英国、ドイツ、オランダ)に加え、社会単位の要素(例:CO2排出量、肉自給率)と個人単位の要素(例:肉消費量、菜食主義者)が複合的な市場促進要因となっている、インドネシア、タイ、インドといったアジア諸国でも一定程度の需要成長は見込まれる
代替肉消費者が重視している購買意思決定要素は?
地域・国ごとに、代替肉の購入を誘発するドライバーや、購入時の意思決定要素が異なる
- ・アジア:シンガポールやタイでは、健康志向の高まり等によってビーガン・ベジへの転身を希望する層が一定以上存在する
- ・米国:代替肉の市場浸透が進展しているが、購入履歴のある人のうち、今後購入を継続しない層の割合が一定以上のため、彼らをリテンションする一手(例:植物性肉の味・質感改良)が消費者の自然減を防ぐ上でカギとなる
- ・欧州:英国を筆頭に価格に敏感な層の割合が高いため、動物肉に対して競争力のある代替肉価格の実現が急務となっている
世界における代替たんぱく質の市場展望
・代替たんぱく質市場は、今後年率14%で成長し、植物由来肉主体から、一定程度発酵由来の普及も進行する
・ASEAN+インドに目を向けると、インドネシアを筆頭に、フィリピンやインドで市場の高成長を見込む

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出所) US Department of Agriculture, Euromonitor, UBS, Statista
2. 地域別の流通商品特徴
本章のサマリー
・シンガポール企業は、オープンイノベーションを通じて西洋料理向け新商品を開発し、国内外で事業を推進する
・イスラエル企業は、潤沢な予算を使った培養肉開発に軸足を置き、今後は量産対応や欧米向け販路拡大を進める
・米・印企業は、内需刈り取りを効率的に進めるため、ローカル料理向け植物性肉の開発に注力している

スタートアップへの投資動向とシンガポールの立ち位置
・世界では代替たんぱく質スタートアップへの投資が活況で、既に商用化している植物由来肉以外への投資も目立つ
・APAC単位ではシンガポール、中国への投資が過半を占め、植物由来肉への投資比率が高いという特徴がある

米国における競争環境
・米国では、VC下流に強い大手食品メーカーとVC上流に強いスタートアップが支えあって、市場を喚起してきた
・植物性肉が主流という顕著な傾向はみられるが、近年発酵・培養肉で独自性確立を目指すスタートアップも勃興

インドにおける競争環境
・菜食主義者の割合は高いが一人当たりの可処分所得が低いという特性を持つインド市場においては、低コストを実現できる地場企業の参入が相次いでおり、彼らは主に植物由来肉の開発に従事している

シンガポールにおける競争環境
・開発主導で需要喚起が進むシンガポールでは、外資企業への参入間口を拡げた結果、内資・外資混成の競争環境となっている。主要商品は植物由来肉で、国内及び周辺国の富裕層を狙って当該商品の流通が進展している

3. 参入企業によるグローバル機能配置戦略
参入企業が採用した内外機能分担の類型
・代替たんぱく質メーカーは、R&D機能や製造機能を外部から補完することで、事業推進上のメリットを享受している
・例えば、イノベーションの加速、コスト競争力の実現、事業成長スピードといった3つのメリットに類型可能か

4. 日本企業が採りうる事業・機能配置戦略
事業戦略策定に向けたアプローチ
・日本企業は、移り変わりの早い代替肉技術のトレンドを捉えつつ、自社競争力を確保できる事業戦略を策定すべき
・その際に、事業戦略を策定することをゴールとせず、実現性を担保する機能戦略まで検討を落とし込むことが必要

日本企業が採り得るパートナー方法と提供機能の類型
・日本企業が事業を推進するための外部連携方法は、下記4パターンに大分されうる
・食品メーカーとサプライヤーでは自社機能の充実度が異なる点を考慮して、外部へ提供する機能を選定していく

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執筆:YAMADA Consulting & Spire Singapore Pte Ltd
(山田コンサルティンググループ株式会社 シンガポール現地法人)
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